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duality  作者: eight
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21/84

ep20 モクナナ

皆様、ご愛読ありがとうございます。


今、書いてる話の状況からすると後7~8話位で終わりそうな状況です。

流石にもう書くのが間に合わず、在庫切れの不安を抱えることはなさそうなので、毎日更新しようかと思います。

一応、投稿前に誤字、脱字の確認をしたいので(それでも誤字、脱字はありますが)、個人的な忙しさによっては出来ない日もあるかもしれませんので、ご了承ください。

因みに未確定ですが、全80話くらいになるかと。


それでは、皆様、どうぞ良しなに。

巨大な怪鳥の甲高い咆哮に思わず耳を塞ぐ。

広げた羽毛は繊維の様に細く、隙間にバチバチと電気を纏っていた。

ベイルが放った一刀が翼に当たるが羽毛に阻まれ大したダメージにはなっていないようだ。

寧ろ、ベイルの方が手に若干の痺れを感じた。

「駄目だ、翼は狙うな。」

ヴィクトールが脚を狙って一撃を入れる。こちらは電気こそ纏っていないが木のように硬い皮膚が攻撃を受け止めた。

レックスも反対側の脚に狙いをつけて切り掛かるが、飛び上がり躱された。

「くそっ!」

悠々と飛び回る姿を3人が見上げる。

「翼以外は電気を纏っていないようですね。」

「頭に当てれれば良いんだが、あのサイズではな。」


フィーナが杖を掲げ、呪文を唱えると4人の身体が黄色い光に包まれた。

「雷属性の耐性を少し上げる魔法です。」

「ありがとう。」


怪鳥は一点で滞空すると翼を大きく羽ばたく。すると、いくつかの羽根がユラユラと落ちてきて、弾けるように電気を放った。

電撃を受けた4人は声を上げたが、フィーナの魔法のお陰でそこまでのダメージはなかった。

直後に滑空して突っ込んできた怪鳥を、4人は横に跳んで回避する。


「あれで麻痺させたところに突進と言うわけか。」

「フィーナさんの魔法がなければ危ないところでしたね。」


レックスが左側から回り込み、翼を切りつける。耐性がついていても、やはり痺れは感じた。

ベイルとヴィクトールはアイコンタクトを取るとヴィクトールが走り出し右側に回る。しかし攻撃はせず、敢えて隙を作った。

それを啄ばもうと頭を下げたところにベイルが頭に一撃入れようとしたが、ギリギリで気づかれて嘴で弾かれてしまう。

そちらに気を取られている隙にレックスが背中を切りつける。

背中に傷が入り、呻き声を上げた怪鳥は追撃を逃れるように再び宙に浮いた。


地面に降りるのはまずいと理解したのか、怪鳥は再び羽根を飛ばして滑空するが、体当たりではなく、爪による攻撃を仕掛けて、すぐに上空へと退避する。

攻撃のチャンスは滑空の時だけであったが、相手の攻撃を受けることを考えるとかなりのリスクだ。


「何とか引きずり降ろしたいもんだが・・・」とベイルが顎を掻く。

「厳しいですね。」

「私がやってみます。」フィーナはそう言うと杖を掲げて詠唱する。

杖の先に現れた小さな火球が怪鳥目掛けて飛んでいく。

しかし距離があった事もあり、怪鳥は難無く躱した。

「あぁ」と悔しがるフィーナ。

「羽毛なら、燃やせればいけるかもしれませんね。」

「私が囮になろう。フィーナ君、降りてくるタイミングを見計らって狙ってくれ。」ベイルが言う。

「やってみます。」


ベイルは落ちている誰かの大盾を拾い、1人離れると羽根の攻撃で怯んだ振りをする。

怪鳥が狙いを定めて滑空したのを確かめて両手で盾を構える。


フィーナの狙った火球がタイミング良く翼に当たり、火がついた。

怪鳥が慌てた為、軌道がズレるが、盾ごとベイルが弾かれて吹き飛ばされる。


そのまま怪鳥は壁に激突する。

追撃を掛けようとレックス、ヴィクトールが近づくが、壁に翼を擦り付け火を消そうと暴れる為、容易に手が出せなかった。


火が消えた瞬間、怪鳥は激昂し甲高い咆哮を上げる。

再び飛び上がった怪鳥は、昂揚のせいか羽根の黄色味が増していた。


「厳しいか・・・」

「何度かやれれば、いけるかもしれませんね。」

「今度は僕がっ!」

盾を拾おうとするレックスを「待て。」とベイルが制止した。

見上げると怪鳥が頭を動かしている。

「何だ?」

次の瞬間、黄色い球体をいくつも吐き出す。

球体は地面に着弾すると弾けて、先程より強い電撃が放たれた。


4人は回避するがフィーナだけ逃げ遅れ、電撃を喰らう。

「きゃ!」と叫び、倒れたフィーナに狙いをつけ、怪鳥が滑空を仕掛けた。

「フィーナ!!」レックスは走り出し、ギリギリのところでフィーナを抱き抱えるように回避する。

「フィーナ、大丈夫?」

「うん、ごめんなさい。」

レックスはゆっくりとフィーナを起こす。


頭に血が登ったレックスは「この野郎!」と珍しく汚い言葉を吐いて走り出し、空中に飛び上がろうとしている怪鳥の尾羽に捕まった。

怪鳥がそのまま飛び立ち、レックスは7~8m上空に連れていかれた。


「レックス!」ベイルが叫ぶ。

「何て無茶な・・・」

「落ちたらまずい、何とか受け止めねば。」

レックスを振り払おうと怪鳥が飛びながら暴れる。レックスはしがみつきながら何とか頭まで登ろうとするが思うようにいかなかった。


落ちた時に備えて準備している二人の前にフィーナが出ていく。

「フィーナ君!」

ベイルの制止を無視して、怪鳥の真下まで来たフィーナが大きな声で叫んだ。

「勇者様!!」

声に気付いたレックスが捕まりながら下を見るとフィーナが杖を(かざ)した。

二人は目を合わすとフィーナがゆっくりと頷く。

フィーナが詠唱を始めるとレックスは片手を離し、剣を抜いた。


「何をする気だ。」

レックスが掴んでいた手を離した瞬間、フィーナが魔法を放つ。

それは風魔法だった。小さな風の塊が落下するレックスに目掛けて飛んでいく。

魔法を受けたレックスは再び怪鳥の方へ吹き飛び、それと同時に両手で剣を握りしめ、怪鳥の首元から脳天を抜けるように、思い切り剣を突き刺した。


どんなに大きな身体を持っていても、生物である以上、急所への致命傷を受けては死を免れることは出来ない。

怪鳥は呻く間もなく、動きを止めて落下していく。

レックスは怪鳥の羽毛がクッションとなり、何とか無事だった。



フィーナが駆け寄り、抱きついた。

「勇者様!凄い!」

「フィーナ、ありがと。」

「倒したのは勇者様だよ。」

ベイルとヴィクトールが近づいてくる。

「レックス君、良くやった。だが余り無茶はせんでくれ。」

「冷や汗をかきましたね。」ヴィクトールが苦笑いをした。

「すみません。」


「まぁしかし、これで一件落着だな。」



東の空からは朝日が登り始めていた。


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