50話: 遺跡の防衛ログと、三色の暴力
祝㊗️50話達成です!!
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一行が険しい岩場を降りると、そこには半ば砂に埋もれた、未知の龍の紋章が刻まれた巨大な石造りの遺跡があった。
「遺跡……? 地図には載っていないな。相当に古い、神話時代のバックアップデータか……」
カイトが遺跡の壁に手を触れると、石壁に蒼い回路が浮かび上がり、重い音を立てて扉が開いた。
「……指紋認証ならぬ、魔力認証完了、ってか。……行くぞ。砂まみれになるのは勘弁だけどな」
カイトが重い石扉に触れると、古代の術式が青い回路となって壁を走り、数千年の沈黙を破って道を開いた。
内部は外の酷暑が嘘のように静謐で、冷ややかな青い燐光が漂っている。だが、その静寂は侵入者を歓迎するものではなかった。
――ギギ、ギギギ……ッ!!
暗がりの奥から、石造りの巨像たちが一斉に瞳を赤く発光させた。古代の防衛プログラム、【守護兵】。それも一体や二体ではない。通路を埋め尽くすほどの物量が、侵入者の「抹消」を目的として起動した。
「チッ、一斉起動かよ。リソースの無駄遣いだっての……!」
カイトが毒付くと同時に、先頭のガーディアンが巨大な石槌を振り下ろした。
「――下がっていろ、師匠! ここは俺が道を作る(パッチを当てる)!」
レナードが弾かれたように前に出る。
「【剛剣・地裂断】!!」
重厚な大剣が、正面から迫る三体のガーディアンを文字通り一刀両断に叩き伏せた。粉砕された石片が舞う中、レナードは止まらない。彼は今や、迷いを捨てた「不落の盾」の継承者。背後のカイトに塵一つ触れさせぬよう、嵐のような斬撃で前衛を粉砕し続ける。
「レナード、甘いわよ! 撃ち漏らしが何体もいるわ!」
頭上からカナデの叱咤が飛ぶ。
彼女が指先を宙に走らせると、遺跡の天井を舐めるように紅蓮の業火が渦巻いた。
「【朱雀・連炎陣】!」
放たれた数十の火炎弾が、回避不能の追尾弾となって、物陰に潜んでいた遠距離射撃型のガーディアンをピンポイントで爆破していく。青い燐光で満たされていた空間は、一瞬にして朱に塗り替えられた。
「(……ったく、前も上も熱血すぎて目に毒だ。……なら、俺は最短ルート(効率的)に片付ける)」
カイトが低く構える。その全身を、蒼い稲妻がバチバチと火花を散らして覆った。
「【雷風同期・全域出力】」
カイトの視界が、極限まで加速する。
スローモーションになった世界の中で、カイトは最短の歩法で敵の群れへと突っ込んだ。
「――【万雷】」
カイトが指を鳴らした瞬間。
通路全体を、数万ボルトの高圧電流が網目状に駆け抜けた。
レナードが弾き、カナデが焼いた敵の「残骸」すら残さない、圧倒的な飽和攻撃。ガーディアンたちの動力源である魔石が次々とオーバーロードを起こし、内部から爆発していく。
「処理完了。……次、行くぞ」
立ち上る煙を風で払い、カイトは無表情に奥へと足を進める。
かつての「サボり魔」が見せる、冷徹なまでの戦闘効率。
父を失い、母を壊されたカイトの心に宿る「青龍」は、もはや遊びを許さない。三色の暴力に蹂躙された遺跡は、ただ最深部へと続く道を差し出すしかなかった。




