美しい少女
僕はパニックになりそうだった。武器になるようなものが見つからないのだ。もういっそのこと水筒を投げて逃げるべきか…
蔦はどんどん伸びてくる。僕は開始数分でエンディングを見なくてはならないのだろうか。あまりにも短い人生だった。せめて彼女が欲しかったな。
そう思ったのも束の間、僕は宝石の存在を思い出した。自ら光るくらいだし、ただの宝石ではないことはもう証明済みだ。
「悪魔の動きを止めて!」
宝石を握りながら、僕は叫んだ。それに反応するように、宝石は金色に光った。
その刹那、悪魔は時が止まったかのように固まったのだ。動く気配は全くない。
この悪魔を殺すべきかを考えたが、一時停止で済ますことにした。あの悲痛な叫び声が脳裏に焼き付いて離れない。
僕は急いで走り去り、部屋の奥へ奥へと逃げた。クレヨンで描かれた花が道に沿って、辺りを埋め尽くしている。
「怖いよぉ、助けて」
「お兄さんが欲しい」
「逃げないで」
口々に子供の声がする。別に嫌われてはいないようだが、安心できる要素は何一つない。
多分、この声の主も悪魔だろうから。
クレヨンの道が終わりかけ、新たな扉が見つかった。ここに行けば、この居心地の悪い部屋から脱出できるだろう。
扉を開こうとしたが、下にナイフが落ちていた。もしかすると役に立つかもしれないので、ナイフを回収した。
扉を開くと人形、否、僕と同い年くらいの美しい少女が倒れていた。
長く繊細な金髪を一つに編み込み、白いリボンで結んでいる。赤いスカートと潔白な長袖シャツ、スカーフに宝石が埋められて上品な印象のある格好をしている。
白く陶器のような肌、高すぎず低すぎない鼻、閉じている目には長い睫毛が生え、艶のある唇、まさに神によって作られた人にしか思えない。
思わず目を奪われてしまう。
「だ、大丈夫!?」
それでも人が倒れていること事態が異常だ。だから安否は確認しなくては。
少女は微かに唇を動かした。
「…向こうに悪魔がいて……倒そうとしたの……それで体力を使っちゃって……心配させてごめんなさい」
「大丈夫ら生きててよかったよ。僕はエリック。君は誰?」
「…私はアシュリー。良ければ一緒に行動しない……?二人の方が心強いと思うよ」
アシュリーはそう言って、目をゆっくり開けた。澄んだ青い双眸に大きく形の良い目は、人を惹きつけるような魔力があった。
「そうだね、一緒に行こう」
僕は手を差し伸べ、アシュリーは僕の手を取った。




