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復讐に行ったら、能力者探偵と出会った  作者: 小説書こう


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33/60

代償 そのニ

研究区画から響く爆発音


 警報


 悲鳴


 だが錦宗玄だけは微動だにしなかった。


「……随分落ち着いてんな」


メロルスが睨む。

宗玄は静かに窓の外を見たまま答えた。


「慌てても状況は変わらん」


 そして


 ゆっくりと社長室の奥へ視線を向ける


そこには、壁一面のクリアケース

そして、NISIKI製の試作兵装が並んでいた


義肢用兵器


軍用試作デバイス


宗玄の自慢の代物たち

そして、宗玄は、その中の二つを指差す


「それを使うといい」


「……?」


「今回の件、解決できれば、先ほどの話は無しにしてやる」


「ヒューゴのSHLD加入条件も撤回する」


メロルスの目が細くなる。


「随分都合いいな」


「君たち探偵は、困っている人間を助けるのだろう?」


「……」


「なら今、ここで一番困っているのは我々だ」


宗玄の目は笑っていなかった


メロルスは舌打ちしながらケースへ近づく。

中に収められていたのは黒銀色の大型槍。

そして、重厚な多重装甲盾。

ケースの表示が点灯する。


対人機動槍レイドスピア

対人迎撃盾ブルワーク

義肢接続型近接制圧兵装。


メロルスは眉をひそめる。


「……デカすぎだろ」


「通常人員では扱えんが君のオーグメンテッド義肢なら可能だ」


ケースが開き、メロルスは槍を持ち上げる


「ッ……!」


重い


だが持てる


義手側へ接続端子を押し込む


 ガギンッ!!


義肢と武装が一体化する

HUDが視界へ展開


《レイドスピア接続完了》


《筋力補助同期開始》


「……うお」


義手側の出力が一気に跳ね上がる


続けて盾を装着


《ブルワーク接続完了》


《迎撃モード起動》


メロルスが肩を回す


「……重装備ってレベルじゃねぇぞおい」


「あの双子に対抗できる数少ない装備だろうな」


宗玄が静かに言った


「彼らは速く、通常戦力では捉えられん」


「だが面で制圧すれば話は別だろう」


その瞬間


 ドゴォォォン!!


社長室の外壁が吹き飛び、ガラス片が舞う


暴風



その中心に、双子が立っていた


「いた」


妹が笑う


「宗玄だ」


兄も笑う


「やっと見つけた」


メロルスが前へ出る


「悪いが社長面談は予約制なんだわ」


「あれ?」


妹が首を傾げる


「誰この人」


「知らない」


兄が笑う


「でも邪魔なら壊せばよくない?」


瞬間


 二人が消えた


「ッ!」


メロルスが反射で盾を構える


 ドゴォォン!!


衝撃で視界が揺れる


兄の蹴りが《ブルワーク》へ直撃していた


「うわ、硬」


だが次の瞬間には妹が背後


「遅ーい♪」


拳の打撃でメロルスが吹き飛ぶ。壁を突き破り、社長室を滑る。


「ぐッ……!」


速い


異常だ


ワープしてるみたいだった。


「キャハハ!」


妹が天井を蹴る




天井


三次元機動みたいな速度で飛び回る


人間じゃない


メロルスは歯を食いしばる


(見えねぇ……!)


その瞬間。


義手HUDへ警告表示。

《高速接近予測》


「!」


反射で槍を突き出す


 ゴッ!!


兄の腹へ《レイドスピア》が直撃


「がッ!?」


初めて双子の表情が崩れる


槍の推進機構が炸裂


 バゴォン!!


兄の身体が吹き飛び、壁を三枚ぶち抜いた


「お兄ちゃん!?」


妹の動きが止まる


メロルスが息を吐く


「……なるほど」


これはただの槍じゃない。

刺突の瞬間、内部加速機構で威力を爆発的に増幅している。


「クソ痛ぇなこれ……!」


瓦礫の中から兄が立ち上がるが、腹が陥没していた。

普通なら死んでるのにまだ動く。


「……やっぱ化け物かよ」


兄の顔から笑みが消えていた。


「その武器……NISIKIの試作品?」


「知らねぇよ」


メロルスが槍を構える。


「今借りてるだけだ」


妹がキレた顔で突っ込んでくる


「お兄ちゃんを傷つけた!!」


超高速による残像そして、拳。

だが今度はメロルスも対応する。


《ブルワーク》を地面へ叩きつけた。


ガゴォン!!


盾が展開し、六角形のエネルギー迎撃壁が周囲へ広がり、妹の突進が弾かれる。


「なっ!?」


「捕まえた!」


《レイドスピア》が唸り、メロルスが全力で踏み込む。


ドンッ!!


槍の一撃が妹の脇腹へ直撃し、骨が砕け、妹が吹き飛ぶ。

だが兄が空中で受け止める。

ここで双子は初めて理解した。自分たちが押されていると。


「……お兄ちゃん」


妹の声が震える


兄は血を吐きながら笑った


「はは……」


「やっぱ人間って面白いなぁ」


メロルスは構えを解かない。


「降参するか?」


「やだ」


次の瞬間。


双子が同時に笑った。


そして逃げた。


「……は?」


窓を蹴破り、超高速で夜の都市へ消えていく


静寂


警報だけが鳴っていた


メロルスは槍を下ろす


「……逃げんのかよ」


宗玄が静かに近づいてくる


「賢明な判断だ」


「お前があれを作ったのか」


メロルスが睨む


宗玄は否定しない


「人は進化を求める」


「その結果だ」


「……クソ企業」


「よく言われる」


宗玄は微笑む

そして窓の外を見る

夜のキーリオス

そのどこかへ消えた双子


「だが……問題は、まだ終わっていない」

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