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NTR報復に行ったら、能力者探偵と出会った  作者: 小説書こう


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21/63

爆弾

新キャラ、フゥーーー!

豪華客船オルフェウス・ライン


キーリオス中央港から出航したその巨大船は、海上都市を巡る三日間のクルーズ船として有名だった富裕層、企業人、芸能人、誰もが酒を飲み、音楽を楽しみ、ネオン色に染まる海を眺めて笑っている。だがその船の最下層、機関区画のさらに奥で、一人の青年が顔をしかめていた


「……最悪だな」


アルト・バイルン

SHLD爆発物処理班所属

二十二歳、黒髪を後ろで適当に結び、作業用ジャケットを羽織った青年だった、耳には通信機。だがそこから聞こえるのはノイズだけ


『――ザー……応答……ザーッ』


「通信まで潰されてるとか聞いてないってー」


アルトは舌打ちしながら目の前のケースを見る

爆弾、しかもただの爆弾じゃない。船の主電源と直結され、複数の圧力センサーと同期している

雑に触れば即起爆。船ごと海の藻屑になりかねない代物だった。赤いデジタル表示が淡々と時を刻む


【01:42:11】


「……洒落になってねえし」


アルトはしゃがみ込み、工具ケースを開いた

まず外装を確認する。だがその時点で違和感があった


「なんなんこの構造……」


普通の爆弾魔は解除妨害を仕込んでも、どこかに“答え”を残してしまう。それがアルトにはわかる。だがこれは違うまるで解除されることそのものを想定して組まれていた


「……試してんの?」


その瞬間、近くのモニターがザーッとノイズを走らせ点灯する。映ったのは白黒の仮面だった


『こんばんは』


「……テメェが犯人?」


『その呼び方は好きじゃなーい』


変声機越しの声、癖の強い喋り方、男か女かすら分からない


『私はただ見たいだけさー』


「何を?」


『SHLDがどこまで正義でいられるかさー!』


 アルトは鼻で笑う


「思想強めー」


『爆弾解除は得意かい? アルトくーん』


「名前まで調べ済みなん?」


『当然だ 君は優秀だからねー』


 仮面がわずかに笑ったように見えた


『だからこそこの船に呼んだんだ』


「……」


『解除してみろ』

『できるならねー』


通信が切れる、アルトは数秒無言で立ち尽くし、再び爆弾を見る


「へいへい……解除すればいいんだろ」


工具を握り、作業を始める

外装解除、内部配線確認、通常起爆装置、時限装置

振動感知、熱感知

ここまではいい。問題はその奥だった


「……は?」


 アルトの顔色が変わる

内部には小型推進装置、姿勢制御ユニット、GPS同期システム


爆弾じゃない


「ミサイルじゃねえかこれ……」


さらに最悪なことに、解除コードを一本切るたび別系統が自動接続される

つまり“解除行為そのもの”が起爆条件


「ふざけてんな……!」


タイマーが減っていく


【00:58:03】


アルトは額の汗を拭い、頭の中で構造を組み立てる

切れば爆発、止めても爆発、分離不可、電源遮断不可凍結も今は無理


「詰んでんじゃんこんなの……」


上ではまだパーティーが続いている。誰も知らない。自分たちの真下に怪物があることを。アルトは静かに立ち上がった、そして爆弾を見る


「……なるほどな」


犯人の意図を理解する。解除させる気なんか最初からない。誰かに“選ばせる”ための爆弾だ

船を取るか、自分を取るか


「性格終わってるわ」


アルトは小さく笑うと、工具ケースを閉じた

そして爆弾を抱え上げる。重い、人一人分くらいある


【00:41:12】


「やるしかねえか」


アルトは非常ハッチを蹴破った。警報が鳴り響き、夜の海風が吹き込む

デッキへ出ると、客たちがざわついた


「な、なんだ!?」


「SHLDだ!」


「爆弾処理班!?」


アルトは怒鳴る


「全員船内へ戻れ!!」


その声には逆らわせない迫力があり、誰もが道を開ける。アルトは爆弾を抱えたままデッキ端まで走る

夜の海を見る

黒い水面

遠くの都市の光


「……どうやっても解除できないならさ!」


【00:09:44】


 アルトは笑った


「海に消えてもらうしかねえよな!」


次の瞬間、全力で爆弾を放り投げ、巨大な塊が夜空を舞い、海へ落下する

三秒、四秒


 そして――


 ゴォォォンッッッ!!!


海面が爆発した。巨大な水柱が夜空へ吹き上がり、衝撃波で豪華客船が大きく揺れ、悲鳴が上がる

だが船体は無事だった。アルトはその場へ座り込む


「……はぁ……」


汗が止まらない、心臓がうるさい。その時、デッキ横のモニターが再び点灯した

白黒の仮面


『正ー解だ!』


アルトが顔を上げる


『君は優秀だよ アルト・バイルン』


「……テメェ」


『また会おう』


『次はもっと美しい爆弾を用意する!』


通信が切れ、波の音だけが残る。アルトは夜空を睨みながら、小さく吐き捨てた


「……絶対捕まえてやるよ クソ野郎」

俺はノーハードゲイだぜー!

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