49話: 灼熱のデスマーチ、再開
……はぁ、はぁ……。お姉さん、ちょっと待て。ここ、旅じゃなくて『強制サウナボクシング』だろ……。砂が目に入って、処理速度がガタ落ちなんだけど」
西への旅路が始まって二週間。カイトは、かつての怠惰な自分を呪いたくなるほどの「超高負荷トレーニング」を強いられていた。目指すは西の果て、果てしなき砂漠の街**『零界サンドラ』**。そこは、大地を司る玄武の加護を受け、不治の病すら癒やすとされる再生の聖地だ。
「何言ってるの、カイト。サンドラの熱気は、生半可な精神力じゃ脳ごと焼かれるわよ! お母様をあそこまで運んで、玄武の治癒を受けさせるんでしょ? なら、あなたの『魔力回路』を太くしなきゃ、治療に必要な膨大な熱量に耐えられないわ! さあ、休まずに雷速で私の炎を避けて!」
カナデが指先を鳴らすと、陽炎の中から巨大な火炎弾が連射される。
「師匠! 前方に流砂の兆候! 足場を固定します!」
レナードが剣を地面に突き立て、魔力で砂を固める。彼は今や、カナデの無茶振りにも即座に対応し、カイトをサポートする「最強のデバッガー(前衛)」へと進化していた。
「(……ったく、どいつもこいつも熱血すぎんだよ。……でも、おかげで少しは『死んだ魚の目』に光が戻ってきた……かな。母さんを治すまでは、シャットダウンしてる暇もねぇしな)」
その時だった。
カイトの胸の奥、心臓の鼓動に合わせるように、宿した**【青龍】**の力が激しく脈動した。
「……ッ!? なんだ、これ。魔力が勝手に……西じゃなくて、あっちの岩山側に引っ張られる……。同期率が勝手に跳ね上がってやがる……」
「カイト? どうしたの、魔力ログが乱れてるわよ」
「……分からねぇ。でも、青龍が何かを検知してる。……あっちの砂に埋もれた場所に、俺を呼んでる『青龍に関わる何か』がある」
カナデとレナードは顔を見合わせた。
「青龍が反応する……。いいわ、予定変更よ。その『エラーログ』の正体、突き止めに行きましょうか。サンドラへの隠しルートかもしれないしね」




