表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: 光秋
第二章 魔都・動乱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/722

123 アユミ、オーバーロード

 ――熱い!


 ――体が熱い!


 ――体の奥から爆発しそう!


 ――助けて!


 ――助けて!


「アマン! タイランッ!」


 のしかかる大量の〈生きる死体(リビングデッド)〉に圧し潰されながら、アユミは意識が朦朧としていた。

 体は熱く、言うことを聞かない。

 次第に視界が狭くなる。

 景色が黒から赤一色になる。

 全身の骨が軋む。

 皮膚が膨張する。

 声を出そうとすると奇妙な唸り声しか出ない。

 自分の様子がおかしいことはわかる。

 だがそれを止める(すべ)は見つからない。


 目を閉じ、体を縮こまらせ、存在を隠したくなる。


 しかしその気持ちとは裏腹に、体は膨らみ、熱は上昇し、唸り声は大きくなった。


「グ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」


 咆哮が夜の盗賊都市に木霊した。


 その夜、盗賊都市にいた生ある者は、皆すべからく、その咆哮を耳にした。

 そして、その(のち)、生き残ることのできた者は、脳内にその姿を刻み込まれることとなった。


 アユミに群がり、のしかかっていた死体全てが吹き飛ばされた。

 そこに集まりだしていた死体、全てが踏みつぶされた。


 そして、闇夜を引き裂く紅蓮の炎が立ち上り、街は燃えた。



 ズン!



 地響きが鳴った。

 戦場の中心地となっていたヒガ・エンジの屋敷跡に、巨大なドラゴンが立っていた。

 全身を赤い鱗に覆われ、体中から火の粉をまき散らす。


「グルルル」


 喉の奥から炎とともに獰猛な唸り声が響く。

 その姿は周囲のどの建物よりもでかい。

 巨大な火竜(レッドドラゴン)が立っていた。


 空中で髪に巻きつけたレイとアマンを抱えながら、オーヤはその惨状を見入っていた。


過負荷(オーバーロード)。〈紅竜美人(レッドラッケン)〉の超暴走(フルドライブ)に耐えられなかったようね」


 チラ、とオーヤは抱えるレイを盗み見る。

 あの紅姫の姿を見て、またぞろ不安に陥っているのではなかろうかと心配したのだ。

 だが、レイは胸に(いだ)いたカエルに安心して、あろうことか微睡(まどろ)んでいた。


「相当そのカエルが気に入ったようね」


 ひとまずオーヤは胸をなでおろすが、反対にこのカエルを奪われた紅姫が暴走してしまったのだ。

 当然こちらに狙いを定めてくるだろう。


「せっかくの軍団が全滅してしまうかもしれない」


 それはオーヤにとっても望ましい事ではなかった。



 カッ!


 街の一角が激しい爆発に飲み込まれた。

 アユミの口から放たれた超高温の熱射放線(ヒートブレス)が港方面に放たれたのだ。

 その一撃で港の倉庫がいくつも吹き飛び、停泊していた船舶が何隻も破壊されていた。

 海水はブレスの熱で沸騰し、大きく蒸気を上げている。

 丘の上の上流街から港湾部の間にそびえたつ街の大鐘楼も破壊されていた。

 街路を徘徊する死体の群れが、崩れた瓦礫の下敷きになる。

 当然逃げ惑う街の住人達にも犠牲者は出る。


 深夜に繰り広げられる大破壊に、五商星の四人も言葉を失っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ