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NTR報復に行ったら、能力者探偵と出会った  作者: 小説書こう


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19/63

悲しみの弾丸

キーリオス都市中央区。


夕焼けに染まる高層ビル群の隙間を、冷たい風が吹き抜けていた。その屋上に、一人の男が伏せている。


 黒い戦術コート。


 片目を覆う電子照準機。


 異様に長い対物ライフル。


SHLD危険監査部隊所属――《照星(しょうせい)》彼の本名は家族以外には誰も知らない。その隣では、双眼鏡を覗き込む女性が騒がしく声を上げていた。


「照星さーん!風向き左から二メートル!あと帰りコンビニ寄りません?」


「任務中だ!」


あまりの非常識さにいつも静かな照星は声を荒げる


「えー」


女性は頬を膨らませる。

名はミア。照星のスポッターだった。

照星が無機質な機械なら、ミアは騒がしい太陽みたいな女だった。


「でもほんと喋りませんよね照星さん」


「必要ない」


「友達いないでしょ」


「……」


「あ、図星だ」


ヒューゴとの死闘で体の一部を欠損し、義肢を装着した照星は無言でスコープを覗く。


都市中央広場、人混みの向こう、別ビルの屋上。

そこに今回の標的がいた。男は古い狙撃銃を構え、下を見下ろしている。


 パンッ!!


乾いた銃声が鳴り、道路を歩いていた警官の頭が砕け、悲鳴が上がる


「三人目ですよ……!」


ミアが眉をひそめる。


「あの人、本当になんなんです?」


名はガルド・ベイン元軍人、

八年前。

能力(デッドリー)犯罪による事件で、妻を失った男。犯人は能力者(デッドリートライアル)だが警察は捜査を縮小。犯人は見つからなかった。

ガルドは壊れた。退職、酒、暴力

そして今。警察そのものへの復讐を始めた。


「……ちょっと気持ち分かるんですよねー」


ミアが小さく呟く。


「当時の警察がクソだったのは事実ですし」


「そう…だな」


照星は否定しない。その返答にミアが少し驚く。


「否定しないんですね」


「警察は万能じゃない」


照星の指が僅かに止まる、脳裏に焼き付いている。

炎、崩れる家、泣き叫ぶ娘、血塗れの妻

――能力者(デッドリートライアル)による襲撃。

照星もまた、同じ事件で家族を失っていた

犯人は未だ見つかっていない。だから彼はSHLDへ入った。秩序が無ければ、人は簡単に壊れると知ったから。

一方別ビルの屋上でガルド・ベインはスコープ越しに警察車両を見下ろしていた。


「今さら必死だな……!」


あの日の妻が死んだ時。こいつらはこんな顔をしていなかった。


 “危険だから”


 “能力者(デッドリートライアル)絡みだから”


そんな理由で捜査は打ち切られた。

大音量の無線が鳴る。


『こちらSHLD。包囲完了』


ガルドは鼻で笑う


「包囲?」


次の瞬間。パンッ!!別方向から銃声。が上がる


『ウッッ!!』


警官が倒れ、SHLD隊員たちが混乱する。


『どこからだ!?』


ガルドは笑う。最初の狙撃地点は囮ですでに違うビルへ移動済みだった。


「昔、お前らに教わったよ」


ボルトを引く。


「現場を信じるな、ってな」


一方、照星。


「……読まれてるな」


ミアが端末を見ながら口を開く。


「相当慣れてますよあの人」


「元軍人だからだろう」


照星はスコープを動かす。


風、反射、逃走経路、全て計算するその瞬間。

パンッ!!

と銃声が鳴り照星の頬を弾丸がえぐっていく


「撃ち返してきた!?」


「……」


照星は静かに血だらけの口で息を吐く。ガルドは別ビルの窓際で笑っていた。


「いるんだろ、SHLD」


双眼鏡越しに街を見る。


「お前らみたいな奴が来ると思ってたよ」


また移動し、階段を降りる。だがガルド自身、分かっていた。


自分がもう逃げ切れないことを

それでも止まれなかった

警察が憎い

世界が憎い

そして何より


 何もできなかった自分が憎かった!


その場の警官の死体の無線が鳴る。


『ガルド・ベイン』


低い声、照星だった。


『…もうやめろ』


ガルドの足が止まる。


「……SHLDか」


『これ以上撃っても何も戻らん』


「黙れ」


ガルドの声が低くなる。


「お前らみたいな奴が一番嫌いだ!」


『……』


「守る命と切り捨てる命を決める」

「昔の警察と同じだ!」


照星は返さない。

その沈黙がガルドを苛立たせる。


「お前も家族失ったことあるか?」


少しの沈黙。


 そして。


『…ある』


ガルドの目が揺れた。


『妻と娘だ』


「……!」


能力者(デッドリートライアル)に殺された』


夕焼けの風が吹く。ガルドはしばらく黙っていた。


「……なら分かるだろ」


『分かる』


照星の声は静かだった。


『だからこそ、お前を止める』


「結局それかよ!!」


その瞬間2人は同時に発砲した。


パァン!!ーーーーー

ガルドの発砲


              ーーーーーズドン!!           照星の対物ライフルの発砲

両者の銃が火を吹いた


特殊弾頭――《ロケットアクセル弾》。

発射後、一定距離で内蔵スラスターが起動し、弾道を強制変化させるSHLD特製弾。


そして、ガルドの弾丸が照星の義肢の肩をえぐる。だが照星の弾丸は空中でスラスターが推進を開始。


 ボッ!!


軌道が急激に曲がる。


「ッ!?」


ガルドの目が見開かれる。


「まがっ――」


直後、弾丸が壁を貫通し、ガルドの頬を掠め、血が散る。


「あれっw外しました?www」


ミアが煽るように聞くが照星はスコープを覗いたまま


「…いや」


ガルドの後方では非常口の鉄扉が吹き飛んでいた、逃走経路を潰したのだ。

ガルドは理解する。


「……誘導射撃か」


『お前はもう詰んでる』


照星が告げた


『終わりだ、ガルド』


ガルドは窓ガラスに映る自分を見る。

老けた顔。疲れた目。復讐しか残らなかった男。


「……ほんと」


 銃を握る。


「クソみたいな人生だったな」


そして最後の一発をガルドは装填し、自分に向けた。その頃、照星とミアはビルを包囲したSHLDと警官に任せ、屋上を出て、下のコンビニ前で二人は一服する。


「ふう…そういえば今回のことで心境の変化はありました?照星さん」


「…いや……僕はただ任務をこなすだけだ」


遠くを見ながら呟いた

キャラの一人称が意外だと萌えるよね

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