無もなきカフェにて
見知らぬ、駅カフェ。(悪ふざけ)
「きたぞー!埼玉!」
「ですね!」
小さく叫ぶ。電車の中だからね。
今はこの前に配属された埼玉の異変にむけ、移動中である。
「とはいえー、まだまだしばらくは電車移動ですー」
「わかりました!」
埼玉は南の方だと事務所に近かったから良かったんだけど、今回は山の方なので、移動が面倒くさいのである。
異変の内容はズバリ!一つの村が丸ごと消えた…。
すみません、ガチ異変です。
麻績によると、「なんか10年前ぐらいからー、あそこらへんの異変は言われてたらしいですー」とのこと。要するに、「細かい異変の報告が続いていて、一定の数になったので異変を確認することになった」。
その報告の中で、村の消失に関することが多かった、ということである。
ちょっと遅い気がする。
「途中の駅で降りてー、朝ごはん食べましょうかー」
東京駅で駅弁でも買いたかったが、思ったより着いてから時間がなかったのだ。
「県庁のある市の駅で降りればー、まぁ何かあるでしょうー」
「そうですね…、じゃあ、次で降りましょう。
たぶん、大きい駅に着くと思います。」
「オッケーでーす」
マップアプリをポチポチした甲斐があった。
まぁまぁデカい駅に降りれたので、何か食べれるものも売ってるだろう。
「じゃあコンビニとかで、軽く食べれるものを…。」
「えー、ちょっとぐらいサボりましょうよー、鈴木君は真面目というかなんというかー」
(ぐーたらしてんねー。)
あ、起きたか。
(異変てのは、ほっとくと面倒くさくなるのが多いのに。)
…今回は10年放置の熟成物ですが…。
(ふふふ、異変である僕から助言だ。異変てのは、人に見つかってから、多くの人に見つかってから、成長を始める。)
ふーん。そうか、…つまり、異変の調査依頼が出るのは…。
(そう。だいたい成長を始めるタイミングだよ。)
「どっかのカフェに寄りましょうかー」
「いいんですかね…。急いだほうが…。」
「いいですよー、私が奢りますからー」
「そういうことじゃなくて…。」
あぁ、いっちゃった。ついてかないと。
(それまで、異変というのは強くなりにくい。影響が少しづつ染み出るだけなんだ。だから、調査屋の本部は、人に見つかる前の異変は多くを無視している。
監視する意味はないし、調査、解決する人員も足りてないからね。)
へぇ。お詳しいこと。本部は何でそういうこと教えてくれないんだろうか…。と、鈴木はふと思った。じゃあ、黒眼ってもしかして相当強い異変だったのか?依頼が出てからすぐ行ったのに、あんなふうになって…、
(そうなるかもね。これ以上はノーコメント。君は探るのが下手くそだね。)
はいはい。ご指摘どうもありがとう。
(基本的に、異変というのは成長スピードが凄いね。怖いくらいだ。)
そこには、やっぱり個体差があるのか?
(それは君が知る必要はないかな。)
そう。
(要するに、結局急いだほうがいいとは思うよ。)
やっぱりそうだな。今からでも麻績を説得しようと鈴木は考えたが…。
(でも、アイツがいるならたぶん、大丈夫なんじゃないかな。)
アイツ?あぁ、麻績さん。それは…、まぁ、そうかも。鎖を常に腕に巻いてる様子は、絶対に弱い人の所業じゃないだろう。
(だから、先輩のわがままについていくのも悪くないんじゃないか?)
そう。ま、情報提供どうもありがとう。
「よーし、ここのおみせにしましょー!」
いままでスルーしてたけど、この人足はっや!
「ま、待ってください!」
「鈴木君、遅いですよー」
麻績は目をキラキラさせながら待ちきれない様子でいた。急いだほうが良さそう。
「いらっしゃいませー。」
「2人ですー」
「はーい、お好きな席お座りください。」
開店して間もないのだろう、席はガラガラで、キッチンのほうでは従業員が慌ただしく仕事をしている。
「あそこにしましょー」
窓際のいい席だ。
「ええと、何食べようかな…?」
「今日は私のおごりですよー、好きなもの食べればいいじゃないですか。」
「ほんとに奢りなんですか!?」
鈴木は人の恩は素直に受け取るのことをモットーにしているので、自分の食べたいものを探すことにした。
「なんでもどうぞー」
じゃあ、このカツサンドにでもしようかなぁ…。
「私はー、これとー、これとー、あとー、どうしようかなー?」
めっちゃ頼んでるこの人!?
「鈴木君は決まりましたー?」
「あ、はい…。このサンドに…。」
「えー、少なくないですかー?これもいいですよー?あとー、これとこれも…」
「あ、はい足ります!大丈夫です!」
ふーん?という表情で麻績はメニューを見直し始めた。どんだけ食べるつもりなんだろうか?
「よしー、決まったー!じゃー、早速注文しましょー」
「ど、どのくらい頼んだのですか…?」
き、聞いたあとにこんな事思うのはちがうけど、こういう事聞くのは失礼かな…?
「えー?うーんと、オムライスに、たまごサンド、アイスにあと…」
「す、すごい量ですね!」
「ちょっと食べたいったって、あげませんよ?」
あ、はい、それはもう、本当に大丈夫です。
てか卵多いな!
(僕も食べていい?)
え??どーやって????
(サンドに指をちょんとしていただければ。)
わかったよ。気が向いたら。
「それでー、まぁもちろん、私がこんな風にするのは、ね」
ふと、麻績さんの目が鋭くなる。注文が終わって油断(で適切かな)していたので、驚いてしまった。いきなりこんなに雰囲気が変わるとは。
「聞きたいことがあるんだ」
(:…0$3☆ …,)
っ!それやめろよいきなり!うるさい!
「鈴木君は、なんでここにいるのか、おしえてくれない?この、異変調査屋にさ」
「え、なんで突然…。」
「緊急でね、上からの指示だよ」
注文を受けたであろう厨房から卵の焼ける音がしてきた。トマトの匂いも。
…なにか悪いことしたっけ。
「君のことが何もわからなかったんだ、本部に、何も情報がない」
「それってどうゆう…。」
「君の住所も、出生地も、家族も、なんかー、何もかも」
カラスに見つめてられるのに、蝶と話している気分と言ったらいいだろうか。いつもどおりでつかみどころがない。それだけに、自分が何を聞かれてるのか分からなくなってきた。
「異変調査屋は公務員です、しかし最近は、その親の国が腐っている」
そのとおりだ。最近は国の汚職は当然。政治家も形だけ。
「適当な採用は当然、公務員はバイトより簡単と言われて数年が経ちました、だから調べるんです、内緒ですよ、このことは口外できないんだから」
さっきも思ったことだが、異変調査屋の本部は色々なことを秘密にしすぎていると思う。鈴木は頭が痛くなってきた気がしていた。
「…。」
「で、君のことは何もわからなかったんだと、意味がわからないでしょ?」
自分が何を聞かれているのかわからない。
「君は何者なんだい。」
歩く音が聞こえた。オムライスが届いたみたいだ。
「お待ちしましたー。オムライスとっ…、リンゴジュースです。」
「ありがとうごさいますー」
今度はカツの揚げる音がする。大きな音だ。
「じゃあー、ご飯も届いたのでー」
麻績の顔が一気にへにゃっとなった。
「また今度聞きますー、今日はご飯を楽しみましょうー」
「…、あの。」
「また今度、ゆっくり。」
休暇?
無わけねぇだろ。
物語の主人公って、明かされないことが多いですよね。
何がって?まぁ、この話読んでたらわかるんじゃないすか?
いや、なんか後々明かされることありますけど。
きっと私が違和感を感じるのは、私がこの物語を書いているうえで、地名を出しすぎたからですかね?
でもそんなこと言ったら、主人公以外の登場人物はどうなんだってなりますか。




