第20話 開かずのとびら
暗い倉庫の中に、二人の荒い息遣いだけが響いていた。 唯一の救いは、圏外ながらも機能しているスマホのライトだ。その細い光が、埃の舞う冷たい空間を心許なく照らし出している。
「……やばい、どうすればいいの……」
最川さんの声は、先ほどまでの快活さが嘘のように震えていた。 彼女はドアの横に力なく座り込み、膝を抱えて小さく丸まっている。
(このまま、誰にも気づかれなかったら……。いや、でもさすがに二人が戻ってこないとなれば、誰かが探しに来てくれるはず。でも、それまで最川さんが……)
優は、昨夜の自分と冬月さんの姿を思い出していた。 あの時も、暗闇の中で身動きが取れず、ただ誰かを待つしかなかった。今の状況は、昨夜の自分たちの姿と重なって見えた。
「……うち、結構こういう暗いところとか、無理なんだよね……」
最川さんが、今にも泣き出しそうな、か細い声で漏らした。 いつも班を引っ張ってくれる彼女が、これほどまでに弱気な言葉を口にするのを、優は初めて聞いた。
優は、彼女を少しでも安心させたくて、前向きになれる言葉を探した。 けれど、気の利いた台詞なんて一つも思い浮かばない。自分だって、本当は不安で仕方がないのだ。
それでも、隣で震えている彼女を放っておくわけにはいかなかった。 優は少しだけ彼女に歩み寄り、努めて静かなトーンで口を開いた。
「……大丈夫だよ。きっと、助けに来てくれる」
その言葉は、彼女に聞かせるためであると同時に、自分自身に言い聞かせるためのものでもあった。
「佐々木先生だって、僕たちが戻らないのを不思議に思うはずだし……山田や村岡だって、きっと異変に気づいてくれるから。だから、そんなに怖がらなくて大丈夫だよ」
優が不器用ながらも必死に語りかけた




