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才能とよい子の作り方  作者: 水無月かなで
6/8

紡ぐ言葉はまだ途中

僕は頭が真っ白になった。

「そんな…嘘だ」

「まだ魔女と決まった訳ではないけど…この二人から避けた方が身のためだと思うの」

僕は口を噤んだ。エリンも申し訳なさそうに目を細めている。


「僕は頑張って生き残るから…そのときはエリンを」


ガシャーンドタドタドタッ!!


言いかけた言葉を遮るように書庫から、ものが倒れてきたような鈍く間抜けな音が響いた。

「…ヒントをくれてありがとう、エリン」

「いえいえ。お兄様の役に立てて嬉しい」

僕は急いで書庫へかけていった。


「アシュリー!」

扉を乱暴に開けた先に、アシュリーは本棚の下敷きになっていた。はみ出している色白な右手は、僕に助けを求めているようだった。


僕はなんとか本棚を支えることができた。と言ってもかなり危ないラインなのだが。

その間にアシュリーは左足を若干引きずりながらも、その場から離れてくれた。怪我は左足だけだったのは不幸中の幸いだろう。

「エリック…ありがとう」

アシュリーの声のおかげで己の力を存分に発揮し、本棚を立たすことに成功した。

大量の本が散らばっていることに対しては仕方ない、今は片す気にはなれなかった。


「アシュリー、何をしてたの…?」

「手掛かりになりそうな本を探してたら…急に本棚が倒れてきて逃げれなかった」

アシュリーは左足の傷を両手で覆った。赤黒く、鉄の臭いのする鮮血が、アシュリーの足や腕に伝って、その紅が床を染めていく。

見ているだけでも心が痛んできた。やっぱり僕、血を見るのは怖い。


僕はリュックサックからハンカチを出した。そのハンカチでアシュリーの傷を包むように結んだ。

「エリック、ありがとう。でも…ハンカチ汚しちゃった。ごめん…」

「ううん、大丈夫。これでマシになるならいいんだ」

そう返事した直後、ある本に視点が移った。

僕は微かに動く唇で、その本の題名を読み上げていた。


「『魔女の日記』…」

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