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復讐に行ったら、能力者探偵と出会った  作者: 小説書こう


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31/61

大義なき男 その四

最上層の扉が開く


熱風が、ヒューゴの顔面へ叩きつけられた。炉心の赤い光が空間を染めている。崩れた制御装置、剥き出しになった配線、燃え続ける炎。

その中心でスレイフ・パージテクトが笑っていた

子供みたいに心底楽しそうに


「なんだ来たじゃーん」


ヒューゴは何も言わない。焼けたコートを脱ぎ捨て、リボルバーを抜く。スレイフは首を傾げた。


「あれ、怒ってる?」


「別に……だが殺しに来た、依頼されたからな」


「あぁ、アイツね」


「……」


スレイフは笑う。


「あいつ面白かったな」


瞬間、辺りの炎が爆発した。視界を埋め尽くす火柱。

ヒューゴは横へ飛ぶ。だが遅かった

肩が焼ける。


「ッッ……!!」

 

スレイフが炎を噴射しながら突っ込んでくる。速い。

人間の加速じゃない。

爆発そのもののようだった。ヒューゴはリボルバーを撃つ。スレイフが首を傾け回避。


「当たんないよぉ!」


炎の蹴りがヒューゴの脇腹へ直撃し、床を転がる。


「がっ……!」


スレイフは笑いながら歩いてくる。


「ねぇヒューゴ」


ボッ。指先に火が灯る


「お前ってさ、弱いのに根性だけで来るタイプ?」


「そうかもな」


「そういうの一番壊したくなっちゃう」


瞬間、スレイフが消え、ヒューゴの目が細まる。


 来る


 右


 ヒューゴは反射で蹴る


 ゴッ!!


「……お?」


スレイフの頬へ足がめり込み、完全に不意を突かれた顔。ヒューゴはそのまま回転、追撃の後ろ回し蹴り。


 スレイフは炎を噴射し、距離を取る


「今のいいじゃん」


頬を撫でながら笑う。ヒューゴは呼吸を整える。

見えてきた、こいつの動き。速いが加速前に絶対に身体が沈む。たった一瞬だけだが。


「なるほどな」


「あ?」


「お前、踏み込み癖あるな」


スレイフの笑みが止まる。

直後、不意をつきヒューゴが撃つ

弾はスレイフには当たらなかったがスレイフの横を通り、背後の配管を破壊した


大量の冷却剤に周囲の炎が削がれていく


「ッ」


「やっぱりだ」


 ヒューゴが笑う。


「炎が減ると露骨に焦るだろ?」


「うるさいなぁ!!」


子供のように叫びスレイフが両手を広げ、爆炎を放つ。広範囲の爆炎に逃げ場がなかったが、ヒューゴは腕で顔を庇いながら突っ込む。


 焼ける


 皮膚が


 髪が


 肺が


 それでも前へ


「なんで来るんだよお前ぇ!!」


「探偵だから!」


「意味わかんない!!」


ヒューゴの蹴りがスレイフの腹へ突き刺さる


 ゴッ!!


だがスレイフは笑いながら炎を放つ。至近距離の火にヒューゴの胸が焼けた


「ッッ……!!」


スレイフはそのまま火を噴射し、上空へ

炉心を背に笑う


「いいねぇヒューゴ!!」


炎が渦巻き、巨大な火球が作られる


「これ避けれる!?」


 ドゴォォォォォッ!!


それを放たれ、ヒューゴは走りながら撃つ。火球の軌道を変えるため、周囲の配管を破壊する。


 爆発


 崩落


 熱風


火球が壁へ激突し、空間そのものが揺れた。その隙にヒューゴは懐へ潜る


「ッ!?」


スレイフの目が開く。

ヒューゴの膝蹴りが顎へ直撃し、続け様に放つ連撃にスレイフが吹き飛ぶ。


「はっ……はっ……」


ヒューゴは血を吐きながら距離を取る。

スレイフもまた笑みを消していた。


「へぇ」


指で血を拭う。


「ここまで強いの、お前が初めてだ」


炉心の光が強くなる。赤熱したエネルギーがスレイフの身体へ流れ込んでいく。


炎が膨れ上がる。


空気が震える。

「はっ……はっ……」


ヒューゴは血を吐きながら距離を取る。


スレイフもまた笑みを消していた。


頬から血が流れている。


「へぇ」


指で血を拭う。


「ここまで来たの、お前が初めてだ」


炉心の光が強くなる。


ゴォォォォォ……


赤熱したエネルギーがスレイフの身体へ流れ込んでいく。


「じゃあさ、本気出すね?」



巨大な火柱にヒューゴの表情が変わる。

今までとは違う。危険だ。本能が叫んでいる。

スレイフはゆっくり腰を落とした。

右足を引く。

左手を床につく。

クラウチングスタート。


その姿勢を見た瞬間。


ヒューゴの瞳が開いた。


「……それ」


スレイフへ接近する際に使った技を使用するのだろう。


スレイフは不敵に笑う。


爆発音

スレイフが消えた。

炎の尾だけが残る。

ヒューゴの肩が裂け、背後の壁が吹き飛ぶ。


「がっ……!」

(見えない。速すぎる。)


スレイフは既に反対側に立っていた。


「どう?」


子供のような笑顔で笑う


「速いでしょ?」


再び腰を落とし、クラウチングポーズ。


ヒューゴは理解した。


(次も避けられない)


だがヒューゴも腰を落とした。

同じ姿勢に同じクラウチングスタートにスレイフが目を丸くする。


「は?」


ヒューゴは静かに言う。


「新技思いついたんだよ…!」


スレイフの笑みが深まる。


「面白いじゃん」


二人同時に地面を蹴る。


ドン!!


床が砕けた。


空気が爆ぜる。


炎と人影が一直線に走る。


スレイフの技。

<灰帰線>


「抜雷ッ!!」


ヒューゴの突如の思いつきで作られた技、クラウチングポーズから居合いのように蹴りを繰り出すシンプルな技だった


「燃えろォォォ!!」


激突


炉心区画が揺れ、辺りが吹き飛ぶ


二人は互いを通り過ぎていた。


数秒の静寂


ボタリ


スレイフの胸から血が落ちる。ヒューゴの肩からも血が流れる。


だが。


スレイフの方が深い。


「……マジか」


初めて驚いた顔をした。

ヒューゴは振り返るがヒューゴも限界だった。


 全身火傷。


右腕は焼け。呼吸の度に血の味がする。


 だがスレイフの火も、もう小さい


「……あれ」


 スレイフが手を見る


 ボッ


 小さな火花だった


「え」


炎がもう出ない。スレイフへヒューゴがリボルバーを向ける。スレイフが初めて怯えた顔をする。


「ちょ、待っ……」


()だね」


「ごめんって!!」


「絶対嘘」


「死にたくない!!」


ヒューゴは無言。その目を見て、スレイフは理解する。本当に殺される。だがそれでも笑ったあの気味悪い笑顔で。


「じゃあ最後にさぁ」


「あ?」


「タバコ吸わせてよ」


 ヒューゴは数秒黙る。


「……一本だけだ」


「やったぁ」


 スレイフが震える手で煙草を咥える


 ライターを取り出し、


 カチ


 小さな火


 その瞬間スレイフの笑みが歪んだ


 ボォォッ!!


ライターの火を吸収し、無理やり炎を生成、狂った笑みのままヒューゴへ飛びかかる。


「死ねよぉッッッ!!」


 パン


回避し、乾いた銃声が放たれスレイフの額へ穴が開き、身体が止まる。


「あ……」


 数歩ふらつき

 

そのまま前へ倒れた

辺りの炎が消えていき、スレイフは床へ倒れたまま、ぼんやり天井を見た。


「……俺、負けたんだ」


「みたいだな」


「そっかぁ……」


 スレイフは少し笑う


 子供みたいに


「でも楽しかった」


 そして動かなくなった


 ヒューゴはしばらく立っていた


 だが次の瞬間、膝が崩れる


「ッ……」


 全身が限界だった


 炭化した腕に、焼け爛れた皮膚


呼吸もまともにできず、視界がぼやけ、ヒューゴは倒れたまま、天井を見上げた


「……終わったぞ、依頼人」


 その言葉を最後に


 ヒューゴの意識は、暗闇へ落ちた

初めて書いた章ボスってやつ

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