11「天使にできる事とは・・・」
11「天使にできる事とは・・・」
仕事モードに入ったトートが、乗り物として連れ歩いている
馬の様な大きさのケルベロスを呼び出し
その真中の首に掛けた鞄から小瓶を取り出して、モルスに渡す
『聖職者以外の、一般人の魂の刈り取りをお前に任せた
取敢えず、願いを叶えなくて良いタイプの
「悪人っぽい汚れた魂」を適当に刈り取れ!
「綺麗な善人の魂」には・・・その小瓶を近付ければ良い
死にゆく魂だけを中に引張り込んでくれる
それで、願いを叶えるのは後回しにできるから・・・
面倒なら、後処理はエンゲルに任せてしまえ』
エンゲルが『えぇ~「天使の加護」を付けてやったのにぃ~』
と、不平不満を零す中・・・
トートは、笑ってエンゲルの言葉を無視し
骸骨の仮面で顔を隠して、エンゲルに背を向け歩き出す
モルスもそれに続いき・・・
エンゲルに『行ってきます』と、言ってから
炎の燃え盛る教会の中に舞い降りた。
熱は上に方向に向かう・・・
モルスは、ある程度の熱気を覚悟していたのだが
熱気や煙に襲われる事も無く
教会内の床の上に降り立つ事ができて
モルスは1人驚いていた・・・炎に触っても熱くない
何処までエンゲルの「天使の加護」は「完璧」なのだろうか?
色々なモノが焼けているのに、嫌な臭いもしなくて・・・
火事場で仕事してる気がしない
見ている光景が・・・他人が見ている映像の様に感じられ
その場に居る実感を持てない状態で、仕事を片付ける事になった
モルスは・・・エンゲルの「天使の加護」の「力の凄さ」と
トートから借りた「小瓶」の「容量の大きさ」に感動した。
もしかしたら、この精神的な余裕も・・・
気分的な所も「天使の御加護の賜物」なのかもしれない
『もっとちゃんとエンゲルに御礼言わなくちゃ
それにしても・・・この小瓶、便利だなぁ・・・・後でトートに
この魂の一時保管場所の作り方を教えて貰わないと』
地獄絵図の中に居る様な光景の中でモルスは一人
そう言う事を呟いた。
粗方、教会内の生き物が片付いた頃
その「地域担当」の死神達のグループがやってきた
後は、助け出された重傷者のみだ・・・
トートとモルスは火傷する事も、煙で咽喉を痛める事も無く
自分達の仕事を安全・快適・疲れ知らずで順調にしていたが
『後は、やっとく』と言われたので
モルス達は教会が焼け落ちる前に岐路についた。
アンジェリカは、誰にも見つかる事無く・・・誰にも知られず
モルスだけをこっそり眺めていた・・・
アンジェリカは、彼に「嫌な思い」をさせられ
訳も分からずに「追いかけられた」事もあった
そして、彼が追かけてこなくなった頃
黒い羽根の年老いた天使と、天使の加護を受けた黒猫の魔獣から
「死神の仕事内容」と「追掛けられた理由」を聞き
モルスに興味を持ち・・・
彼を見付けては、物陰から様子を窺うようになっていた。
モルスを見ていて気付いたのは・・・
基本、目が合いそうになると姿を消してしまうけど
アンジェリカが先に見付け見ているだけなら逃げたりしない事
死神なのに・・・
アンジェリカが知るどの天使よりも、とても慈悲深く優しい事
正義感が強く・・・
今ここで、位の高い天使と行動し「天罰」を与えた様に
悪者に対してこっそり制裁を与えている事
ずっと、モルスを見ていて・・・
アンジェリカは「自分にもできるのではないか?」と、思った。
アンジェリカの知る限り
モルスは何時でも、直ぐに誰かに助けを求めるのではなく
自分で考えて行動している
『私も・・・あの子みたいにやってみよう』
アンジェリカは、決意を固め天へと飛び立つ
天へ舞上がるアンジェリカの胸元には・・・
モルスが作った「スノードロップの花飾り」があった
それは、モルスがアンジェリカにプレゼントするのを断念して
モルスが失意の元、彼女の仕える神の祭壇に献花した花飾り
彼女は大切そうに・・・
風で花飾りが崩れてしまわない様に手で覆い、護り
天に帰って行った。
アンジェリカは、できる事を考え・・・
「エデンの園」の中心に聳え立つ2本の木に目を付けた
1つは「生命の木」もう1つは「知恵の木」
その「木の実」は・・・「禁断の果実」と呼ばれ
「食べると必ず死ぬ」から
「食べる事を禁じられている」が・・・
それを食べて、それが原因で「死んだ者は存在しない」
「アダムとイブ」も「知恵の実」を食べたのが原因で
死んだりなんかしていない・・・
2人が死んだのは、人間が必ず死ぬようになったのは・・・
得た「知恵」で「生命の木の実」に手を出し
人間達が、自分達より長く生きる可能性に不快感を感じ
更に、「知恵の実」を食べて「知恵」を付け
自分達より賢くなる可能性に苛立ちを募らせ
神様が、全ての人間に掛けた「神の呪い」が原因だ
アンジェリカは、こっそり「知恵の実」を1個だけ持ち出す
魔女裁判に使われる「祭壇で燃やされる炎」で
魔女だと言われた人間が「火傷しない為の研究」をさせる為に
人間に知恵を与えたかったのだ
アンジェリカは、人の為に研究をしている
善意のある錬金術師達の口に「知恵の実」が入るよう
「知恵の実の欠片」を食事に混ぜて回った。
アンジェリカが与えた知恵で
魔女裁判から生還する者が現れ始めた頃・・・
アンジェリカは、自分の失敗に気付く事になる
アンジェリカが選んだ「錬金術師」が
「善人」であれば「善人」である程、自分の食事を・・・
自分では食べないのだ
どんなに貧乏でも、食うに困っていても・・・
求められれば、隠さず全て教会に寄付する
魔女狩りは・・・これ以上ない程の力を付けて
アンジェリカが施した地域に、施した分だけ病みをもたらした。
渡せなかったプレゼントってどうしてます?
私は「自分も好きな物」を買うから、自分で使うか・・・
近い趣味の人に再利用でプレゼントしちゃいます。




