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復讐に行ったら、能力者探偵と出会った  作者: 小説書こう


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探偵事務所の下の階って大体、喫茶店

「はあ、うんまいね」


コーヒーを飲みそう言い、呟くのはヒューゴ・ヴァレンタイン


「はい、ありがとうございます」


と喋るのは喫茶店の若い店員、リオン・ヴォルクだった。二人の関係は昔に遡る。ヒューゴが探偵事務所を開くために物件探しをしている時に二人は出会った。

ヒューゴは喫茶店の上に探偵事務所を開きたいと

こだわっていた。というかほとんど駄々を捏ねていた。その騒ぎを聞いたリオンは喫茶店から出てそこで二人は出会った。


「あの、どうされました?」


その時のリオンはまだ高校生くらいだった。そして、ヒューゴは不動産屋の男へ詰め寄っていた。


「だから言ってるだろ。喫茶店の上じゃなきゃ嫌なんだって」


「いや、そんな条件で探されましても……」


「なんでだよ」


「なんでって……」


不動産屋も困り果てている。なぜならキーリオスには事務所向きの物件など腐るほどある。

なのに目の前の男は、

喫茶店の上。それもできれば安い。さらに駅近。治安もそこそこ。など無茶苦茶な注文を繰り返していた。


「あの……」


リオンがもう一度声をかける。ヒューゴが振り返った。


「あ?」


「そんなに喫茶店の上がいいんですか?」


「いい」


 即答だった。


「なんでです?」


「探偵ってのはそうゆうもんだ」


「……」


「……」


 リオンも不動産屋も黙った。


「探偵事務所って喫茶店の上にあるもんだろ


「そうなんですか?」


「とにかく雰囲気あるじゃん」


「雰囲気ですか」


「大事だろ」


真顔だった。リオンは思わず吹き出した。


「ふふっ」


「あ?」


「いえ、なんか面白い人だなって」


「よく言われる」


だがヒューゴは平然と言った。リオンは少し考え、


「あの」


「ん?」


「うちの二階、空いてますよ」


ヒューゴの目が見開かれる。


「マジで?」


「ええ」


リオンは喫茶店の2階を指差した。


「昔は倉庫だったんですけど」


「家賃は?」


「安いです」


「最高か?」


「たぶん?」


 ヒューゴはその場でリオンの肩を掴んだ。


「お前良い奴だな」


「近いです近いです」


とそこから二人は知り合ったのだった



時は戻り喫茶店の中。


「それにしてもヒューゴさん」


「ん?」


「ほんとに初めて出会った時、ガキかと思いましたよー」


「ブフッ、お、お前急に毒吐くんだな」


ヒューゴはコーヒーカップを傾けたまま咳き込んだ。

リオンはカウンターの奥で肩を竦めながら、ミルクピッチャーを磨いていた。白いエプロンが少し濡れている。


「だって本当のことじゃないですか。高校生の僕から見ても、ヒューゴさん完全に『変なおじさん』でしたよ。不動産屋さん、明らかに警察呼ぼうとしてましたし」


「俺はただ、探偵のロマンを追求してただけだ」


「ロマンって、喫茶店の上に事務所?」


「そうだ。『珈琲の香りとともに事件を嗅ぎ分ける探偵』……響きがいいだろ?」


ヒューゴは満足げに頷きながら、自分のアイデアを再確認するように天井を指差した。今も二階の事務所からは、微かに古い木の軋む音が聞こえてきそうだった。

するとリオンが急に真顔になった。


「……実はあの時、僕もちょっと危なかったんですよ」


「ん?」


「二階、空いてるって言ったの、半分は本当で半分は

嘘だったんです。倉庫じゃなくて……お袋が『絶対に貸さない』って言ってた部屋で」


ヒューゴの眉がぴくりと上がる。


「マジかよ。じゃあ俺は、ほぼ犯罪的に事務所を手に

入れたってことか?」


「まあ、結果的に良かったんですけどね。お袋も今じゃ『あの変な探偵のおかげで店が繁盛してる』って言ってますよ。変な事件の相談に来るお客さんが増えて、ついでにコーヒー飲んでくから」


ヒューゴは笑いながらカップを置いた。

リオンはゆっくりと豆を挽き始めた。香ばしい匂いが店内に広がる。結局、この喫茶店と探偵事務所の組み合わせは、予想以上に悪くないのかもしれない——そう思いながら。


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