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ど近眼の鑑定令嬢ですが、あの一夜が見えていませんでした  作者: 宇和マチカ


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捉え方は人それぞれ?

お読み頂き有難うございます。

常にガヤガヤしてるので、道端でガヤガヤやっててもヒソヒソされない交易都市トリアイです。

「……ふたりとも。

 取り敢えず、道端で喧しいから話し合うべきだよ」

「ええー。あんまり知らない方と話し合うことなんて無いわよ」

「俺は知らなくない方ではないですよ!? 安全です! よく知ってます! ユララ殿おおおお!」

「煩いなぁ! 早く! 姉さん早く!」


 ルシアンに引き摺られるように、丘の下の宿に引っ張られてしまったわ。

 わー、広ーい。内装が尽く白っぽーい。

 こういうホテルって……プライベートで来たことないかしら? もしかしたら仕事で来てたかも。それなら微妙ね。

 受付の人の不審そうな顔が居た堪れないなあ。すみません、誤解が解けたら早く帰りますんで。


「うう……」

「取り敢えず個室だから、ふたりとも常識の範囲内の声量で話し合って」


 この椅子、蔓を編んだいい南国系の椅子だわ。ルシアンったら、いいお部屋を押さえてバカンスしてるわねえ。

 私は今の家を借りるまで、もっとリーズナブルな宿だったのに。

 ケチ心ではなく、出産費用の為ね。


「費用を出させてください! 全て俺に持たせてくださいいいい!」

「うわ吃驚した。どうなさったの?」

「口からボヤキが出てたよ、姉さん」


 そんな泣くようなこと? 滅茶苦茶泣いてるわ……。よく水分が保つのね。体大きいと涙の量が違うのかしら。


「あらそうなの。でも、よく知らない方にお金を出させるのは詐欺じゃないかしら」

「その子の父親はよく知ってる俺ですううう!」

「声を抑えろって言ってるの聞こえない? 

 レクザンド・オレオン・イレイブ」


 オレオン? どっかで聞いたような名前ねえ。それにしても……こんなに喧しいのにレニアは何故起きないの? ……オレオン……そう言えば、前に名乗られたような。


「オレオン? あー、思い出した。

 近衛だか第二の騎士副団長にお家騒動的な深刻そうな鑑定を依頼されそうになったかも」

「……!? か、鑑定依頼!? そ、そんなのしてませんが!?」


 え? してなかったっけ。大体当時の私に話し掛けられる方って表に出来ない鑑定目的だったもんで。


「え? されてませんでした? この後お時間有ります? とか聞いてこられましたよね?」

「何にも微塵も伝わってねえ! 貴女と仲良くなりたくて、デートに誘いたかったんですううう!」

「へえ……。失礼ながらそれは気付きませんでした」


 全くそんな気配無かったように思ったけれどな。いや、顔見えてないからテキトーに流してたのが悪かったわね。


「その後の夜! 劇的に再会しましたよね!?」

「劇的な再会? しましたっけ」


 全く覚えがないわね。


「酒場ヌタで! その後、ヤキザケホテルで!」

「……」


 全く記憶にない地名だわ……。 

 と言うか、酒の肴みたいな名前の酒場とホテルね。そんな面白名前なら流石に覚えてそうだけど、知らないなあ。


「貴女は慣れない俺に微笑んで!」

「……」

「愛を受け入れてくれましたよね!」

「……違う御婦人なのでは?」


 受け入れた覚えが全くない。やだ私、クズのヤリ逃げ男みたいだわ。

 でも、一夜の過ちだしなあ。

 私此処でハッピーに暮らしてたいし、旦那も責任も要らないし別に良いのでは無いかしら。別の国で生きても困らないと思うんだけどなー。


「間違いなくユララ殿です!」


 そう自信満々に言われてもなあ。見えてないから分からないのよね。


「そう仰られても、覚えがないんですもの」

「貴女は、金貨と銀貨を滅茶苦茶沢山置いて行かれましたよね!」

「……」


 あ、それは覚えがある。そもそも当時は疲労がピークでズボラ過ぎて、財布にどれだけ入れてたか覚えてなかったから……。


「このヤキザケホテルのメモ用紙に、謎の文字を残して!」

「……カクカクしてて読めませんね。

 ……何かしらこの四角やらの羅列。私こんなの書いたかしら」

「た、確かに鑑定に回しても筆跡鑑定は出来ませんでしたが!」

「でしょうね」


 態々筆跡鑑定に出したの。凄い執念ね。結構お値段高いのに……。


「そ、そうだ! 俺とこの可愛い我が子と血統鑑定を受ければ全て丸く収まるのでは」

「え、無理です」

「何故!?」

「何故も何も。

 器具もないですし、血統情報を記録した書籍も有りませんし……それに何より」

「俺は貴女を愛している!」


 ……いや圧が強い。

 美形に滅茶苦茶ドアップで迫られても、号泣の後だと怖いものなのね。

 目力強いわねえ。確かに、レニアの左目のオレンジ色は似てるかなぁ。耳の形も似てるかも。

 本当にこの方と一夜を共にしたのかしら……。

 全っ然見えてなかったし覚えてないわ……。

 デリカシー無い発言は覚えてるのになぁ。今のこの方、喧しいけど違う奴なのでは。


「今のレニアに、口の狭い硝子瓶へ魔力を注ぐような魔力操作が出来ると思います?」

「……あ……」


 漸く気付いてくれた。

 そうなのよ。

 よく鑑定に沢山持ち込まれて、モメるんだけどね。

 水すら自分で汲むことの出来ない赤ちゃんの血統鑑定は、物理的に出来ないの。



筆跡鑑定回された鑑定師が、勘弁してくれと泣きを入れたそうです。

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