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NTR報復に行ったら、能力者探偵と出会った  作者: 小説書こう


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25/63

私は美しき爆弾魔(思い込みじゃないかも)

昼下がりのキーリオス中央商店街。


アルト・バイルンは、死んだ目でベンチに座っていた。


「……なんで俺が休日に買い物してんだ」


 SHLD爆発物処理班。


激務!薄給!!休日出勤!!!

それに加えて最近、自称“美しき爆弾魔アミ”なんてやつまで現れた。

最近では自分は「爆弾解除のアルト」などと勝手にニュースで呼ばれ始め、知らない市民から写真撮影まで頼まれる始末。


 心が休まらない!


そんなアルトの膝には、大量のスーパー袋が置かれていた。


 カップ麺。

 栄養ゼリー。

 エナジードリンク。


終わってる食生活である。


「野菜買うか……」


 呟きながら立ち上がろうとした瞬間。


 ドンッ。


「わっ」


 誰かがぶつかってきた。


 白いワンピース。

 ふわふわした髪。


 そして両腕いっぱいに抱えた――爆薬。


「……」


「……」


 数秒沈黙。


「あっ、爆弾解除のアルトくんだ」


「アミ!?」


指名手配書で見た美しき爆弾魔アミ。


本人は大真面目にテロリストを名乗っているが、なぜか結果的に人助けばかりしてしまう女である。


アルトは即座に周囲を確認した。


「待て。なんで普通に昼間の商店街歩いてんだ」


「お買い物!」


「何買ってんだよ」


「爆薬!」


「隠す気ゼロか!!」


初対面でもアミはニコニコしている。周囲の人間は誰も気づいていない。なぜならアミが抱えている爆薬は、見た目だけならオシャレな筒状ケースだからだ。


「今日はねぇ、芸術的な爆発を作ろうと思って!」


「やめろよ!」


「ひどーい」


アミは頬を膨らませる。すると、商店街の奥から怒鳴り声が聞こえた。


「火事だーーー!!」


「逃げろ!!」


アルトが振り向く。二階建ての雑貨屋から煙が上がっていた。


「……うわ最悪」


アルトはすぐ無線機へ手を伸ばす。隣のアミの目がキラキラ輝いていた。


「あっ」


「おいまさか、待て」


「爆発の出番?」


「違う!」


「でも火事って爆発映えするよね」


「その発想やめろっての」


 アミは煙を見上げながら真剣な顔になる。


「よし」


「よしじゃない」


「アルトくん」


「なんだ」


「私に任せて」


「嫌な予感しかしないって……」


次の瞬間、アミがバッグから小型爆弾を取り出した。


「ストップ」


「大丈夫大丈夫♪」


「お前の大丈夫は信用ならねぇんだよ」


しかし、アミは雑貨屋の横へ爆弾を投げた。アルトは頭を抱える。


「終わっ――」


 ドォン!!


 爆発、衝撃。周囲が悲鳴に包まれるが。


「あれ?」


アルトが顔を上げる。爆風で、火事の原因だったガスボンベが建物外へ吹き飛ばされていた。

さらに。爆風によって周囲の酸素流れが変わり、炎の勢いが弱まっている。


「……まじか」


 消防隊員が叫ぶ。


「今だ! 一気に消火するぞ!!」


人々が避難していく。しかも、二階窓から取り残されていた猫まで、爆風で外の救助マットへ綺麗に落ちて助かっていた。


「ニャー」


「なんでなん?」


アルトは真顔で呟く。アミは嬉しそうに胸を張る。


「どう? 美しかった?」


「結果だけ見るとヒーローだなお前」


「えへへ」


「褒めてねぇ」


その時、雑貨屋の店主らしきおばあさんが駆け寄ってきた。


「ありがとうねぇお嬢ちゃん!」


「へ?」


「爆発でガスが外れなかったら店ごと吹っ飛んでたよ!」


アミが固まる。


「わ、私はテロを――」


「命の恩人だよ!」


「ち、違うのにぃ……」


アミは困惑した顔でアルトを見る。


「なんで?」


「知らねぇよ」


「私、ちゃんと悪いことしようとしてるのに」


「才能無いんじゃねぇか」


「そんなぁ」


アミはショックを受ける。すると今度は、近くにいた子供たちが集まってきた。


「お姉ちゃんすげー!!」


「爆発かっこよかった!!」


「サインください!」


「サイン!?」


ミラは完全に混乱していた。


「ち、違うの! 私は恐怖の爆弾魔で――」


「ヒーローみたい!」


「違ぁぁぁう!!」


アルトはその光景を見ながら、缶コーヒーを開ける。


「……平和だなぁ」


 アミは子供たちに囲まれながら涙目になっていた。


「なんで誰も怖がってくれないのぉ!?」

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