表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NTR報復に行ったら、能力者探偵と出会った  作者: 小説書こう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/64

ずらす能力VS動かす能力

地下駐車場。

非常灯だけが赤く点滅し、不気味な陰影を落としている。

能力者(デッドリートライアル)の強盗は、壁に背を預けながら荒い息を吐いていた。


「クソッ……!」


その視線の先には、SHLD特務部隊『対能力者制圧班』の完全防備の男が一人、悠然と立っている。


「投降を推奨するぜェ!」


「うるせぇよ!」


強盗が半狂乱で拳銃を抜き、引き金を引いた。

放たれた弾丸は全弾、男の防弾着へと命中する。しかし、SHLDの男は衝撃を殺すそぶりすら見せず、平然と言い放った。


「効いてねぇぞォ」


「チッ……!」


強盗は焦燥に駆られ、近くのコンクリート柱へ乱暴に手を置いた。自身の能力を発動させる。

柱のコンクリートが異常変形を起こして突出し、SHLDの男の脇腹へと鋭く迫る。だが、男は臆することなく、迫り来るコンクリートの塊を素手で強く叩いた。


「なっ!?」


叩かれた瞬間、飛び出したコンクリートの軌道が真横へと不自然にスライドした。強盗の真横を猛スピードで通過したコンクリート塊は、そのまま背後の車両へと激突する。


「ずらす能力(デッドリー)の相手は初めてかァ?」


SHLDの男がバイザーの奥で不気味に笑う。強盗は恐怖に顔を歪めながら後退し、今度は隣の壁へと手を置いた。

再び壁の一部が牙のように飛び出す。巨大なコンクリートの出っ張りが、今度はSHLDの男の頭部を正確に狙う。

だが、男はまたしてもそれを軽く叩いた。

突出したコンクリートが、今度は真下へと不自然にずれる。

渾身の攻撃は虚しく空を切り、生まれた隙を見逃さず、SHLDの男が一気に距離を詰めてきた。


「ッ!!」


強盗は慌てて床へと手をつく。

床の一部が隆起し、不規則な段差が生まれる。突進してきたSHLDの男の足が、その段差に引っかかった。


「おっとォ」


体勢を崩したその瞬間を逃さず、強盗は再び拳銃を連射する。

至近距離での銃撃。しかし、男の進撃は止まらない。


「だからァ、効かねぇって決まってんだろォがァ!!」


強盗の顔が完全に引きつった。

今度はSHLDの男が、近くの柱に指先で触れる。

強盗のすぐ隣にあった柱の一部が、まるで意志を持ったかのように横へとスライドした。突然死角から飛び出してきたコンクリートに、強盗は悲鳴を上げる。


「うおっ!?」


咄嗟に回避した。だが、避けた先にはすでに、SHLDの男の巨躯が待ち構えていた。


「捕まえたァ」


「が、離せっ……!」


強盗が往生際悪く男の腕へと触れ、能力(デッドリー)でその拘束を外そうと試みる。

だが、SHLDの男は凶悪に口元を歪めた。


「そう来ると思ったぜェ」


逆に、強盗の肩へと分厚い手のひらを置く。

肩が強制的に横へ引っ張られたような奇妙な感覚が走り、強盗の体勢が完全に崩壊する。


「しまっ――」


遅い。

SHLDの男の無慈悲な拳が、強盗の腹部へと深くめり込んだ。容赦ない衝撃に強盗の身体がくの字に吹き飛び、コンクリートの床を無様に転がっていく。


「がっ……、は……っ!!」


肺の空気をすべて絞り出され、息ができない。立ち上がるどころか、指一本動かすことすらできなかった。

SHLDの男が、重い足音を響かせながらゆっくりと近付いてくる。


能力(デッドリー)の質自体は悪くねぇ」


男は強盗の胸ぐらを強引に掴み上げた。


「だがなァ」


地面から完全に足を浮かせ、冷徹に告げる。


「俺の方が、圧倒的に訓練してんだよォ!!」


容赦のない強烈な頭突きが叩き込まれた。強盗のホログラムフェイスが粉々に砕け散り、同時にその意識が完全に消し飛ぶ。糸の切れた人形のように、男は床へと崩れ落ちた。

文字通りの完全制圧。

SHLDの男は平然と首の骨を鳴らし、耳元の通信機を押した。


「こちら制圧班ン」

『――状況は』

「能力者一体、確保ォ」

『負傷は?』


男は少しだけ間を置き、周囲を見渡した。

無惨に大破した車。不自然に変形し、ずれた柱。ひび割れた壁。そして、煤一つついていない自分自身の身体。


「ゼロだァ」


『本当に?』


「……たぶん、ゼロだァ」


その頃――。

キーリオス市街地の喧騒の中では、

バイクの爆音を轟かせながら、探偵ヒューゴの新たな追跡劇が幕を開けようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ