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第29話 テスト勉強

あれから二週間が経った、六月二十二日の月曜日。 朝のホームルームで、担任の佐々木先生が教壇から告げた。


「明日から期末テストが始まるからな。しっかり勉強しておけよ」


その一言で、教室の空気は一瞬にしてどんよりと沈み込んだ。 先生が教室を出て行くと、優の席に最川さんがやってきた。


「はぁ……明日からテストだって。憂鬱だね」 「……本当それ。もうテストとか、考えたくもないな」


優が力なく応えると、そこへ山田も加わった。


「水瀬、テスト勉強の方はどうなんだ?」 「うーん、まあまあ……かな。一応、それなりにはやってるけど」


勉強してないわけではないが、いつも平均的な点数の優は、少し言葉を濁した。 すると、最川さんが明るい声を上げた。


「ねぇ、もしよかったら、今日の放課後みんなでテスト勉強しない?」 「おっ、いいなそれ! 教え合った方が効率いいしな」


山田が即座に賛成し、隣の席に座っていた冬月さんに、最川さんが声をかけた。


「冬月さんも、一緒にお勉強しない?」


すると、冬月さんは少し身を乗り出すようにして答えた。


「あ……うん! 私も、……ぜひ混ぜてほしいな」


「決まりだね。じゃあ、どこでする? 学校に残る?」


最川さんの問いに、山田が腕を組んで考え込む。


「そうだな……。あ、でも図書室とかだと、水瀬の足じゃ移動が大変じゃないか?」


松葉杖をつく優を気遣った山田の言葉に、優は自分のギプスをぼーっと見つめて言った。

「……正直、図書室まで行くのはしんどいな。今のこの足だと、あそこまで歩くだけで疲れちゃうし」

「だよねぇ……」とみんなが悩み始めたその時、優は少し迷いながらも、思い切って口を開いた。


「……もし、みんなが良ければだけど、うちに来る? ここから近いし」


「えっ、いいのか? いきなりお邪魔して」 山田が驚いたように聞き返し、最川さんも少し遠慮がちに言った。


「そうだよ。お母さんとか、迷惑じゃないかな?」


「母さんは夜まで仕事だし。……家には俺一人しかいないから、別に構わないよ」

優がそう説明すると、山田は

「水瀬がそう言うなら、お言葉に甘えようかな!」


と笑い、最川さんも「ありがとう、水瀬くん!」と嬉しくそうに頷いた。


「冬月さんも、それでいい?」


最川さんが確認すると、冬月さんは少し頬を赤らめながら、優の目をじっと見て答えた。

「……うん。水瀬くんがいいなら、私も……お邪魔したいです」

こうして、放課後の水瀬家での勉強会が決まった。

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