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バンデッド 元殺し屋の捜査録  作者: 結城 からく


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第2話 中編

 ランチタイムでにぎわうウルトラピザの店内。

 レジに立つ遠塚は、来店する客を見て元気よく礼をする。


「いらっしゃいませ! ご注文をお伺いいたします!」


「あのさ、さっきピザを注文したんだけど、トッピングのチーズがなかったんだよ。返金してくれねえかな」


 金髪の大柄な男性客は凄むように言う。

 脳内で接客マニュアルを確認した遠塚は怯まず丁寧に謝罪した。


「誠に申し訳ございません。すぐに交換いたします。トッピングのないピザはどちらに……」


「え? もう食べたけど」


「ではレシートはございますでしょうか」


「捨てた。そんなことよりさっさと用意しろって。待たせんじゃねえよ!」


 男性客はメニュー表を叩いて怒鳴る。

 他の客は怪訝そうに注目していた。

 遠塚はじっと目を細めて男性客を見つめる。


「…………」


「あ? なに見てんだよ」


 刹那、遠塚は男性客の襟首を掴み、レジ裏に引きずり込んだ。

 腕を捻り上げて押し倒し、激痛で呻く頭部を腕力で回転させる。

 首がねじれたその男性客は、ぐったりと倒れて絶命する……そこまで妄想したところで、遠塚は深々と頭を下げた。


「申し訳ありません。少々お待ちください」


「うぜえな、クソ……」


 文句を垂れる男性客を横目に、遠塚は厨房に入ってピザの作り直しを頼む。

 先ほどの殺人妄想を再び振り返り、彼はそれを実現できない歯痒さを覚えた。


(一般人は大変だな……)


 その後、遠塚は店長に頼まれてピザの配達へ向かった。

 バイクで数分の道のりを移動し、一軒家のインターホンを押す。

 ところがしばらく待っても反応はなかった。

 念のため何度かインターホンを押すも結果は同じだった。


(留守か?)


 不思議がる遠塚は、僅かに漂う血の臭いに気付く。

 彼はピザをバイクに載せたまま、音もなく玄関扉へ向かった。

 ドアノブに手をかけると鍵はかかっていない。

 遠塚が扉を開けるとそこには、血だらけの男の死体が倒れていた。

 うつ伏せに倒れた男の背中はズタズタに引き裂かれてシャツが真っ赤に染まっている。


(刃物による刺殺……)


 遠塚が死体を観察していると、背後で悲鳴が上がった。

 ピザ屋のバイクの前に主婦が立っており、死体と遠塚を見て怯えている。

 顔面蒼白の主婦は遠塚を指差して叫ぶ。


「ひ、人殺しっ!」


「いや、違う」


 遠塚は否定するも、その頃には主婦は逃げ出して叫んでいた。

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