18.胡散臭い〜Losco〜
ビビですわ。ついに動き出しましたわね。…やっていることが変態…これ、通報案件じゃありませんの?!召使い(下僕)が捕らえられないことを心から願…ん?捕らえられたらご主人様の負担が激減?!ダメッ、ダメよビビリーヌ、私は誇り高き女主人!そんな不埒なことを考えてはダメ!でも、でも〜っ…ン〜〜〜ッ!
建物から出た響は、そこからほど近いカフェでパフェを食べていた。その時、テーブルの上に置いたスマートフォンが振動する。和臣から土橋みみのデータが送られてきていた。響は、お気に入りの腕時計で時間を確認する。午前11時。ここから土橋みみの現在の住居まで車で1時間、澤田に車を回してもらえば午後1時には到着する。響は迷わず澤田に連絡した。
「響さ〜ん、パフェのクリーム、シャツについてるっすよ?完太さんの苦労が分かるっすね〜。」
澤田がティッシュを差し出した。ムスッとしながらも、受け取ったそれで拭きながら響は言った。
「完ちゃんは、私のお世話に情熱を燃やしてるからね。多少は良いんだよ、多分。あ〜…コンビニ寄って。ちょっと買いたいものがあるんだ。あ、そこで良い。すぐ戻るから待ってて。」
そう言うと、澤田を車の中に残し、コンビニへ入っていった。5分後……大量のグラタンとパスタを持った響が戻ってきた。
「なんすか?その量は!1…2…6…8?!よく持てたっすね!そんなお腹空いてるんすか?家に帰りましょうか?」
「そんなわけあるか。パフェ食べたし。これは、これから使うんだよ。ほら、早く車出せ。」
澤田は首を傾げながらも、言われた住所に向かった。
土橋みみの現在の住居は、メゾネットタイプのアパートだった。午後1時30分。深夜働いているなら、そろそろ起きる頃だろう。それにこの時間帯なら、事務長と遭遇することもなさそうだ。澤田を近くの家電量販店に待機させ、響は建物の陰に隠れ、土橋みみが動くのを待った。両手には、澤田から貰った買い物袋に入れたグラタンとパスタを持っている。意外と重い。そう考えていると、玄関のドアが開いた。土橋みみだ。何かに警戒するように周囲を見渡すと、再びドアを閉めようとした。響は慌てて駆け出し、ドアの隙間に足を突っ込んだ。土橋みみが声にならない悲鳴を上げ、ドアを無理やり閉めようとする。
「痛い痛い痛い痛い!待って!本当にちょっと待って!足が潰れちゃうから!」
響が声を出す。
「…えっ?まさか…ホントに?えっ?なんで?響さんが…なんで…?」
土橋みみが慌てて扉を開く。響は「久しぶり」と買い物袋を持ったまま右手を挙げた。
「頼まれたんだ。君が信じている人から。その人がちょっと大変でね。急遽、伝えてくれって言われた。詳しく話をしたいから、入れてもらえるかな?」
土橋みみの顔色が変わる。
「…あの人?何があったの?!」
「まだ大丈夫。今なら間に合う。ただ約束して欲しい。その人からの伝言だ。『その部屋は盗聴されているかもしれない。盗撮もあるかもしれない。相手に悟られないように、できるだけ自然に私からの客を迎えて欲しい。』だ、そうだよ。」
土橋みみは頷くと、わざとらしく笑顔を作った。響は無言でそれに従い、部屋への階段を登った。
役者か詐欺師になれそうだ…役者が悪いわけじゃないが、響は自分のでまかせに若干呆れた。
澤田「響さ〜ん、やってること僕とほぼ一緒じゃないっすか〜。キモ…」
響「蝶子と並んで眠りたいか?良いぞ?」
澤田「僕…オメメパッチリ覚めてます〜…」
響「そうか、非常に残念だ。」
澤田「非情…。」




