05「モルスの立場」
05「モルスの立場」
幼いモルスが道端で、「瀕死の状態」で発見された後
モルスがベファーナの家で介抱されていた頃・・・
「子供の死神」に、「単独で仕事」をさせていた事が
大問題になっていた。
今回の事で・・・
モルスの上司の「その職務規定違反」が発覚し
モルスが所属する死神組合・・・
死神の種類があるだけ存在する「魂収集ギルド」を
更に総括する「死神の偉い人」
名のある死神「タナトス様」の御耳に入り
死神だけではなく、天使が集めた魂も管理する
・・・「もっと上の偉い人」・・・
冥界を司る神「プルートー様」にまで「その話」が届く
そうして規定を知らなかった、幼いモルスにも・・・
「謹慎処分」と「メインの業務からの追放処分」が通告された。
モルスを拾い、子猫をもっふもふの「毛玉」にした・・・
「モルスの保護者」に任命されたばかりの「トート」曰く
『風邪が治って、体調が万全になるまで
ベファーナの家で、療養しながら謹慎してろ』と・・・
『リストされてる以外の「死」が増えて手が回らないから
永久的に「そっち」担当になったから頑張れよ』との事
・・・なのだが・・・
「モルス」を「同じモルス達」が心配して
仲良かった子等を中心に、何人かが御見舞に来てくれ
『上司は「降格されただけ」で済んだけど・・・』と
「憤り・愚痴り・自責の念」を洩らして帰って行った。
モルス達だけが所属するギルドの中で・・・
更なる処罰が「被害者の筈のモルス」にだけ直接
与えられる事になったそうだ・・・
「上司の職務規定違反を露見させた」モルスは・・・
「モルスの集落」から追放される事になったらしい
『大丈夫だよ・・・君の居場所はここにあるから
今日から、この家のギルドメンバーの一員だからね』と・・・
既に自分の元のギルドで問題起こして「住みついている」と言う
ここでモルスが目を覚ました時、一番初めに出会った死神
モルスの第2の保護者であるラ・モールが慰め・・・
モルスの頭を撫でてくれた。
年が明け・・・
風呂に入れられて、もっふもふの「黒い毛玉」になっていた
黒い子猫も、もふもふした毛が落ち着き
ちゃんと毛足のある「喋るけど」
見た目・・・普通の子猫になってきていた。
そして今日も、保護者のトートからの許可が出ない為
モルスはベットの上で、子猫と遊ぶ
『お前、意外と・・・何か高そうな毛並の猫だったんだな』
モルスは、撫で転がし柔らかい毛並みを堪能していた。
遊びが白熱してくると、子猫は噛んでくる・・・
本気で噛まれても顎の力がまだ弱いので、
それ程までには痛くない
・・・が、しかし・・・
小さな手の小さな爪が意外と痛い
猫は小さくてもやっぱり獣で、鋭い爪は立派な武器だった
引っ掻かれた所が、ちりちりと痛む
モルスは初めて、子猫の爪が・・・
普通に怪我するよりも、地味にず~と痛くて辛い事を知った。
『「ヨシュア」ごはんよぉ~』
遠くからベファーナの綺麗な声が聞こえて来る
『はあぁ~い!』子猫は甲高い声を上げ
いそいそとベットから降りて、モルスの部屋を出て行く
・・・猫用の小さな扉から出て行きながら・・・
『モルス!また後で遊んでやるから大人しく待っていろよ』と
振り返り言って、走り去る
ベファーナが、飼い主に名乗りを上げてから・・・
いや、多分・・・ここへ来てモルスより先に目を覚ましてから
立場は・・・子猫の「ヨシュア」の方が上になってしまったらしい
モルスは笑い・・・溜息を吐いた。
1日中ベットの上に居るのは退屈だ
そんな退屈を持て余して、窓の外に目を向けるとそこには・・・
尻尾を振って服従ポーズをとってしまうケルベロスや・・・
臆病で、群れの中にいないと逃げ隠れしてしまうケルベロス・・・
見た目に怖さが足りないケルベロス等・・・
プルートー様の所から、モルスの保護者のトートが引き取ってきた
「地獄の番犬」に向かない落ちこぼれのケルベロスの無数の群れ
幾つかの犬橇が、出て行くのと帰って来るので
物凄く混雑しているのが見えた。
・・・勤務交代の時間なのだろう・・・
帰ってきたモルスの保護者のトート率いる部隊に代わり
今度は、もう一人の保護者のラ・モールの部隊が
「見回り兼、魂の収集」に出掛けて行くのが見えた。
モルスの保護者達は、この「ベファーナの家」を拠点とする
ギルドの「頭」と「№2」だったりする
モルスは、2人の大物に拾われた幸運を感謝していた。
暫くすると・・・
扉を軽くノックして、トートがモルスの部屋に入って来る
『土産を持って来たぞ』
トートは、小脇に抱えていた小さめなケルベロスを
ベットの上に居るモルスの膝の上に下ろした。
『お前が今から訓練を担当する「ケルベロス」だ
但し、名前は付けるなよ?力の無い者にとって名前は・・・
「命取りになるモノ」以外のナニモノでもないからな』
・・・トートはモルスに対し・・・
名を持つ事で固有名詞に支配され
家畜や使い魔にされる可能性をそれとなく示唆する
その事は、死神が基本「固有名詞を持たない理由」に近い
危険なのは・・・呪術で縛られる危険性
他に・・・根も葉もない嘘や噂が、真実と摩り替わり
個体を支配して、自滅させる事もあったりするから・・・
他の者からの支配に対抗する術が無い者にとっては
「固有名詞・名前」は、無い方が安全なのだ。
『訓練って、した事無いんですけど教えて貰えますか?』
モルスの「このギルド」での仕事が決まった・・・
基本、下働き・・・ベファーナの御手伝い
時々・・・トートか、ラ・モールの保護者コンビに連れられて
死神としての仕事を数件こなして、ケルベロス達の御世話もする
モルスが「モルスと言う種族」だけが所属するギルドに居た時の
忙しない仕事詰めの日々が・・・ここでは、嘘の様に暇だった。
05の裏設定は・・・
「上司」より「部下の処分」のが「重い」事があるってのと
「名を持つ=有名人になる」って事は・・・
それで与えられる不利益に対抗する術がないと危険って事だったりします。




