気が乗らない申し出と現実
お読み頂き有難うございます。
「……鑑定が今受けられなくても、俺の娘です! ユララ嬢、派手に式を挙げましょう結婚しましょう。そしてこの可愛い子の父親として俺を認めてください! ああ可愛い。女の子用の服とか帽子とか贈らせてください!」
ルシアンに滅茶苦茶睨まれつつ、小声でレニアへの贈り物を提案されているわ……。
結婚……。き、気が乗らないなあ……。
「でも、覚えがないものですから……。そんなに簡単に結婚は出来ませんわよ」
「覚え!?
俺はあるんですよおおおお!」
「あー、煩い……。分かったでしょう、イレイブ副団長。姉さんは頑固だから」
因みに後で聞いたら、イレイブ副団長様が無理矢理ルシアンに付いてきたらしいわ。
まだ分からないけど、一夜の相手候補をよく見つけたわね。どうやって調べたのかしら。困るなあ……。
「ホテルの領収書もあるのに……!」
「イレイブ副団長様が同じような日に同じようなシチュエーションで、行きずりの相手と一夜を明かしたことは分かりました」
「行きずりではなく貴女です! 貴女なんですううう!」
「そもそも、見てる感じ姉さんへの片思い甚だしい。そうなのに押しかけて結婚しよう?
誠実に迫れないのか」
「うっ……すみません」
ピキリ、と固まってしまわれたわ。相変わらず舌鋒鋭いわねえ。
そうなのよね。
確かに、このイレイブ副団長……イケメンではあるのだけれど。
よく知らない方なのよね……。
「それにユララ姉さん」
「何?」
「いい大人なんだから、一夜の過ちやら仕事放り出してバカンスやらに挙句の果てに仕事辞める未婚の母……。それ、どうなの?
責任のないことするんじゃない。そんないい加減でレニアに顔向け出来る?」
「うっ、すみませんでした……」
16歳に真面目に諭されると心が痛い……。
確かにいい加減すぎたわ……。
「ひとりの子供の人生掛かってるのに、いい大人が何してんだよ、本当に情けないよ。何が血統鑑定だよ、くだらない。
一族郎党呆れ果ててるんだよ」
「ほ、本当に申し訳有りません……」
浮かれてたわ。バカンス先でシングルマザーとか本当にどうかしてる……。
しかも上手く行きそうだったから余計に……。
鑑定出来ないからレニアは私のものですー! とか……。恥ずかしい!
「別れようがくっつこうが、どういう結論に至るにしても。
せめてもう少し普通に誠実に関係を築いてからにしてよ」
「お、仰るとおりで……」
「申し訳ないです……」
イレイブ副団長様と一緒に平謝りするしかなかったわ……。
でも、よく考えたらこの方は悪くないわよね。
「……でも、ルシアン。
イレイブ副団長様は誠実に探してくださったわ。不誠実でいい加減でチャランポランなのは私だけよ」
「凹んで周りに迷惑掛け散らしてるから、同罪だよ」
「……そ、そうでした。申し訳有りません……」
……何をやらかされたのかしら。
でも、少しちょっと親しみやすさを感じたかもしれない……かしら。
しかしあの発言……『思ったのと違う』呼ばわりが引っ掛かるのよね……。しつこいとは思うのだけれど。
この方が言ったのかしら。どうなのかしら……。
あの一夜と同じノンデリカシーな方だとしたら、どうすれば良いのかしら……。
ユララもオレオンも思い込みが激しいです。




