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第15話 暗闇からの助け声 (後編)

後編です

そんな会話をしながら進んでいると、遠くの方から微かに声が聞こえてきた。


「おーい! 水瀬! 冬月さーん! いるかーっ!」



暗闇の向こうから、激しく揺れる懐中電灯の光が近づいてくる。


「見つけた! 先生、いました! ここです!」


大きな声を張り上げたのは、リーダーの山田だった。彼は駆け寄ってくると、二人の姿を確認して心底ほっとしたような表情を見せた。


「……無事でよかった、本当に心配したぞ」 「ごめん、山田……。わざわざ探しに来てくれて、助かったよ」


優が安堵の息を漏らすと、背中の冬月さんも小さく


「すみません、ありがとうございます」と声を震わせた。


そこへ、担任の先生が血相を変えて走ってきた。


「おい、二人とも無事か! 怪我はないか!」


最初に不気味な冗談を言っていた時とは別人のような、真剣な剣幕だった。


「冬月さんが足を挫いてしまって……」


と優が説明すると、先生はすぐに指示を出した。


「わかった、すぐ保健室の先生を呼ぶ。ここは足場が悪いから入り口まで移動するぞ。水瀬、そのままおんぶして運べるか?」 「はい、大丈夫です」 優はしっかりと


彼女を背負い直し、山田たちと共にスタート地点へと向かった。

道中、隣を歩く山田が声を落として言った。


「お前たちが戻らないから、クラスのみんな、気が気じゃなかったんだぞ」


(……思った以上に、心配されてたんだな) 優がそんなことを考えているうちに、

ようやく明かりの灯る入り口に到着すると、同じ班の最川さんと青山さんが待っていた。


「よかった……! もう、本当に心配したんだから!」


最川さんは今にも泣き出しそうな声で駆け寄り、青山さんも安堵と心配が混ざった表情で冬月さんを見つめた。


「見つかってよかったよ。……って、一星、怪我してんじゃん」


「うん、ちょっと足挫いちゃって……」 おんぶされたまま、冬月さんは照れくさそうに答えた。

そこへ保健の先生が担架を持って現れた。


「さあ、ゆっくり降ろしてあげて」


指示に従い、優は背負っていた冬月さんを、担架の上へとゆっくり丁寧に預けた。



「少し足を診るね……あぁ、これは捻挫だね」


先生の診断を聞きながら、冬月さんは応急処置のために運ばれていく。

その去り際、彼女は振り返り、優に向かって真っ直ぐに視線を合わせた。 そして、今日一番の、心からの笑顔でこう言った。


「……ありがとう、優くん」


その瞬間、優の鼓動が跳ねた。 感謝の言葉、自分を呼ぶ声の響き。それは、優の最推しであるVTuber、**星夏愛ほしなつ あい**の声に、驚くほど似ていた。


(……いや、まさかな。そんなはず、ないか)


自分に言い聞かせるように呟いた言葉は、夜風にかき消された。 けれど、耳に残る彼女の声の余韻だけは、いつまでも消えずに残っていた。



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