10「魔女裁判との遭遇」
10「魔女裁判との遭遇」
教会への御布施を出し渋った金持ちは「異端審問」に掛けられる
教会の意にそぐわない事を発言する者と、その賛同者も
「異端審問」に掛けられ、罰を与えられる・・・そんな御時世
それでも・・・「異端審問」にはまだ、救いがあった。
罪が軽ければ・・・聖地巡礼のよる浄化
過ちを悔い改めたという意思表示で、十字架を着用するだけ
それで足りなければ「監禁・投獄」
強いて言えば、「極刑の時」だけに・・・
家族全員の「火あぶり」と「全財産没収」があるだけだった。
そんな中、生み出された「魔女狩り・魔女裁判」には
「異端審問」で裁けない・・・教会にとって都合の悪い存在
「異端審問」で「陥れる事」ができない相手を
「貶める」事ができる「裏技」を作る事に成功していた。
「密告者を保護」する「法律」を作り
その「密告者の証言」を「証拠として採用」する制度を確立して
「密告推称の名の元」に、存在しない「密告者を作り上げる」
「不確定な証拠」を「でっち上げて」
「無実の者」も「裁ける」宗教上の「免罪符」ができあがった。
人間達は・・・どうしても「貶めたい相手」ができると
「魔女裁判」に掛け、名ばかりの「聖なる炎」に
手を薪の如く、くべさせ・・・「火傷したら有罪」と、言って
男も女も大人も子供も関係無く、思いのままに処刑していた。
モルスは、ある時・・・
教会の高い位置にある開け放たれた窓辺のテラスに
トートとエンゲルの姿を発見する
不思議に思い、彼は2人に声を掛ける為・・・近付く
モルスがテラスに降り立つ前に、仮面を外したトートが振り返る
トートは・・・
何かを企んでいそうな「人の悪そうな笑み」を見せ、手招きをした。
エンゲルは弓を引き・・・教会の中の何かを真剣に狙っている
モルスは気になり、トートの横から中を覗き込む
教会の中では、「魔女裁判」が進行していた
神を祭る場所である筈の「教会」が
「殺す為の儀式」を行う「異端審問所」にされてしまっていたのだ
そこには「魔女」も「魔法使い」も、存在してはいない
居るのは・・・人間達だけだった。
それは何時も茶番劇・・・
聖なる器とやらの上で「儀式に使う薪」が燃やされている
これから、魔女だと疑われた人間の手を無理矢理
その器に入れさせるのだろう・・・
司祭が「聖水」と言う設定で、炎に「普通の水」を振り掛ける
そこで、エンゲルが弓矢を燃え盛る炎の中の薪に向かって放った
矢を受けた薪は炎を大きく弾けさせ・・・
司祭の手を火傷させ、司祭の服に炎を移らせる
悲鳴が上がった、どよめく魔女裁判の席は騒然となったが・・・
エンゲルは満足気に額の汗を拭い、トートとハイタッチを交わす
モルスがビックリしているのを発見すると
エンゲルはモルスの髪の毛をくしゃくしゃに撫でまわした。
『久し振りだな、元気してたか?』
エンゲルは・・・
ケルベロス相手にするのと対して変わらない挨拶をモルスにもした
『それにしても、前足が大きいから大きく育つとは思ったが
随分、大きく育ったもんだなぁ・・・
今もしかして、俺と身長変わらないんじゃないか?』
モルスは乾いた笑いで答える
前足とか・・・モルスが子供の時から
エンゲルのモルスに対する表現と扱いは犬向けっぽい
トートは2人を微笑ましそうに見ながら
仕事なのだろう、教会の中の様子もちゃんと監視している
エンゲルとモルスがじゃれている間に
聖職者と一般人が入り乱れ、教会の中は大変な事になっていた。
『あ、モルスだ!もしかして俺様の仕事を見に来たのか?』
耳馴染んだ甲高い声が聞こえてくる
子猫の姿のまま成長しないヨシュアが、教会内の彫刻を登り
高い位置にあるテラスまでやってきたのだ
ヨシュアは躊躇なくモルスの肩に飛び乗る
モルスが困惑してトートに視線を向け、助けを求めると
簡単に詳細を話してくれる
『俺等は、死者達の願い発信の「天の神様からの依頼」で
「天罰」を与えに来たんだよ・・・
ヨシュアの仕事は、民衆の中から「天罰だ」と叫ぶ事・・・
そして、俺の仕事は聖職者の魂を地獄に御招待する事だ』
そこまで言うと、トートは溜息を吐いた。
教会の中を覗きエンゲルも同じ様に溜息を吐く
『参ったな・・・エンゲル、ヨシュアを頼む』
トートが、モルスからヨシュアを引き剥がし・・・
ヨシュアをエンゲルに手渡しする
2人の行動が気になり、モルスが教会内を覗くと
2人達の溜息の意味を知る事ができた。
司祭に燃え移った炎と・・・
聖なる器とやらが倒れ、散らばった儀式用の薪から・・・
祭壇上の赤い絨毯に炎が移ってしまっている
人間達が着ている服も燃え、並べられた木製の椅子も例外なく
燃えている様だ・・・教会の中は火の海と化している
逃惑う聖職者達・・・それを追掛けて暴行する一般の人間達
人間達は何故か、火事から逃げる事無くその場に留まり
人間同士で・・・
「狩り狩られる」命懸けのゲームをしている様だ
中には、火事場泥棒よろしく金目の物を持ち出す者
ルールを無視して関係無い者にまで暴行する者の姿もある
モルスは不思議そうに、その光景を眺めていた。
『モルス、俺の仕事を手伝え・・・』そう、トートに言われ
返事をして2人のいる方向に向き直ると・・・
屈んだトートの額にエンゲルがキスしている光景が目に入る
その光景に驚き過ぎて、モルスが硬直していると・・・
『お前にも天使の加護付けてやるから、ちょっとこっちに来い!』
と、エンゲルに呼び寄せられ少し屈まされ・・・
後頭部を片手で押えられもって、モルスも額にキスされた。
「天使の祝福」を受けたモルスが
天使にしか見る事ができない、薄く煌めく光のベールに包まれる
アンジェリカは、誰にも見つかる事も無く黙って
事の成り行きを・・・その光景を遠くから眺めていた。
最近、ネットで魔女裁判を調べ直してみたのですが・・・
減りましたねぇ~W97の時代に閲覧できてた物が何処にもありません
弁護士が「犯罪者を保護」する為に
「漫画やネット」を減刑の材料にし、マスコミが騒いだ御蔭で・・・
政府の情報規制が発動して消されたんでしょうね
どうせするなら・・・もっと他にも沢山、規制すべき物あるだろうに




