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蒼雷の征く果て〜青龍の力が強すぎて、俺の平穏が常に更地になる件〜  作者: セルライト
青年期

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53話: 騎士の直感と、脳筋の真理

「……ぐ、はぁ……。マジで、死ぬ……。これ、武器っていうか、俺を餌にして動く外付けの魔力食い(寄生体)だろ……」


大の字に砂漠へひっくり返り、カイトは熱を持った肺を必死に動かしていた。

視界の端では、異常な魔力消費によって生じた残像がチカチカと点滅している。右手の掌は、青龍刀の激しすぎるフィードバックで火傷のように赤く腫れ、感覚が消失していた。


「師匠。……お疲れ様です」


そこへ、自身の「基礎ルーチン(素振り一万回)」を終えたレナードが、汗を拭いながら歩み寄ってきた。

彼はこの数日間、カイトが地面に数式を書き殴り、魔力の流動係数や波長同期シンクロのグラフを脳内で組み立て直しては失敗する――そんな「高度な迷走」をずっと見ていた。


「……あぁ? レナードか。……見ての通りだ。このクソ重い出力ログをどうにかして最適化(圧縮)しねぇと、実戦じゃ一振りした瞬間にメモリ不足(ガス欠)でシャットダウンだ。……ったく、どこのどいつだよ、こんな設計ミスったアーティファクト作った奴は」


カイトが、砂に突き刺さったまま不気味に青白く発光する青龍刀を忌々しそうに睨む。


「師匠。……失礼ながら、今の師匠は少し『計算』に縛られすぎているように見えます。……というか、その棒を『自分より賢いもの』だと思い込んでいませんか?」


「……なんだと?」


カイトが眉をひそめる。レナードは腰を下ろすと、自身の使い古された、傷だらけの大剣を愛おしそうに見つめた。


「俺は師匠のような、複雑な数理や魔力工学のことは分かりません。……ですが、剣を振る時、俺は『剣の重心がどう動くか』とか『筋肉の収縮率がどうだ』なんて考えたことは一度もありません。……ただ、『あそこを斬る』。そう心で決めるだけです。……剣は、俺の意志を物理的な破壊こたえに変えるだけの、ただの道具ですから」


レナードは、カイトの手元にある青龍刀を指差した。


「師匠。その青いのも、難しい演算機械デバイスじゃなく、ただの『めちゃくちゃ重くて、勝手に光る鉄の棒』だと思えばいいんじゃないでしょうか? 制御しようなんて思わず、ただの『物理攻撃の延長』として叩きつける。……案外、その方が言うことを聞くかもしれませんよ」


「……ただの、鉄の棒、だと……?」


カイトはその言葉に、一瞬だけ思考が止まった。

前世のエンジニアとしてのプライドが「そんなアナログな解決策があるか」と否定しようとする。だが、同時に「デバッグの基本は、最も単純な部分ソースを疑うこと」だというセオリーが、頭の奥で警報を鳴らしていた。


「……あいつ、意外と真理を突いてるかもしれないわね」


少し離れた場所で見ていたカナデが、面白そうに顎に手を当てた。


「カイト、あなた、その武器を『理解』しようとしすぎて、自分の『意志』を伝えるのを忘れてるんじゃない? プログラムを組む前に、まず何をしたいか、その『要求仕様』をハッキリさせなさいよ」


「要求仕様……。ただ、斬る。ただ、叩き潰す。……余計なアルゴリズムを全部取っ払って、直結ダイレクト・アクセスしろってことか……?」


カイトは、麻痺した右手を無理やり動かし、再びその「青い鉄の棒」へと手を伸ばした。

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