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亡国の王女を奪った戦鬼は死んだはずの婚約者でした  作者: 岡村なぎぼ
✦ 2部 ✧ 3章

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45/51

永遠に君のもの



════════⊹⊱❖⊰⊹════════

親愛なるルシナ王女殿下へ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴女が病の床にあるとき

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

私はいつも貴女を想っています。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴女が一輪の花であるなら

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

私はそのつぼみを守る傘となって

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

風雨をしのぎ貴女を見つめつづけます。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

私はまだ幼い身にすぎませんが

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

すべてを王女殿下へ捧げます。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

強く賢く貴女を護れる人になると誓います。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

だからどうか貴女の未来に

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

私を置いてください。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴女が笑うときも泣くときも

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

隣にいるのは私でありたいのです。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

私を信じて待っていてください。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

心からの忠誠を貴女に

コーネリアスより

════════⊹⊱❖⊰⊹════════





•••⊱∘━━━━━━━━━━━━━━∘⊰•••

麗しのルシナ王女殿下へ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴女は陽だまりに咲く花よりも可憐で

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

蜜蝋(みつろう)よりも甘やかに私の心をとらえる。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴女の微笑みひとつがあれば

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

私は世界中の苦難に立ち向かえる。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴女に会えない日は

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

満ちた月も物足りなく見える。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

どうして私はこんなにも

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴女を求めてしまうのでしょう。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

愛しいルー、次に会える日を夢見て。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴女を敬愛する

コーネリアスより

•••⊱∘━━━━━━━━━━━━━━∘⊰•••





════════⊹⊱❖⊰⊹════════

光のように清らかなルシナ王女へ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

窓辺に射す朝の光に君の面影を見ます。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

鳥の歌に君の笑う声を重ね

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

風に君の香りを探してしまう。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

どこにいても僕の日々には君が生きています。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ルー、君は僕の初恋であり

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

僕の人生そのものです。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

午後の心地良い木漏れ日のしたで

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君のやわらかく小さな手を包みこみたい。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

透きとおった貝殻のような瞳を

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

日が沈むまでずっと眺めていたい。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

夜は夢の中で君と星を数えたいです。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君を一番愛する

コーニーより

════════⊹⊱❖⊰⊹════════





•••⊱∘━━━━━━━━━━━━━━∘⊰•••

美しく思慮深いルーへ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

先日はゆっくりお話ができて夢見心地でした。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

大好きな女の子と一緒にいられるうえに

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

その子があんなに知的で思慮深いだなんて。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

学びが多くてほんとうに楽しいです。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

幸せな時間をありがとうございます。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お借りした詩集をさっそく開いていますが

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君のことがいちいち思い返されて

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

時間があっという間に溶けてしまいます。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ルーは砂糖細工のように繊細で綺麗です。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

きっと心を満たす甘い味がするのでしょう。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

愛しくて頭の先から爪先まで

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

丸ごと食べてしまいたいほどです。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

それは叶わないでしょうから

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君のやさしい声でつむがれる韻(いん)を

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

胸に浮かべて夜を明かすことにします。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

次に会える日を願って。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お体を大切になさってくださいね。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

愛をこめて

コーニーより

•••⊱∘━━━━━━━━━━━━━━∘⊰•••





。✟════════♞════════✟。

僕の可愛いルーへ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

机に座って勉強していると

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

どうしても君に手紙を書きたくなって

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あれこれと言葉が浮かびます。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

教本の文字が花びらのように散ってしまい

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

全然勉強になりません。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

家庭教師に叱られたら

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

〝ルーがあまりに可愛いせいです〟と

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

正直に言おうと思います。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君のせいで僕はすっかりダメな男です。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

責任を取って一生そばにいてくださいね。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君の困った

コーニーより

。✟════════♞════════✟。





════════⊹⊱❖⊰⊹════════

お砂糖みたいに甘くて可愛いルーへ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君の声は蜂蜜のように艶(つや)めいてかぐわしい。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君の手はミルクのように白くてやわらかい。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君の頬は苺のように赤くてみずみずしい。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ルー、君は僕だけのキャンディです。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ひと口で幸せにしてくれる甘くて危険な存在。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君がいなければこの世界は苦いだけ。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

僕はますます君に夢中で困っています。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君と将来を誓いあうその日が来たら

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

きっとすべてを忘れて君を抱きしめる。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

可愛い君がぜんぶ溶けてしまうほど

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君を抱きしめて温めてあげたい。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

今は僕の代わりにブランケットで

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あたたかくして休んでくださいね。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

どうか早く良くなって

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

また僕を困らせてください。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ある時は君のブランケット

コーニーより

════════⊹⊱❖⊰⊹════════





•••⊱∘━━━━━━━━━━━━━━∘⊰•••

最愛のルーへ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

近ごろの僕は君と会っているそのときも

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ずっと胸が苦しいです。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

〝早く僕のものになってほしい〟

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

そういう想いに急かされて

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

夜がふけても眠れません。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

どうしてこんなに気持ちにさせるの?

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君は僕を狂わせる天才ですね。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

僕のすべては君のものなのに

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君が僕のものになる日は遠く待ち遠しいです。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

いつの日か静かな夜に

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ふたりきりで月をながめてみたい。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

月の光を映した君の瞳を見てみたい。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

願いが叶うときが来たら

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

この苦しさも消えるのでしょうか。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

きっと幸せだろうけれど

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

もっと苦しくなってしまいそうです。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

僕が君を好きすぎるから。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

〝ルーも同じだったらいいのに〟と

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

馬鹿なことばかり考えてしまいます。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

どうかほんの少しでも僕を想って

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

君が朝を迎えてくれますように。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

永遠に君のもの

コーニーより

•••⊱∘━━━━━━━━━━━━━━∘⊰•••



挿絵(By みてみん)



「ひ、ぎ、ゃぁあ~~っ♡やめ、ひ♡」


「この……っ! このっ!」


「ぃやぁあ~~~~ッッ♡あっ♡あ♡」



 夜もふけたアシュフォード邸の廊下。荒々しい怒号と痛ましい悲鳴が漏れるのは主人の寝室から。



  ✧  ✧  ✧



「ちょっと甘やかせばつけあがって……っ!」


「んぐっ♡ぅあっ♡」



 重たいカーテンを閉めきった真っ暗な部屋に肌がぶつかる音が響く。


 旧ハンティントン領から連れ戻されたルシナは、屋敷に着くなりコーネリアスに腕ずくで部屋まで引きずられていった。もっとも、彼女は露悪(ろあく)的に知らされた事実に放心状態でほとんど抵抗しなかった。壁際に叩きつけられ、ドレスを剥ぎとられて慣らされてもいないところに無理やり捻じこまれて――どれくらい過ぎたのか。



「は♡あぁぁあっ♡あ♡あ~~~~♡」



 秘部は赤く腫れあがり、立ったまま執拗(しつよう)に突きあげられた奥は鈍く痛んだが、散々彼に弄(もてあそ)ばれた身体は虚しく快感を拾って、ルシナの悲鳴はすっかり甘く染まった。コーネリアスは、少しも衰えることなく後ろから腰を叩きつける。



「はっ、はっ、くそっ、はぁ……」


「ん♡ん♡ん♡んぁ♡ひ♡やぁ♡」


「おらッ! キャンキャン喚(わめ)いてないで締めろ! 出すぞ!」


「ふ、ぅぐ♡ん♡ん♡」


「ハッ、抱かれるのだけはうまいな、このっ……!」



 ぼこっとお腹の形が変わるほど凶暴にナカを押しあげられ、何度目かの熱をびゅ~~~~っ♡と流しこまれる。ルシナは打ちあげられた魚のようにビクビク震えた。



「ひ、ぅ~~~~っ♡」


「ぁーーーー、くっそ、イラつく……」



 コーネリアスは、ルシナの疲弊しきった身体を羽交(はが)い締めにした。弾みをつけて重たく、深く、最奥を殴りつける。ばちゅんッ♡ばちゅんッッ♡♡と淫(みだ)らな破裂音のたびに、ぐにゃっとルシナの瞳が歪んだ。



「い゙ッッ! い゙ッ! ぃた、も゙! やぁ……っ、ぃたい、よぉ」


「黙れ」



 ドスのきいた声と一緒に、大きな手がルシナの口を顔ごと塞いだ。ボロボロと大粒の涙がこぼれる。



「~~~~っ」


「黙って俺に従え! 君は俺のものだ! これしか価値がないんだよ! ずっとこうしてればよかったのに!」



 むせび泣く声がコーネリアスの手から漏れる。



「あはっ♡泣き声、キく……っ♡すぐ出る……ッ♡フーーッ……出す出すッ!」



 下腹部をぐっと抱きこまれ、どびゅっ♡ぴゅっ♡どぷぷ……♡ごぷっ♡と小刻みに撃ちこまれれば、ほとんど同時に繋がったところからしょわぁぁ♡と潮が湧(わ)く。



「――――♡」


「あーあ、こんなこぼして。すぐ吹くよなぁ……お互い様か」



 ビリビリした刺激がルシナの頭のてっぺんまで駆けぬける。混じりあった白濁は、太ももを伝い、膝裏からくるぶしを通り、ぷらっと浮いた足の指から滴(したた)る。しずくが足元にすでに出来あがっていた水面(みなも)をゆらした。



「……は、は、ん……、ふ」



 ぱちぱち弾ける視界で、沈みそうな意識をなんとか持ちあげたルシナは、唇をはくはく動かした。



「な、った……」


「んー?」



 コーネリアスが耳を寄せる。



「なった、から、私、コーニーの、だか、ら」



 ふいにコーネリアスの瞳が大きくひらく。



「ごめん、ね」



 絶(た)え絶(だ)えな言葉に、彼の視線がすっと落ちて、眉もさがる。



「……もういいよ、ルシナ」



 やさしい声音にルシナは新しい涙がこみあげた。ぺた、と宙ぶらりんだった足が久しぶりに床について、ほんの少しほっとする。



「嘘つき」



 ――ごちゅんッ!!



「?、、??、?~~~~ッッ」



 強すぎる衝撃がルシナの眼球をチカチカと狂わせる。コーネリアスの淡白な声を最後にルシナの意識は真っ白に焼き切れた。太い腕ががっちりと細い肩をうしろから引っ張る。



「そう言って、二度も俺を捨てるのか」



 肉同士がぶつかる音の間でコーネリアスは吐き捨てた。



「~~~~……」



 容赦なく身体をゆさぶられるルシナは、もはや声すらあげられず喉を反らせた。



「今後一切……ッ、外に出られないと思え」



 力任せに腰を振りたくる彼の瞳は、燃えるような狂気と――追いつめられたような焦燥(しょうそう)が重なる。



「俺から離れるなら壊れてしまえ……壊れろ、壊れろ……っ」


「……」


「なんでだよ。なんで俺だけ……こんなに君に……っ」



 ――心底憎まれても仕方ない。あの夜――いえ、出逢ったときからずっと。貴方を信じればよかった。


 夢のようにぼんやりとした光の中で、ルシナは不思議と温かく心地良い気分だった。


 ――やさしいコーニーを壊したの。私が。もう許してもらえないよ。



  ✧  ✧  ✧



「……ルシナ」



 カーテンの隙間から覗くほの明るい光は清々しい朝の予感を感じさせる。



「静かだな」



 コーネリアスの手がベッドに散らばったルシナの髪をひと束掬(すく)った。



「……」



 うっすらと目をひらくルシナは、まどろみとうつつの間にいるように見える。コーネリアスは彼女の背中をゆっくり、思いきり抱き寄せた。肌と肌の境目がなくなるほど。こぽ、と繋がったままの下腹部から鈍い音が漏れる。



「ルシナ。ずっとここにいよう、ね」


「……」


「何も考えなくていいようにするから……ごめんもいらないから……つらいことも哀しいことも忘れさせるから」



 コーネリアスの口元がルシナの乱れた髪に埋もれた。



「頼むよ。ルー。頼むから……」



 その声がかすかに潤(うる)む。



「俺をひとりにしないでくれ」



✦ つづく ✦

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