07「死神と天使」
07「死神と天使」
猫を飼った事の無い者が・・・
近い体格で、同じ模様の猫の個体の区別が付かない様に
犬を飼った事の無い者が・・・
近い体格で同じ犬種の犬の個体の区別が付かない様に
仕える神や、仕えている名のある天使によって違う「種類」
更に、その中に存在する「天使の階級」での違い
そして、それぞれに属する個体の区別は・・・
天使ではない者には難しかったの、だけれど・・・
自分の死神としての仕事を邪魔してきた
「1人の幼いアンジェリカ」と、出会ってから
今まで、モルスは天使の男女の区別程度しかできなかった筈なのに
いつの間にか、天使の中で「そのアンジェリカだけ」を
見分けられる様になっていた。
「顔立ち・髪型・服装」姿形全てが似通った天使の中で
モルスは、彼女だけに興味を引かれ
他の天使と比べ、死神を見る度に怯える彼女に気付き・・・
モルスは、「あの時」時間が無くて「騙してしまった事」を謝り
死神に対する「誤解」を解きたい・・・と、思った。
モルスは、子猫のヨシュアに事情を話し・・・
トートと、ラ・モールから『天使には近付かない様に』
と、言われている事を気にしながらも
天使の中で若干、孤立しているように見えるアンジェリカが
1人になった所を見計らって声を掛けるが・・・
どうしても、逃げられてしまう
そんな事を繰返す内に・・・
何度か深追いし過ぎて、他の天使に見付けられ
天使達は・・・
『私達は「死神が嫌い」なの!視界に入るだけで不快に感じるわ』と、言い放ち・・・
『近寄って来ないで』と、彼女を連れ去ってしまった。
その現場を見掛けた若い死神達が、ヨシュアから事情を聞き
モルスの味方になってくれるようになる
・・・死神達は愚痴る・・・
「役割を持った天使」が、誇り高く威張っているのは
理解できなくもないが・・・
「名も無き天使」で、死神と似たような仕事しかしていない
小天使の「アンジェリーナ」達と・・・
それ以下の仕事しかできない「アンジェリカ」に
「死神」は・・・
「宗教に管理されていない死者」の「魂を拾い集める」
「ゴミ拾い的な役割の者達」だと言われ、思われていると・・・
・・・天使の性質上「負の願い」が叶えられないのだから・・・
『死神より「叶えられる願いが少ない」癖に生意気だ!』
と・・・声を揃えて語るのは当たり前なのかもしれない
死神達が・・・
『正直、仕事できない天使にそんな事を言われる筋合いは無い』
と、言っても思っても仕方が無い状態であった。
実質、アンジェリカに至っては・・・
「死を管理する全て者達」の中で「立場が一番下」なのである
幼いモルスは今まで知らなかったのだが・・・
アンジェリカには、願いを叶える力は殆ど無いらしい
死す者の了承を得て連れて行くだけがアンジェリカの仕事だと
先輩達に教えられ知り、思い出す
『私には死んだ子を連れて行く事しかできないの・・・』
初めて出会った時、彼女は正直にそう言っていた
モルスは・・・謝りたい事がまた1つ増えてしまった。
モルスとヨシュアは、他の死神達の手を借りて
一人のアンジェリカだけを追掛ける
それでも、彼女と直接話す事はできなかった
彼女は、同じアンジェリカ達に囲まれ
『子供とは言え、こんな「ゴミ拾い的な役割の者」に
アナタも、声を掛けられるだなんてとっても不愉快よね?』と
モルスを揶揄する言葉に同意し
同意を取り付けたアンジェリカ達はモルスを嘲笑い
彼女を連れて、天へ帰って行く
天使達は如何なる時も、彼女に近付く事を許さなかった。
何も彼女に伝えられないまま・・・
「謝る」には、時が経ち過ぎてしまった頃
・・・ラ・モールから、天使が死神を嫌う理由を聞く・・・
『小天使の「アンジェリーナ」もそうだけど・・・
特に「アンジェリカ」は、天界生まれ以外の者に触れると
羽根が変色してしまって、染まった羽根は元に戻らないんだよ』
モルスは、あの時・・・
彼女を精神的に追い詰め、猫達を抱かせた事を深く後悔し直す
・・・ラ・モールは知っている限りの事を教えてくれた・・・
天使達は、羽根に色が付く事を何より恐れ
仲間の羽根が、他の色に染まる事も許せないそうだ・・・
羽根の色が変色した天使を迫害し、集団で虐める習性もあるらしい
『基本、羽根が変色してしまった天使はね
その翼が小さくなろうとも、染まった羽根を激痛に耐えてまで
自分で抜いて、自分の身を同じ天使達から護るんだよ』
ラ・モールの説明にモルスは途方に暮れ涙を零した。
『どうしよう』
知らなくて陥れてしまった相手への思いで胸が痛くなる
『あの子を苦しめたかった訳じゃないのに・・・』
痛い思いをして自分の羽根を毟ったであろう、物理的な痛み・・・
周りから受けさせられたであろう、精神的な痛みと恐怖・・・
彼女が受けた苦しみを思い浮かべ、モルスは・・・
泣く事しかできなかった。
『理由は、ヨシュアから訊いたから言わなくて良いよ
でも・・・もう追掛けて、その子を追い詰めては駄目だよ
僕等には、「アンジェリカの女の子」を救う力はない
誰も、助けてあげる事なんてできないんだ・・・
僕等にできる事は、死ぬ時に願いを叶える事だけだよ』
ラ・モールにそう言われ・・・
後から知ったベファーナに
『辛い思いをしたのね』と、抱締められ・・・
トートに・・・
『態度が悪くても、ある程度は許してやれ
あいつ等も生きるのに必死なんだ・・・
好き好んで俺等を態々、嫌ってるって訳でもないからな』
と、ちょっと不器用に慰められた。
「あの時の事」を後悔し続けていたモルスは
増えた「もっと深く大きな後悔」と「自責の念」の中で・・・
彼女の翼をこれ以上、自分が汚してしまわないように
アンジェリカ達に気付かれない程、とても遠くから彼女をそっと
見守る様になった。
我家の歴代猫様の写真を他人様に見せると・・・
3匹の猫様の写真が、単独の写真だと1匹の猫様に思えるそうだ・・・
それぞれ違うんだけどなぁ・・・
3匹一緒に写った写真見せるまで理解して貰えなかったよ・・・
ちょっと、悲しいです。




