魔女の日記
『魔女の日記』を手に取って、ページを捲った。
僕の隣でアシュリーは日記を覗き込んだ。
『7月26日
外に出たい。でも出たら怒られちゃう。
普通の女の子がよかった。いつもそればかり。』
『7月27日
お兄ちゃんが私を描いてくれた。
お兄ちゃんの絵は優しくて、上手だから大好き。』
『7月28日
私の味方はお兄ちゃんだけだね。
いつも励ましてくれたり優しくしてくれてありがとう、お兄ちゃん。』
そこで日記は終わっていた。
字は達筆だった。目を覚まして見つけた手紙に書いてあった字と同じだ。やっぱりあれは魔女からの手紙だったんだ。
短い文章から元々魔女は性格のいい子だったのだと僕は読み取った。若しくは極度のブラコンか。
確かにそうとも取れるが、26日の日記がどうも引っかかる。
「魔女は外に出たら怒られるような、周囲とは違う特徴をもっていた、ということ?」
僕は独り言を呟いた。
見た目が麗しくないから?そんな理由で閉じ込める親は最低だ。これは多分違う。
でも『私の味方はお兄ちゃんだけだね』って書いてるし、しかも仮にそうすると矛盾しないのだ。僕は頭を抱え込んだ。
「多分、身体が弱かったんじゃないかな…」
アシュリーは仮説を立てた。それも一理ある。
「ヒントが少ないから、また色々情報収集しよっか」
「…そうだね」
取り敢えず今は仕方がない。情報が少な過ぎる。
けれど、少しだけ魔女の人物像が見えてきた気がした。決して無駄ではないことは確かだ。
そろそろ書庫から出ることにした。




