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復讐に行ったら、能力者探偵と出会った  作者: 小説書こう


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代償

新章突入!

崩壊しかけた炉心区画へ、SHLD部隊が突入したのはそれから十数分後だった


「生存者確認!」


「……ヒューゴ・ヴァレンタインだ!」


床へ倒れていたヒューゴは、もはや人の形を保っているのが不思議なくらいだった


皮膚は焼け爛れ

右腕は炭化

呼吸も浅い


スレイフ・パージテクトの死体が、その数メートル先に転がっている


「まだ脈あるぞ!!」


「急げ!」


担架へ乗せられ、緊急搬送される

だが車内の医師たちの表情は暗かった


「駄目です……通常医療じゃ手遅れだ」


「熱傷率が高すぎる」


「内臓もかなりやられてる」


「助かる可能性は……」


そこで、一人のSHLD職員が低く言った


「NISIKIへ回せ」


空気が変わる。


「……本気ですか?」


「上の命令だ」

  




キーリオス上層区

NISIKIグループの一部NISIKIメディカルタワー


スラム育ちのメロルスからすれば、入るだけで肩が凝る場所だった


全面ガラス張りの巨大建築

白く静かなロビー

機械音だけが淡々と響く無菌空間


「……金かかってんなぁ」


ぼそりと呟く。


案内スタッフに連れられ、メロルスは上層階へ向かう。


だが途中の巨大な整備区画の前で、足が止まった。


ガラス越し


そこには、人型機動兵器が鎮座していた。


白銀の重装甲


四脚型補助ユニット


異様なまでに大型化された機関部


まるで“騎士”と“戦車”を無理やり混ぜたようなシルエット


複数の整備員が周囲を慌ただしく動き回っている


モニターには機体名


《セラフィムサードサード・ケンタウラ》


メロルスの目が細くなる


「……ケンタウラ」


以前交戦した、あの機体


地下鉄の天井を破壊しながら突っ込んできた化け物兵器だった。今は武装を外され、整備アームに固定されている。だが、それでも威圧感は消えていない。


「……なるほど、ここ所属だったか」


思わず漏れる


そりゃそうだ


あんな規格外の兵器、個人で持てる代物じゃない


NISIKI

軍需企業を名乗り、こんな兵器まで作っている


「嫌な会社だな……」


メロルスが小さく呟いた、その時。

巨大機体のモノアイが、一瞬だけ起動した。


 ギュゥゥゥン……


赤い光


まるで見られた気がして、メロルスは顔をしかめる


「お待たせしました」


案内スタッフが頭を下げる


「総帥がお待ちです」


メロルスは最後にもう一度だけ、ケンタウラを見て、そのまま、社長室へ向かった。



巨大な窓から夜景を見下ろしながら、一人の老人が立っていた。


和装


白髪


無表情


だが、その場に立っているだけで空気が張り詰める


NISIKIグループ総帥


錦 宗玄

医療、義肢、人体工学、人体強化、軍需技術。

その全てへ食い込む超巨大企業の頂点だった。

社長室へ通されたメロルスは、不機嫌そうに腕を組む。


「……単刀直入に言う」


宗玄は振り返った。


「ヒューゴ・ヴァレンタインは、このままだと死ぬだろうな」


「……」


「だが、我々なら助けられる」


「で…条件は?」


即答だった

宗玄は小さく笑う


「話が早い」


机へSHLDの紋章が映し出される


「ヒューゴをSHLDへ所属してもらおう」


メロルスの眉が寄る


「アイツが組織に従うと思ってんのか?」


「無論、理解しているとも」


宗玄は淡々と続けた


「だがヒューゴ・ヴァレンタインは優秀だ」


監視転移(パノプティ・ジャンプ)


「優秀な能力(デッドリー)


「加えて異常な現場対応力だ。死なせるには惜しい」


メロルスは舌打ちした


「……気に入らねぇ」


「構わん」


宗玄は静かに言う。


「選択肢は二つだ」


「自由のまま死ぬか」


「鎖を付けて生きるか」


その時だった


――ビーッ!ビーッ!ビーッ!


突如、警報が鳴り響いた


『警報!!』


『第三区画に侵入者!!』


『警備部隊との交戦を確認!!』


直後


ドゴォォォンッ!!


遠くで爆発


メロルスが窓の外を見る。

下層研究区画から黒煙が上がっていた。


「……なんだ」


宗玄の側近が青ざめた顔で端末を操作する。


「侵入者は二名!」


モニターが映し出される。


白い研究通路に転がる警備員。

ひしゃげた防壁。

そして、その中央を歩く二人の男女。双子だった。

見た目だけなら普通の若者

だが、その動きだけが異常だった

警備員が銃を向ける


「止まれ!!」


その瞬間消えた。


「――は?」


次の瞬間には、双子の兄が警備員の背後に立っていた


 ドゴッ!!


拳一発

それだけで、強化装甲の男の身体が吹き飛び、壁へ叩きつけられ、鋼鉄が歪む。


「うわ、脆」


兄が笑う


妹の方は、自販機ほどある機材を片手で持ち上げた。

普通の人体強化じゃ有り得ない。一般的な強化手術なら、せいぜいプロ格闘家レベル。だがこいつらは違う。まるで人間の皮を被った兵器だった。


「ねぇお兄ちゃん」


妹が首を傾げる


「どこにいるのかなぁ」


「さぁ?」


兄が笑う


「僕らの寿命を縮め、化け物にした人」


だがそこへ複数のSHLD警備兵が突入


「撃て!!」


だが双子は、また消えた


違う


速すぎて見えないだけだった

ワープじみた超高速移動で人間の動体視力では追えない。


 ドガガガガッ!!


警備兵たちが次々吹き飛ぶ。床へ叩きつけられ、壁へ埋まり、金属扉ごと潰される。


「キャハハハ!!」


妹が笑う


だがその笑顔とは裏腹に、目だけは壊れていた。


兄が監視カメラを見上げる


「見てるー?」


ニタァ、と笑う。


「錦 宗玄」


社長室


宗玄は無言でモニターを見つめていた


メロルスが聞く


「……知ってる顔か?」


少しの沈黙。


やがて宗玄は静かに答えた。


「NISIKIが開発していた、新世代強化実験体だ」


「失敗作……いや」


その目が細くなる。


「成功しすぎた作品だ」


その瞬間


研究区画から、再び爆発音が響いた

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