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お宝と謎の地図



 拠点に戻った俺たちは、改めて今回の戦利品もとい打ち上げられた品をみんなと共有した。具体的には、金貨124枚、銀貨57枚、銅貨8枚に金塊10本、船の部品の金属(多分金)、紙束、地図、インク、羽根ペン、林檎3個、チーズ2個、サラミ5本、マジックバッグ、よくわからない果実だ。


 林檎は果樹園で増やすことにして、よくわからない茶色い果実はフレッドに聞くまで保存。チーズ、サラミは食糧として美味しくいただくことになる。


 紙束とかは俺がもらっていいか?と言うとみんな要らないからどうぞ、となった。


「手に入れた金貨だが、全員に平等に分配する。この金塊も、フレッドに売ってもらって金貨にしたら、また平等に分配しよう」


「うーん…ウェルナー、僕たちに金貨を配ってくれるのは嬉しいんだけど、使う機会がないよ?」


「うむ、あまり必要はないのぉ」


「フレッドが来たら自分達の欲しいものを自由に買って欲しいと思ったんだが…エルフの村ではこうした金貨をどうしていたんだ?」


 俺がやろうと思っていたのは、働きに合わせて金貨を渡す給料みたいなもので、自分の趣味や家族の必要品を買う…という人間の街なら普通のものだったのだが。


 エルフ達は金貨ではなく、食糧の備蓄や生活用品の購入に使ってほしいのだという。


「僕たちの村では、基本的に物々交換で成り立っていたし、食糧は自分で集めるのが基本だったよ。畑や狩りが上手い人や働き手が多いところは裕福で、下手な人とか病気になったり、人数が少ない家族は貧しいって感じかな。

 でもここは、食糧も日用品も全部共有財産でしょ。僕としては、今のやり方が一番飢える人がいなくていいと思う。ウェルナーのしたいことはわかるけど、そうすると…また僕たちみたいに口減らしが生まれやすくなっちゃうよ」


「アタシもそう思うよ。欲しいものがあったら、この島なら誰でも使える共有のものとしておくほうがいいよ。少なくとも、食糧は絶対そうした方がいい」


「……そうか。そうだな。じゃあ、この金貨や金塊は全て食糧に回そう」


 うんうん、とエルフ達はそれで納得したようだった。エルフ達の事情を知っていたのに、安易に金貨を配るなんていうのは考え不足だったか。


 それから、このマジックバッグのことについてだ。


「便利なのは確かだし、超高級品なのはわかるのだが…この島にいる分には要らないんだよな。どっちかというと鞄のが欲しい」


「ワシらも要らんのぉ。むしろフレッドにやって、その分多く買ってきてもらう方がいいんじゃないかの?」


「たしかになぁ。ならこれはフレッドにあげよう」


 とこれも解決した。


 ついでに、今後の島の方針について話し合うことにした。具体的には、今後来る冬についてだ。


 大蛇の話をエルフ達にすると、エルフ達がやっている寒さ対策について話になった。エルフの村では、そもそもそれほど寒いことはない様なのだが、夜寒い時などは“魔暖石”という石を寝床に入れるのだという。その石は、魔力に反応して熱を持つのだそうで、エルフ達魔力が豊富な者なら、ずっと暖かいのだという。


 俺も冬にはカイロ石という火に焚べて温めると、丸一日暖かい石をよく使っていた。


 あとは食糧だ。冬の間は森の恵みも少なく、動物達の動きも少ないので狩りにくい。食糧確保は急務だ、という話でまとまった。明日からみんなで食糧確保を頑張ると決めた。


「スネイ達が言っとったが、寒いと蛇達は動けなくなってしまう。大蛇様や蛇達のために魔暖石とカイロ石をたくさん買った方がいいんじゃないかのぉ?あとは常に火を焚いておける魔道具なんかがあったら寒くなく過ごせるんじゃないかの?」


 そうだった!と欲しいもの目録に書いておく。フレッドに伝えるのに忘れないようにと書いておくことにしたんだ。


 あとは地図だ。これがまたよくわからない地図で、地図のあちこちに印がついていて、兵とか船とか海流だとかが書いてある…と思う。ペリネシア王国近くの小さな島…がこんなにあるのだろうか。しかも兵がいっぱいいるなんて、もしかしてペリネシア軍の地図なのか。俺が持つ地図にはその島は乗っていなかった。


 その地図で面白そうな情報はもう一つあって、うちの島の少し南西に描かれた島に、「鬼人島」と書かれた島があった。距離的にはうちの島から半日かからない距離だ。交易できたりしないものだろうか。


 金貨で買えるならいいが…物々交換だとしたら酒と干し芋、干し貝、サトイモを持っていけば何かしらにはなるかもしれない。せっかく船があるのだから、行ってみてもいいかもしれない。


 エルドとルークに聞いてみることにした。


「鬼人族…聞いたことないけど、なんだか怖そうだね…大丈夫なのかな?」


「どうかのぉ…まあ、ワシがちょっと行ってみてこよう。漁のついでという感じなら疑われんだろう。良さそうなら、交渉してくるわぃ」


 エルフ達が乗ってきた小舟で、エルドが様子を見に行ってくれるという。俺も一緒に行くと言ったのだが、人間に友好的な種族かわからないから一人で行くのだそうだ。


 そんなわけで、小舟にロブスターやらウニやらを乗せた漁師風エルドは、鬼人族の島へと旅に出た。アルをつけたので、迷わず行って帰ってこれるはずだ。


 いくら海が好きで漁にも慣れているエルドでも、心配ではあったので、その日は一人海岸の拠点で過ごした。朝になるとエルフ達が拠点からやってきた。彼らも心配なのだろう。


 結局、エルドは昼前に無事に帰ってきた。


「鬼人族というのは、ウェルナーの背をもっと高くして、体の幅を二倍くらいにした一本か二本のツノが生えた種族じゃった。滅多に客人が来ないとかで、えらいもてなしてくれたわぃ。

 漁があんまり得意でないんじゃそうで、ロブスターをこのベーコンという肉と交換してくれたんじゃ。ベーコンは猪肉を加工したものじゃそうで、ジューシーだし保存食としてたくさんあるそうじゃ。料理して食べてみたらいいじゃろう。

 漁は苦手じゃが、家畜を大量に持っているようでのぉ、家畜の育て方には詳しそうじゃ。定期的に品物を交換してもらいたいと話したら、喜んでおったぞ」


「おおっ!!それは良かったじゃないか!」


「ただのぉ、どこの島に住んでいるか聞かれてのお…近くの島だと答えておいたが、交易となるときっとあちらもこの島に来たがるはずじゃ。その対策も考えてから始めたほうがよかろうなぁ」


 そう言われて、ハッとした。フレッドはこの島に漂着して大蛇が許した人間だから気にせず中に入れた。アイランドタートルも大蛇がいたから中に入っても許された。


 けれど、全く関係ない何も知らない人達は、当然この島に入れない。そして交易するなら相手もこちらを知りたいはずだ。さてどうしたものだろうか。


 話し合った結果、アイランドタートルに住んでいることにすることが一番都合がいいという話になった。問題はアイランドタートルがどこにいるかわからないし、協力してくれるかわからないということだ。


「はぁ…流石に難しいか。どうするか色々考えてみるよ」

 

 とりあえず今後の方針を考えるとしつつ、その日はベーコンを美味しく食べた。エルドの言う通りジューシーで、独特の香りがするがそれもおいしい。油がたっぷり出るので、油がわりにもなりそうだ。これは是非沢山欲しい。


 そんなわけで困っているんだ、と地図を見ながら大蛇に愚痴っていると。


《…アイランドタートルならその辺の海底にいるが?》


「えっ?!」


《お主は動く島だと思ってるんだろうが、奴らは亀の魔物だ。たまたま海上にいたからアイランドタートルなんて呼んでるが…普通は海の中を泳いでいるんだよ。話をしようと思えば、そう難しいことじゃない》


 言われてみれば…と驚愕した顔になっている俺に、呆れたように大蛇はため息をついてみせた。


 アイランドタートルはそもそも海の中でイカやタコを狙って回遊しているのだそうで、時折気まぐれに海上まで上がる。そして、その長い寿命のため背中に木の種やら花の種やらがついて伸びてきて島になるのだ。


 じゃあ爬虫類系獣人達は海でどうやって呼吸しているのかというと、アイランドタートルは魔物なので魔法を使って全身をバリアしながら泳ぐので、背中に居ても特に問題ないのだという。便利すぎる。


 亀獣人達はアイランドタートルと契約をして、餌を獲る代わりに住まわせてもらっているのではないか、と大蛇はいう。


《夜にまた来るがいい。話がわかりそうな奴のところに連れて行ってやる。ただ、協力してくれるかはわからんが…》


「本当か?!助かるよ、ありがとうな!!!」


 ありがたいことに、大蛇はアイランドタートルのところに連れて行ってくれるという。大蛇がこの寝ぐらから出て活動することなんて、初めてのことだ。それだけ俺に協力してくれようとしてくれる大蛇に、絶対に魔暖石と沢山の肉を捧げようと決めたのは内緒だ。


 エルフ達には大蛇とそんな話になったことを伝えて、期待に胸を膨らませながら夜を待つのだった。








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