第九十二話 大海より昇りし厄災の主
アランとアリシアの勝利を以て、彼らの戦いは終結した。
荒れ果てた皇城の廊下。二度と覚めない沈黙に落ちた魔鎧騎士の残骸を目にし、オルレアは驚愕する。
「まさか、本当に倒してしまうとは……それも、あのような方法で……」
魔鎧騎士はリヴァイアサンの力を生贄となった人間に宿すことで生まれた兵器。故に生贄となった兵器だけを取り除けば、魔鎧騎士は力を扱う器を失い、ただのエネルギーの塊に戻る。アランはそこを狙っていた。
「大した兵器だった。流石は大厄災の力を使ってるだけはある。よくあんな物を作り上げたものだ」
『崩剣』を手元から消滅させると、オルレアに向き直る。このまま彼女にもトドメを刺すつもりだった。
だが彼女も黙ってやられるつもりはなかった。
「砕けなさい」
オルレアを拘束していた氷が砕け散る。解放されたオルレアはすぐにアランとフィーネから距離を取った。
「そんな!?なんで魔装能力を!」
「あの『死骸』が死んだからな。アレに費やしてた分の容量が解放されて、また魔装能力が使えるようになったんだろう」
あくまで冷静に、そして冷酷な殺意を向けながら。
「だがオルレア、お前程度が今の俺に敵うと思うか?」
「ははっ、無理でしょうね。私では貴方に瞬殺されて終わりそうです」
「分かって尚、抗うか」
「それがわたしの使命であり、悲願ですから。悲願のためなら、私は如何なる代価も支払いましょう。私の命でも、無辜の民の幸福でも、世界の平和でも」
「その行いは、お前の理想に反しているように見えるが」
「分かっていますよ。無関係の者を巻き込むことは私としても望むところではありません。ですが、やらなければならない時もあるのです」
並大抵の精神ではない。如何なる犠牲も許容する、確固たる覚悟をもってオルレアは剣を握っている。
ならば戦うしかあるまい。アランも拳を握った。
「…………?」
その時、アランはオルレアの様子に妙な違和感を抱いた。
覚悟に満ちた瞳の奥に、僅かに悲しみが見えた気がした。
(いや、いい。気にするな)
思考から無駄を排除する。落ち着いて一歩を踏み込み、地を蹴った。
彼の速度はオルレアの認知可能な範囲を遥かに上回る。それを分かっていたが故に、オルレアは自身に『アランが接近したら反撃する』よう命じ、自動的な反撃を可能にしていた。
アランが懐に入った瞬間、オルレアが剣を薙ぎ払う。だがアランは当然のように剣を持つ右手に手刀を当て、剣を手元から弾き飛ばす。さらに空いた腹部へ拳を叩き込み、瓦礫の山へ吹き飛ばした。
「ッ……ァがッ……」
瓦礫が体を抉る。たったの一撃でオルレアは昏倒しかけていた。威力が桁外れ過ぎる。
既に立つことすら苦痛だが、再顕現させた剣を頼りにどうにか立ち上がった。血反吐を吐きながら剣を構える。
「……さぁ、まだ私は生きてますよ、暴虐者。私を……殺して、みせな……さい」
だがオルレアの痩せ我慢は続かなかった。その場に力無く倒れ込む。
「まったく……これだから、こんな真似はしたくなかったのに……やはり『十二死天』の力は人には余るものですね。魔装具の力など『十二死天』の力と比べれば、同じ地平にすら立てない」
魔鎧騎士を使用した反動だ。オルレアの体は外見以上に満身創痍だった。
自身より遥かに格上の存在にリードを繋ぎ、使役するというのは、それだけ多大な負荷のかかる行為だったのだ。
「ですが……まぁそうですね。だからこそ、当てにするのも悪くない」
オルレアは剣を眺めながら、
「アラン・アートノルト。貴方に敬意を表して、最後に一つ、教えて差し上げましょう。貴方が倒した魔鎧騎士は二つの『リヴァイアサンの断片』と、各地から集めた千人弱の救いようのないクズたちを生贄にして作った兵器です。使用された断片の数以外は貴方の推察通りでしょう。ですが、一つだけ、貴方の推理には間違いがあります」
会話の内容はあまり頭に入ってこなかった。それ以上に気になる事があったからだ。
(なんだ、この気配は……)
それはごく小さな異変だった。
ここではない。もっと遠くから、今までに感じた事のない異様な気配を肌が感じ取った。
「貴方は言いましたね。私が皇城にいるのは『リヴァイアサンの断片』と本体を手に入れるだと。確かにそれは事実です。しかし、それは数ヶ月前に完了しています。我々は『リヴァイアサンの断片』を四つ、全て保有しています。その内の二つは魔鎧騎士に使いましたが、幸いなことに、魔鎧騎士に力が残っている。『断片』二つ分としての役割はまだ十分に果たせるでしょう」
異変はさらに肥大化していく。遠くから感じる気配は次第に大きくなり、空気や地面が揺れ始めた。
やはり気のせいではない。何か、こちらの想像を絶するナニカが地の底から目覚めようとしている。
「…………」
ここは皇城。そして皇城から一キロほど離れた海域に広がる海の底には『リヴァイアサンの本体』が封印されている。
そしてオルレアたちは『リヴァイアサンの断片』を全て揃えている。魔鎧騎士はアランが倒したが、それは魔鎧騎士の中にある生贄にされた人間を取り去ることで倒したのだ。『リヴァイアサンの断片』としての力は未だに健在。
それは、つまり────。
「……………まさか、お前ッ!?」
「気づきましたか。ええ、その通りです。これは皇国を破壊する事になるので、本当は使いたくなかったのですが、やむを得ません。精々足掻いてください、アラン・アートノルト。お仲間の方々と一緒に」
海が揺れる。大地が激しく震える。気配がハッキリと感じられる程に大きくなっていた。
オルレアは微笑んだ。海底から来たる、世界の終焉を目前に。
「さぁ、終焉の幕開けですよ」
「オォォォァアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
響き渡る咆哮。その産声は聞くだけで全神経が恐怖に支配されるような、この世ならざる生物の声だ。
深海の底から響いた咆哮は、皇都どころかリフレイム皇国全域に轟いた。
同時刻、皇都の隣海、皇城から一キロほど離れた海域にて信じられない光景が広がっていた。
海に大穴が空いていた。直径百メートルに及ぶ円形の大穴から、長大な影が天に向かって立ち昇る。
その巨体の全長は───約五百メートル。蛇のような体形をした巨龍は全身に青い鱗を纏っている。
体の側面から等間隔に腕が生え、体の先頭付近の側面や背面からは巨大な五対の翼、先頭の頭部には金色の双眸が嵌っている。
「オオォォォォォガァァァァァァァァァァァァッ!!!」
大口を開き、再び咆哮を上げる。口の中には血濡れた無数の牙が生え揃っている。
人間も、動物も、虫も、鳥も、魚も。その怪物の出現に気付いた全ての生物が一切の例外無く、凍ったように固まっていた。
それは決して恥ずべき事ではない。生物として当然の反応だ。
其の牙は全てを砕き、其の爪は全てを裂き、其の鱗は全てを跳ね除け、其の息吹は全てを下す。
生物としての格があらゆる意味で圧倒的に違う。比べる事すら烏滸がましい程にだ。
気付けば夜空は曇天に変わっていた。空を覆う黒い雲からは豪雨や雷が振り注ぎ、風は大嵐と成り果て、海は激しく波打ち荒れる。
まさしく天変地異が巻き起こる中、巨龍は静かに宙を舞っていた。
それは今より数千年前に生まれ、数え切れない程の命を蝕みながら王になるべく時を重ねた大厄災の化身。
五百年以上前、いくつもの国と生命を滅ぼし、全ての海を支配した大海の王者。
この世に生きる、ありとあらゆる生物を遥かに超越した史上最強最悪の十二体の魔法生物、『十二死天の大厄災』が一柱。
故にその名を知らぬ者はこの世にいない。
大海原を統べる帝王。万物の原初を生きる頂点者。
その名を───海帝龍リヴァイアサン。
五百年の時を経て、大厄災はこの海に再臨した。
***
「………………は……ぁ?」
その時、ようやく俺は口を動かせた。
動いたのは口だけだ。全身は今も恐怖に震えている。
当たり前だ。動けるものか。
こんな……こんな生物が、この世に存在していいのか!?
「なんだよ……やっぱり嘘じゃねぇか、あの人……」
いつぞや師匠に言われた事を思い出す。
俺たち学園最高戦力者なら、『十二死天の大厄災』が相手でも負けない実力があると、師匠は確か言っていた。
今にして思えば全くふざけた発言だ。今すぐ師匠を殴ってやりたいと思うほどに。
(こんなの……こんなの……!!)
戦わずとも、考えずとも、ただ目にするだけで理解できる。
「勝てるわけ…………ないだろ」
勝てない。絶対に勝てない!たとえ俺が……いや、俺とアリシアが束になって全力で戦ったとしても無理だ!
勝てるイメージが一切湧かない!何をどうすればあの化け物を殺せる!?いや、そもそもアレを傷付けられるのか!?
***
「はははっ……凄まじい、ですね……アレが、かの大厄災……私の、私たちの想像など……遥かに、上回る……真の怪物」
リヴァイアサンの出現を確認し、オルレアはゆっくりと瞳を閉じる。
「……せっかく、封印を……解いたの、ですから………存分に、暴れて、くださいよ…………」
それからオルレアが喋ることはなかった。
沈黙したオルレアの手首を掴み、アランは脈を確かめる。
「アラン、オルレアは……」
「気絶してるだけだ。リヴァイアサンの封印を解くために魔装能力を使ったんだろう。既に限界に達してる体でな」
横を見ると、そこにあった魔鎧騎士が残した鎧が消えていた。リヴァイアサンの封印が解かれた際に、リヴァイアサンの力として取り込まれて消滅したのだろう。
「色々と言いたい事はあるだろうが後にしろ。今は本当に余裕がない」
「それは分かってるけど……だけど!か、勝てるの!?あんな、バケモノに……!」
ここからでもリヴァイアサンの巨体はよく見える。
フィーネにも理解できた。アレは生物としての次元が違う。正直、喋るだけでもかなりの気力を消費する。
「………無理だ。見るだけで分かる。俺一人ではどう足掻いても勝てない。だからお前に──」
「グゥゥゥゥゥゥオオオオオァァァァァァァァァ!!」
再び轟く大厄災の咆哮。しかし今度は吠えるだけではなかった。リヴァイアサンの口元に尋常ならざる量の魔力が集約されていく。
この気配は───。
「クソッ!もう攻撃するつもりか!」
このまま放置すれば終わりだ。リヴァイアサンの攻撃で皇都は更地と化すだろう。
すぐさまアランは飛び上がり、予測されるリヴァイアサンの攻撃の射線上に移動する。
そしてその直後、
「ゴォォォォガァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
大咆哮と共にリヴァイアサンの口から極大の砲撃が放たれた。
その規模はアランが扱える砲撃など比にならない。絶望的なまでに桁外れの砲撃が皇都に向けて猛進する。
「《封印領域解放》!!」
それに対抗するべく、アランは周囲の空間内の『攻撃』の概念を封印した。この領域内ではあらゆる攻撃は無効化される。これでリヴァイアサンの砲撃を受け止め、そのまま無効化するつもりだった。
すぐに砲撃が封印領域と衝突する。概念封印の効果を受け、確かに砲撃は動きを止めていた。
だが、それまでだ。
「ッ゙……なんて、力だよ……!」
アランは必死に封印を維持する。そうしなければ、今にもこの魔法が破られそうだった。空間に施した概念封印が、さらに上位の概念的な何かに徐々に塗り潰されていくのが分かる。
(コイツ、やっぱり概念干渉してるのか!それもただの砲撃で!)
あまりにも規格外。アランの常識がまるで通用しない。残酷なまでの格の違いをただ見せつけられる。
このままはではジリ貧だ。封印領域を破られれば、まずアランが砲撃に当たる。そうなれば確実に死ぬ。
(クソッ!どうする!どうすれば……!?)
絶望的な状況に表情を歪めた、その時。
「──主よ、清浄なる焔にて、彼の罪業を焼き尽くし給え!」
祈り言と共に、海面を駆けるアリシアが見えた。
双剣を輝かせながら、アリシアは一直線にリヴァイアサンに接近する。数百メートルの距離があるが、彼女の足なら数秒だ。
そのままリヴァイアサンの頭部の真下に回り込むと、海を蹴って飛び上がった。
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
リヴァイアサンの頭部へ斬撃を放つ。剣を振り上げた瞬間、凄まじい質量の閃光が天へ立ち昇った。リヴァイアサンの頭部は極光に呑み込まれる。
本気で撃った。それこそ頭部を消し飛ばす勢いで。それなりに強力な魔法生物でも、跡形も残らない程の威力はあった。
「…………そんな」
しかし次の瞬間、アリシアは絶望する。
リヴァイアサンの頭部には、傷一つさえ付いていなかった。
「オォォォォォァァァァァァ!!」
リヴァイアサンは視線をアリシアに向ける。
攻撃するつもりだ。今、アリシアは大火力の攻撃を打ったばかりで動けない。
このままはでは───。
「───《海神の矛》!!」
瞬間、叫び声と共に一本の三又槍が投げ込まれた。三又槍は周囲に激流を描きながら、リヴァイアサンの鼻先に激突するが、敢え無く弾き返された。
「クソッ、やっぱり僕じゃ無理か」
そう言いながら手元に三又槍を再顕現させていたのは青髪の少年。
アランの友人にして学年実力序列第七位である、リオ・ロゼデウスだった。
「リオ・ロゼデウス!?何故貴方がここに!?」
「事情はアランに聞いてください!アイツなら知ってるので!それより早くアランの所に行ってください!」
「そうは言っても、貴方はどうするのですか!?」
「僕はここで時間を稼ぎます。全力でやれば少しは保つ……いえ、保たせます!」
「ですが、貴方では……!」
「そう思うなら早く行ってください!僕でも分かる。このまま無策で戦っても勝ち目は無い!」
「…………ッ」
確かに一度アランと合流したい。状況確認やリヴァイアサンと戦うための作戦を考える時間が必要だ。たとえアランとアリシアが束になっても、無策では絶対にリヴァイアサンには勝てない。
だが、時間稼ぎをリオ一人に任せるのはあまりに危険だ。彼では保っても数分、いや数分保てば良い方だ。
「………王女として命じます。危なくなったら必ず逃げてください!そして死なないように!もしこの命令を破った場合、法に基づき貴方に罰を下します!」
逡巡の後、アリシアはその場を去った。
今はリオを信じるしかない。リオのために、少しでも早くアランと合流し、作戦を決めて戻ってくる。それが自身のやるべき事だ。
「ははっ、善処しますよ。僕も死にたくないので」
苦笑しながらリオはリヴァイアサンと向き合う。しかし規格外の巨体は全く視界に収まりきらない。
(あーなんか懐かしいなぁ。この絶望感)
この感覚には覚えがあった。一年生だった時に行われた第一回序列戦、そこで本気のアランに徹底的に叩きのめされた時の感覚だ。
絶対に自分では勝てない、天文学的な確率の奇跡すら望めないような、遥か格上の強者を前にした感覚。恐怖に体が竦むが、なんとか笑みを浮かべてみせた。
「さて、悪いけど少し付き合ってもらうよ、リヴァイアサン。アランたちが戻るまで!」
***
「ッ……はぁ……はぁ」
地に膝を付きながら、肩で息をする。
アリシアとリオの助勢のおかげで、なんとか耐えられた。出来れば戦う前にアリシアと合流し、作戦について話したいが。
「アラン君!」
そう考えているとアリシアがやって来た。
タイミングが良い。恐らくリオが仕向けたのだと察した。
「無事だったか、アリシア」
「それは私のセリフですよ。体は大丈夫なのですか?」
「問題無い。まだまだやれる」
そう言って前を向くアランの姿を、アリシアは見つめていた。
姿はいつもと変わらない。変わっているのは彼の内面だろうか。冷酷な暴虐者としての雰囲気はある。だがその中に、激しく燃える熱情と決意が感じられた。
アランの残虐さをよく知っているが故に、アリシアはその変化に驚いていた。まさか彼がここまで吹っ切れた表情を出来るとは。
「………何か、良い事でもありましたか?」
「その話は後でしてやる。今言えるのは俺の調子がこの上無く良い事と、現状がこの上無く絶望的という事だ」
「その事ですが、今リオ・ロゼデウスが時間稼ぎをしてくれています」
「ああ、さっき見えた。だがアイツでは長くは保たないだろう。早速俺の案を話すが……その前にだ」
アランは『虚空の手』からナニカを取り出し、アリシアに見せる。
「今から『助っ人』を呼ぶ」
それは長方形型の物体だった。表面は液晶が付いており、裏面は黒いカバーが付いている。アリシアは初めて見る物だった。
「それは……魔導器、ですか?」
「ああ。シエルが作ったものだ。仲良くなった時に俺にくれた。異界ではこれを『携帯』と呼ぶらしい」
アランは携帯の側面にあるボタンを押す。すると液晶に光が点いた。
「辞書機能や計算機能、連絡機能とか、色々と機能があるらしい。ただ使い方が特殊でよく分からないから滅多に使わないんだが……今はコレの使い時だろう」
ぎこち無い手付きで液晶画面を指で突いたり、なぞったり。その度に液晶に映る映像が変わる。
しばらく液晶画面を操作すると、アランは耳元に携帯を当てた。
「……ああ、俺だ。急で悪いが…………もう知ってたか。なら要求は分かっているな。悪いが今すぐ……は?報酬?それはもちろんアリシアが用意するが」
「え、はい?何故私が──」
「欲しい物は何でも出す。だから来てくれ。正直、お前がいても勝率は低いと思うが、お前がいなければ俺たちは確実に負ける…………ああ、分かった。頼んだぞ」
会話が終わったのか。アランは携帯を『虚空の手』に収納した。
「………あの、誰と話していたのですか?」
「すぐに分かる。多分その辺に出てくるから」
「え?」
適当にアランが指差した空間。そこに奇妙な光景があった。
水色の極小さな立方体の集まりで出来た、等身大ほどの楕円形の壁。その壁を突き破り、人間の手が出てきた。
出てくるのは手だけではない。腕を出し、脚を出し、頭、胴体と次々に体の部位を出し、やがて一人の少女が現れた。
少女は空間の繋ぎ目を消滅させると、アランたちに向き直る。
「ふわぁぁぁぁ……この連休はひたぁすらのんび〜りするつもりぃだったのぉに、完全復活したリヴァイアサンと戦えとかぁ……ホンットぉぉぉぉぉに高く付くかぁらね?」
休日なので、着ている服は制服ではなく私服だ。黒のショートスカートと白のブラウス。ピンクの短髪を風になびかせながら、蒼眼の少女は眠気に満ちた声で言った。
「すーぱーてくのろじーの権化、シエル・グレイシアちゃんが、特別に来てあげたぁよ」




