48話: 朱雀と青龍、共に行く「西へのデスマーチ」
「あらあら、男同士の湿っぽい再起動は終わったかしら?」
そこへ、巨大な荷物を背負ったカナデが、不敵な笑みを浮かべて現れた。その背後には、陽炎のように揺らめく**【朱雀】**の紅き魔力が顕現している。
「……お姉さん? その荷物、まさか……」
「当然でしょ? あなた、私がこのままあなたを放流するとでも思った? ……カイト、あなたは**【青龍】の力を継ぐ者。そして私は、この国を守る【朱雀】**。……いい? あなたのそのボロボロなメンタルを叩き直して、玄武の元まで送り届けるのは、教育係である私の『義務』よ」
カナデは、カイトの前に立ち、その額をパチンと弾いた。
「西の果てまで、朱雀と青龍の合同プロジェクトよ。……玄武に会うまでに、私が直々に『再教育』してあげる。……覚悟しなさいね、今回の残業代は、あなたの『一生』をかけて払ってもらうわよ!」
カナデの紅蓮の炎が、夜の闇を焼き払う。それは絶望に沈んでいたカイトにとって、唯一の熱源だった。
カイトは、父ガモンの形見である割れた酒瓶の破片を、魔力で固めて一つのペンダントにした。それを首にかけ、西の空を見据える。
「……よし。パーティ結成だ。……行くぞ、レナード、カナデお姉さん。……西の果てまで。……母さんの『精神』を取り戻しに」
「はっ! 御供いたします!」
「ええ。……私の朱雀の業火で、あなたの道を一秒も残さず焼き進めてあげるわ!」
リナに見送られ、三人のデバッガーは歩き出した。
「サボり魔」だった少年の面影はもうない。
泥を払い、血を拭い、青龍を宿した少年と、朱雀を宿した師匠、そして最強の騎士は、母を救うための「西への旅路」へと、その第一歩を刻んだ。
15歳の春。
史上最悪の「システムダウン」を経て、カイトの物語は、復讐と再生、そして新たな絆と共に、最悪のデスマーチへと再起動した。




