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復讐に行ったら、超能力探偵に出会ってしまった話  作者: 小説書こう


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幹部登場。

1人の女と双子が一緒に交差点を歩いていた。その姿は見ようによっては血のつながった家族にも見えただろう。


だが、違う。何故ならその3人は貴方達読者は知っている人物だからだ。


女はレグ・レンストやセレナにデッドリートライアルの薬剤を渡して能力デッドリーに目覚めさせたり、シロウズが打倒したヘイル・ヴィークを治療した女。その名もアルレルナ・フラワーという。

そして、アルレルナの後ろを歩く双子はNISIKIで暴れ周りメロルスが撃退した双子だった。あれから2人はアルレルナの養子となり共に過ごしている。兄の名前はハイナ。妹の名前はアイナである。


「ねえ、アルレルナ」


双子の妹が声をかけた。


「なあに?」


「今日、これから何食べるの?」


「うーん……」


アルレルナは少しだけ考え、歩きながら二人を振り返った。


「二人は何が食べたい?」


「ココア」


「私も」


「ふふ。二人とも本当にココアが好きね」


アルレルナが笑う。

その笑顔だけを見れば、ごく普通の女性だった。


花柄の服。

穏やかな口調。

楽しそうに歩く双子。


交差点を行き交う人々も、彼女たちの存在を特に気に留める様子はない。それが後に、世界を脅かす存在になるとも知らずに。


そして、3人はとあるバーに入った。

バーとは言っても年齢制限のある店ではなく、どちらかといえば植物を楽しめるカフェのような場所だった。名をグリーンハウスという。


扉を開けると、店内には大量の観葉植物が並び、天井からは蔓が垂れ下がっていた。


「いらっしゃいませ」


店員が笑顔で迎える。

アルレルナも笑顔で返した。


「こんにちは」


双子を連れて、奥の席へ向かい座る。そして、アルレルナはメニューを見ることなく店員を呼んだ。


「すいません」


「はい」


「空のコップを6つもらえますか?」


「?……かしこまりました」


店員は少し疑問を覚えながらも空のコップを6つ持ってきてアルレルナの机に並べた。


「ありがとうございます」


そう言ったアルレルナの前のコップにはすでにコーヒー、双子のコップにはココアが入っていた。


店員は目を丸くしていた。


「……え?」


さっきまで、確かに空だったはずのコップ。


それなのに、アルレルナの前にはコーヒー。

ハイナとアイナの前には、それぞれ温かそうなココアが注がれている。


「どうかしました?」


「い、いえ……」


店員は困惑しながらも、頭を下げた。


「ご注文は以上でしょうか?」


「はい。ありがとうございます」


店員が離れていく。


その背中を見送りながら、アルレルナはコーヒーを一口飲んだ。


「……うん。今日の出来はいいわね」


「アルレルナが作ったの?」


ハイナが尋ねる。


「そうよ」


「じゃあ私のも?」


「もちろん」


アイナがココアを両手で包み込む。


「おいしい」


「よかった」


アルレルナは嬉しそうに笑った。


すると――。


「おーい」


店の奥から、男の声が聞こえた。


振り返るとそこには、派手な服装の男が立っていた。


金色の髪。

赤と黒を基調にしたコート。

大量のアクセサリー。

そして、これでもかというほど目立つサングラス。


「来たのね」


「まあな。外で“目立つ”のに少し時間がかかっちまった」


男はハイナとアイナに視線を向けた。


「お前ら、またココアかよ……飽きねぇのか?」


「「飽きない」」


息の合った双子の返事に男は楽しそうに笑う。


「そうかよ。ならいいや」


そう言って空いている席へ豪快に腰を下ろすと、アルレルナが彼をまじまじと見つめた。


「フラッシュ、今日も派手ね」


「当然だろ? 地味な格好なんざ、死んでも御免だね」


胸を張るフラッシュに、アルレルナは「ふふ、いつも通りね」と目を細めた。


フラッシュはグルリと店内を見渡す。


「で? 他の連中は?」


「まだよ」


「遅ぇなぁ」


「あなたが早すぎるのよ」


アルレルナが呆れたように言った、まさにその直後だった。


「失礼」


静かな声と共に、別の男が現れた。

黒いジャケットを羽織り、深く帽子を被っている。店員に軽く会釈をすると、迷いのない足取りでアルレルナたちのテーブルへ歩み寄ってきた。


「待たせたね」


「あら、アルレンド」


アルレルナが微笑む。


「相変わらず時間通りね」


「君との約束だからね」


アルレンドは椅子を引き、スマートに腰を下ろした。


「ここへ来る途中でね、店の奥に面白いものを見つけてね」


「面白いもの?」


「ああ。この店、なかなかいい酒を置いている」


そう言って、アルレンドは懐から一本の酒瓶を取り出し、得意げに掲げてみせた。アルレルナの目がすっと細くなる。


「……それ、まさか」


「もちろん、頂いてきた」


「駄目じゃない」


「良いものは手元に置きたくなる性分でね」


「それは窃盗っていうのよ」


「怪盗と言ってほしいな」


「どちらでも同じよ?」


呆れるアルレルナの言葉を断ち切るように、低く重い声が響いた。


「……騒がしいな」


店の入り口に立っていたのは、大柄な男。スネークボーンを率いるヘイル・ヴィークだった。長いコートを棚引かせ、無造作な髪の隙間から鋭い光を放つ目で室内を射抜いている。


彼は無言のまま席につくと、アルレルナに短く告げた。


「遅れた」


「大丈夫よ」


「……そうか」


短いやり取り。だが、その場に漂う空気の一変に、全員の視線が彼に集まる。ヘイルはテーブルの上のコーヒーとココアを見下ろし、鼻を鳴らした。


「随分と平和な集まりだな」


「そう見える? ええ、今日はただ"今後の予定"を伝えるだけだもの」


「予定ねぇ」


ヘイルはアルレルナの後ろで静かにココアを飲む双子へ視線を送った。


「……まあ、悪くねぇ」


双子は意に介した様子もなく、杯を傾けている。


――そして、残る席はあと一つ。


アルレルナがふと空席に目を落とした。


「……セレナは?」


「まだ来てねぇな」


フラッシュが応じる。アルレルナが端末を取り出そうとしたその時、ベルの音とともに店の扉が開いた。


現れたのはセレナだった。

しかし、かつての彼女の面影は薄い。顔色は青白く、目の下には濃い隈が落ちている。怯えたように店内を伺う姿は、痛々しくすらあった。


「……遅くなりました」


「いいのよ。座って」


アルレルナの優しい声に促され、セレナは小さく頷いて席についた。


「飲み物は?」


「……いりません」


「そう?」


アルレルナは少し考えた後、セレナの前に置かれた空のグラスにそっと指を添えた。すると、何もなかったグラスの中に、透明な液体が静かに満ちていく。


「水だけでも飲んでおきなさい」


「……はい。ありがとうございます」


小さく頭を下げるセレナを見届けると、ハイナがアルレルナの服の袖を引いた。


「ねえ、今日は何をするの?」


「なあに?」


「今日集まった理由」


アルレルナは手にしていたコーヒーカップをそっと置いた。

そして、テーブルを囲む顔ぶれを一人ずつ見渡していく。


フラッシュ。

アルレンド。

ヘイル。

セレナ。

そして、双子のハイナとアイナ。


全員が揃ったことを確認し、アルレルナは穏やかに微笑んだ。


「今日はね、みんなにお願いがあるの」


「お願い?」


アイナが首を傾げる。


「ええ」


アルレルナは頷くと、操作した端末の画面をテーブルの中央へ向けた。


そこに映し出されたのは、一枚の花の写真。

見たこともない美しい花だった。幾重にも重なった花弁は、光の加減で妖しくその色を変えている。


「……綺麗」


ハイナが思わず吐息を漏らした。


「でしょう?」


アルレルナは嬉しそうに目を細める。


「私ね、ずっとこの花を探していたの」


「これが何度も君の言っていた、世界で一番美しい花かい?」


アルレンドが画面を覗き込むと、アルレルナは首を横に振った。


「そう。でも、これはただの花そのものじゃないの」


画面をフリックすると、今度はある研究施設の情報が表示された。巨大な温室、厳重極まりないセキュリティシステム、そして――。


「この花の『種』が、ここにあるの。世界最大の植物研究施設にね」


フラッシュがニヤリと口角を上げた。


「へぇ……」


「……つまり」


腕を組んだヘイルが先を促す。


アルレルナは深く頷いた。その瞬間、彼女の表情から先ほどまでの穏やかな母親のような雰囲気が消え去り、冷徹な一面が覗く。


「この種を手に入れて、開花させたいの。そのためにまず必要なのは……『SHLD』からエデン植物研究機構の所在地の情報を盗み出すこと。アルレンド、フラッシュ。これをお願いできるかしら?」


「へえ、いいね。腕が鳴るよ」


アルレンドが帽子を軽く持ち上げて微笑む。


「ハハッ、いい感じに“目立てそう”だぜ!」


フラッシュも不敵な笑みを浮かべ、二人は二つ返事でその依頼を引き受けたのだった。

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