第15話 行き止まり(前編)
第15話です今回の回は前編、後編があります
二人が慎重に歩みを進めると、少し先に視界が開けた場所が見えた。
「あ、道が開けたみたいだ」
優が咄嗟に声を上げると、後ろから冬月さんがひょいと顔を覗かせた。
「本当だ……」
その光景に、二人の心に微かな希望が宿る。しかし、開けた場所へ辿り着いた瞬間、その期待は打ち砕かれた。
そこは広場のような行き止まりで、先へ続く道はどこにもなかった。
「嘘、行き止まり……?」
冬月さんの声が震え、焦りと恐怖で今にも泣き出しそうな表情を浮かべる。それを見た優も、背筋に冷たいものが走るのを感じたが、必死に冷静さを保とうと努めた。
「……一旦、来た道を戻ろう」
優が努めて穏やかな声で言うと、彼女は「うん……」と小さく頷いた。しかし、引き返そうと歩き始めた途端、後ろから「きゃっ!」という短い悲鳴が響いた。
振り返ると、冬月さんが地面に倒れ込んでいた。
「冬月さん、大丈夫!?」 「ごめん……足、躓いちゃって……」 彼女は痛みに顔を歪めながら、動けずにいた。
「大丈夫? 歩けそう?」 優が屈み込んで声をかけると、冬月さんは申し訳なさそうに視線を落とした。
「……ごめん、ちょっと歩けそうにないかも」
暗闇の中、彼女の細い肩が小刻みに震えている。優はどうすべきか、激しく頭を回転させた。
(こういう時、ラノベの主人公ならおんぶとかするよな……。でも、今の状況じゃそれしかないし……)
それに助けを呼びたいが連絡する相手もいない。優は意を決して、彼女に背中を向けた。
「冬月さん、俺がおんぶします。掴まってください」
その提案に、冬月さんは緊張と足の痛みで顔を強張らせながらも、消え入るような声で答えた。
「お、お願い……してもいい?」
優が彼女を背負い上げると、柔らかな重みと、彼女の体温がダイレクトに背中に伝わってきた。
「重くない……?」 「全然。……しっかり掴まってて」
二人の鼓動が重なるような距離で、優は暗い帰り道を一歩ずつ踏みしめ始めた。沈黙を紛らわすように、優がポツリと口を開いた。
「……怖がらせちゃって、すいません。俺がもっと慎重に歩いてれば」 すると、背中から安心したような優しい声が返ってきた。
「ううん、水瀬くんのせいじゃないよ。……ありがとう、おんぶしてくれて」
その声は、優しくどこか聞き覚えのあるような、心にすっと染み渡る響きだった。
最後まで読んでいただきありがとうございました
後編もご期待ください




