表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
duality  作者: eight
PR
80/84

ep79 暗躍

突然の爆発に皆が驚いた。

「ヤルグさん?」

「どうしたんだ一体?」オリビアが尋ねた。

フィーナだけが目を見開いて、煙の方を見ていた。

「な、なんて魔力・・・」


逃したことにヤルグは舌打ちした。

煙が晴れて、ヒルダの姿が見える。

普通の女性と変わらない程だった身長は2m程になっており、身体はスラリと細く、長い手の先には鋭い爪が伸びている。

フクロウのような顔は細く伸びて、鳥には見えぬ形相になっていた。

その手にはガイラックの肉片を握っている。

ヒルダはヤルグを見て、その細い爪で指差す。

「魔王ヤルグ・・・貴方の肉も私の糧にしてあげるわ。」

そう言うと肉を喰らう。

ヒルダが身体が青く染まっていき、その魔力は更に高まっていく。


ヤルグが即座に白炎を放つ。

ヒルダの前に薄い水の壁が現れ、白炎をかき消した。


「水相手に炎なんて、貴方にしてはお粗末ね。それとも私の魔力に慌てているのかしら?」

「初めからガイラックが目的だったのか。」

「そうね。人間に殺させて、こいつの魔力を奪う。その為に色々と動かせてもらったわ。」

ヒルダはレックスたちを見た。

「上手く行き過ぎたと思わない?ガイラックは魔王としては、それ程強くはない。それでも百年以上戦争をしていなかった貴方たち人間が、こうも簡単に躍進していくと思った?」

「何だと!」オリビアが返した。

「ルドミナに人間との共生を進言し、グランドムの進行も遅らせたわ。それにリベルとの決戦で都合良く雨が降って良かったわね。」

「まさか貴様が。」


ヒルダは再びヤルグを見た。

「ガフの存在だけが厄介だったけど、貴方の復活でそれも解消したわ。本当はライノ(あの馬鹿)に聖剣を回収させて、反乱を起こさせるつもりだったけど、結果オーライね。」

ヒルダが両手を広げると足元からブクブクと水が溢れてくる。


「貴方を殺して、その肉も喰らえば、名だたる魔王たちとも渡り合えるわ。狭界に興味はないけど、ついでに人間も始末しておこうかしら?多少は箔がつくでしょ?」

「ふざけるな!」ライムが吠えた。

「ふざけてないわよ。真面目に殺してあげる。」

「そう簡単にやらせると思うなよ。」

「どうかしらね?」

水の色が紫へと変わる。

「紫の水!|魔纏魔法(まてんまほう)・・・」レックスが呟く。


「さぁ、新たなる魔王に誕生に抗がうがいい。」

紫水が大きな波となり、レックスたちを襲う。

ヤルグは全員を守るようにマジックシールドを展開する。

しかし、その勢いと魔力の高さに耐え切れず。皆が波に押され、壁にぶつかる。

「うぅ・・・」

「か、身体が・・・」

紫水に含まれる微弱な麻痺毒で皆の動きが封じられた。

耐性のあるヤルグだけが立ち上がる。


「心配するな。お前たち人間は慣れていないだけだ。しばらくすれば治る。」

ヤルグは駆け出し、連撃を繰り出す。

ヒルダは攻撃が当たる瞬間だけ、身体が水になったように滑らかな動きで全てを躱した。

(気味の悪い動きをしやがる・・・)

ヒルダが反撃に転じる。爪による斬撃をヤルグは剣で弾きながら後退した。

最後の一撃を押し返すように弾くと同時に闇魔法を放つが、ヒルダは後ろに跳ぶように躱した。

ヤルグは白炎を放ち、その後ろに隠すように闇球を放った。白炎ならば避けずに紫水で防ぐと踏んで、闇球を紫水に当てることで爆発させる狙いだった。


しかし、ヒルダは水の壁を作って白炎をかき消すと、すぐに水の壁を消して、それと同時に両手を前に出す。

丸の形を作るように構えると薄い膜が現れ、当たった闇球をそのまま跳ね返した。

「なっ!」

突然の事に判断が遅れたヤルグは自身の放った闇球を受け、吹き飛んだ。

ミラージュコート。魔法を跳ね返す事の出来る、高度で珍しい魔法。


ゆっくりと立ち上がるヤルグにヒルダが言った。

「もう少し強いと思っていたのだけど。私の目論見違いだったのかしら?」

「・・・抜かせ。」

ガフとの戦いでの消耗が残っているのは事実だったが、ヤルグは虚勢を張った。

(魔力と速さは向こうが上だ・・・だが耐久力は無いはず、攻撃を当てさえすれば。)


ヒルダの放った紫の水球を搔い潜りように躱して、ヤルグが切りかかる。

ヒルダが跳んで躱したが、ヤルグは自身の足元へ闇球を放ち、その爆風で勢いをつけて切り上げた。

瞬間的に速度が上がったことで、避けれず切られたヒルダが倒れるが、爆発を喰らったヤルグもまた倒れた。

ヒルダが脇腹を抑えながら立ち上がる。服の下には羽毛があり、血こそ出ていたが深手にはなっていなかった。

「やるわね。でもそんな諸刃のやり方じゃあ、私を殺したところで貴方も死ぬわよ。」

ヤルグは立ち上がりながら言った。


「覚悟の上だ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ