12「魔女狩りと吸血鬼」
12「魔女狩りと吸血鬼」
アンジェリカが齎した「知恵の実」の持つ知恵は・・・
善意で寄付された場所で、悪意の僕になった。
本来、出家した筈の輩に・・・
色恋沙汰や、異性及び同性との性交渉があっては駄目なのだが
「知恵に実」が与えた悪知恵で、その箍が緩む
元々・・・立場上、偉い人間の中に
下の者に強要しても自分は守らない者が存在していたのだが
異端審問で・・・殺す事に慣れ
魔女狩りで・・・虐げる喜びを覚えた者達は
目の前に据えられた誘惑から逃げられる術を忘れていく
その結果・・・
箍が外れてしまった「司祭・神父・修道士」に見染められた
「女性」の道は閉ざされて行く事になった。
教会の関係者に求められた女性が、その身を捧げれば・・・
一生、結婚ができなくなるだけではなく
飽きて捨てられるまで、幽閉されるか・・・飼い殺される
その女性から生まれた子供は
その聖職者の筈の父親が「甥・姪」と呼び・・・
後ろ暗い人生を送らせられる
何せ・・・司教・司祭・神父・修道士は聖職者なので
子供ができる様な不浄な事とは、無縁の存在である筈だから
その子供が、存在する筈は絶対に無いのである。
そして・・・
家族が差し出すのを拒んだり、女性が拒めば・・・
その女性が凌辱された後で「その行為の跡」を
「悪魔との契約の証」とし魔女裁判に掛けられる
裸にされ、牢獄に繋がれ「魔女である」と自白すれば・・・
自分は非公式な酷い拷問をコレ以上、聖職者から受けずに済んで
普通に魔女として「火あぶり」にされて生涯を終えられる
但し、親兄弟、全ての自分の家族が逃げる間もなく
残虐に・・・見せしめに殺されてしまう
自白しなければ、酷い拷問に掛けられた上で・・・
最後には、大きな籠の中に入れられて
後ろ手に縛られた状態で、水の中に沈めて審判される
浮き上がってきたら有罪・・・
家族に迷惑が掛かり、自分も結局は魔女として処刑される
浮き上がらなければ・・・
自分は溺死してしまっても、家族は助かる
「自分で決める事ができる、慈悲深い審判だ」と
本当に腐りきった暗黙の了解が
アンジェリカが護りたかった地域の人間達を蝕んでいた。
この頃、見せしめ効果を狙った公開処刑をもっと見せつける為
市民の娯楽にまで高めた形の公開処刑が行われた
ある者は・・・両腕を縛られ馬車の後ろに繋がれ街中を走らされ
転べば、そのまま街中を牽き回され引き摺られ続け・・・
命を落とし、道に削られバラバラになった体は放置された
ある者は・・・逆さに吊るされ
市民参加形式の処刑になって命を落とし、そのまま放置された
アンジェリカは・・・
処刑を止めさせる為に、酷い状況を改善する為に
人混みの上を舞い人間達に向かって言葉を落として回った。
最期の審判で死んだ娘を見ては・・・
『あの娘は無実だ、不道徳に殺された者は復活し...になるよ』
と、アンジェリカは見物人達に向かって囁いた
十字架に打付け焼き捨てられた死体を見れば・・・
『ちゃんと埋葬しないと復活して...になって仕返しにくるよ』
と、囁く
車裂きの刑の後には・・・
バラバラにされた者の幽霊情報を囁いて
逆さ吊り刑の場所の近くでは・・・
逆さ吊りにされた人の顔を持つ「吸血蝙蝠の話」を囁き続ける
「聖職者」に見染められた女性が自殺すると
『自殺に追い込まれた娘は、皆を恨んでいるでしょうね
きっと...になって復讐しに帰って来るわ』とも囁いた。
そんなアンジェリカの活動は、一部の天使に支持され
先に似た事をやっていた天使達の支持も受け巧妙になっていく
無実の罪で同じ人間を裁いた人間達が裁いた罪を自覚し
処刑した者達に許しを請うまでに怯えさせる為
『恨みを持って死ん者は「吸血鬼」になる』
と、言う言葉を囁くようになり・・・
人々の心にその恐怖を植え付ける事に成功した。
昔から存在した「吸血鬼」の伝説に加えられた幻想が・・・
魔女狩りで殺し過ぎた結果、生まれた人間達の狂気に
更なる混乱を齎す
人々は怯え、眉唾物の迷信や民間療法を用いて・・・
死んだ人間が復活した程度で、生まれてくる筈の無い
「吸血鬼」に対抗しようと知恵を絞る様になっていく
人間達は墓守を置き、埋葬してから一定期間
周りで火を焚き続ける様になる
墓の上にニンニクを置き、墓の周囲に黍を撒き、茨で囲い
死者が復活しない様に祈る様にもなったが・・・
それでも、処刑は減らない
アンジェリカとその仲間達は
「同じ人間を処刑するのを止める程の恐怖」には
足りなかったのだと思い、活動を活発化させるが・・・
天使達の活動も空しく
人間達には「吸血鬼」に対する恐怖心だけしか残らなかった。
人間達は恐怖の余り・・・
死者が復活できない様に遺体を触り損壊するようになっていく
何度も、葬儀をやり直す者
繰返し、遺体を聖水やワインで洗う者
教会のエクソシストを呼び寄せて、儀式をして貰う者
事ある毎に、死体に向かって・・・
銃を使い、銀の弾丸や呪文を刻んだ弾丸で死体を貫く者
遺体の心臓に、木の杭を打ち付ける者
首を切断して、死体の足の間に置く者
復活しても歩けない様に、足を折り胸の上へと持って行く者
時には・・・
恨まれてそうな死んだ相手の心臓を抜き出し、灰にして
病気になった者に飲ませる者さえ出てきた。
この頃、車裂きの刑から絞首刑になり斬首刑になり・・・
斬首で観客の中に飛ばされた首や観客に投げつけられた首を
怖くてサッカーボールの様に蹴って騒ぐ等の事をしてた事から
「サッカー」が生まれたらしい・・・
と、言うのは言わない「御約束」と・・・言う事で
天使に植え付けられた死者の復活への恐怖感から
処刑方法は徐々に、苦痛を伴わないモノが求められていく
ギロチン「断頭台・断首台」が発明され
苦痛が少なくなる様に進化していったのは・・・
天使が持ち出した「吸血鬼」と言う「恐怖の恩恵」かもしれない。
空の上、天に近い場所でモルスは・・・
天使達のやっている事を最初から、ずぅ~っと見守っていた
人間の為に必死で頑張っているアンジェリカを
彼は黙って見詰める事しかできなかった。
これよりもっと昔の設定なら、吸血鬼では無くて
断首が盛んだったから「デュラハン」設定にしてたなぁ・・
それにしても、アイルランドの首の無い妖精・・・
いつの時代から、「鉄の鎧」着込んだ「騎士」設定になったのだろうか?




