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ど近眼の鑑定令嬢ですが、あの一夜が見えていませんでした  作者: 宇和マチカ


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自由な海風は涙を誘うのかしら

お読み頂き有難うございます。

今のユララはド近眼ですが、眼鏡を手に入れてクリアな視界です。

 交易都市トリアイって本当に良いところよ。

 退職金だけじゃ心許ないから、牡蠣みたいな大きい貝から身を外す工場で昼過ぎまで働いてるんだけど。


 静かに没頭出来て滅茶苦茶良いのよ! 貝殻欠けても怒られないし! 朝早くは有るけど夜勤がない!

 まあ……結構貝の身に傷つけちゃう事もあって、未だ一人前とは言い難いけれど……! それでも職場の方々が滅茶苦茶お優しいの! 私の日焼け絶許ファッションに何も言わないし! 家事の悩みも聞いてくださるマダム達は女神が多いわ! 何か……広場に立ってる変な女性像より格段に女神!


 パンを焼けば木炭、掃き掃除は破壊、繕い物すれば糸が超合金より固くこんがらがっている……。

 そんな家事能力だったというのに、私頑張ってる……!


 あ、洗い物は得意よ……。洗濯だけね。

 力任せに洗えばいいから素晴らしいもんだわ。洗剤の種類さえ間違えなければね。


「それで、何処泊まってんのルシアン」

「丘の下の宿だよ」

「あー、あの。貝のスープ食べたらいいと思うわ。私が剥いた貝が使われているかも」

「へえ。姉さんって握力は物凄いもんね」

「硝子瓶が重いもんでね。鍛えられたのよ」


 ……ん? 何か視線を感じるわね。

 ルシアンを見たら……胡散臭そうな顔をしてるわ。やけに視線が上ね。空に変わった鳥が飛んでるとか?


「あの……」

「うわ吃驚した! 何でしょう!?」


 ……背後にすんごいドヨーンと沈んだ表情の美形が居たんだもの。

 え、何? 私知らない間に道を塞いでた?

 えーと、薄い茶色の髪にオレンジ色の目の背の高いイケメンねえ。平服に見えるけどどっかの国の騎士かしら。

 でも、目が座っててメンタルヤバそう……。ブラックな環境にお勤めなのかしら。

 判るわ。メンタルやられる職場は、早く辞めた方がいいわね!


「……その子、可愛らしいですよね……」

「ええ、私の自慢の娘です」


 褒められちゃった。レニアの可愛さは何処でも通じるのね。


「……ユララ嬢ですよね」

「え? どなた? お知り合い?」

「そりゃないですよおおおお!」

「いえっ!? な、何!?」


 うわっ! 泣き出した! 何か見知らぬ殿方が号泣しだした!

 どうしよう! 都会で昼間だけど泣いて絡まれるのは初めてだわ!


「あの、……誰ですか? 私、お会いしたこと有ったかしら?」

「だっ……!? お……お……俺のこと、俺のことおおおお!?」

「……うわー」

「いや、うわーって! 知ってるのルシアン!?」

「知ってるも何も……」

「ちょっと、其処の黒いグルグル巻き服の人! 副団長に何をしてるんですか!」


 ……何だか女騎士まで現れたわ。滅茶苦茶睨まれたけど、私がこのゴツいイケメンに危害を加えられると思うの? 乳飲み子抱えて攻撃手段一切無いのに。


「いや何もしてませんけれど……。この方が急に泣き出して……お人違いですか?」

「ユララ嬢ーーー! まさか記憶喪失かーーー!」

「はい? 記憶喪失?」


 何処から記憶喪失になったのよ。幼い娘が居るというのに、未だ耄碌出来ないわよ。しかし、知らない顔よね……。何処の知り合いかな。


「副団長、しっかりしてください! ウラディーブ嬢は失踪なさったでしょう! 何時までメソメソしてるんですか」


 え? 失踪?

 ウラディーブ嬢って私が? 失踪って何時からそういう扱いになったの? バカンスに行って急に辞めたから? 噂って怖いわね。


「何コイツ」


 確かに何なのかしら? この女騎士はヤバい方なの?

 胡散臭そうで面倒そうな顔のルシアンも気になるわねえ。


「失踪した方より、私を……」

「ユララ嬢! 思い出してください!」


 騒がしい交易都市だから誰もあんまり気にしてないけど、そろそろ煩いなぁ……。面倒になってきたわ。


「あの、意味不明で喧しいので帰っていいですか?」

「そうです! こんな怪しい変な人帰らせましょう!」


 この女騎士、ちょいちょい失礼ね。日焼け防止ファッションが気に入らないならそっちが帰れってのよ。そしてこの号泣イケメンを早く連れ帰って欲しいわ。


「貴様! さっきからユララ嬢に向かってなんという言い草! 失礼だろうが!」

「ひっ! あ……あの……」


 うわ吃驚した。ビリビリする程の声量ね。調子に乗ってた女騎士が滅茶苦茶ビビってるわ。


「で、でも副団長……。食堂の下働きじゃないですか、この人。

 多分ウラディーブ嬢じゃ……」


 本当に失礼ね。職に下働きも上働きも無いわよ。そして私は食堂ではなく、魚屋で働いているのよ。って、訂正する程の関係じゃないからどうでもいいか。


「大体、休暇中の俺に勝手に付いてきて鬱陶しいんだ! 早く職務に戻らんか!」

「そ、そんな……うぇ……酷いですっ」


 あ、女騎士が泣き出した。何なのこの人達。意味分からんわね。自由な海風が涙を誘うのかしら。余所でやってくれないかなあ。


「……早く戻れと言っている!」

「ひっく、ひっく……! ひっ!」


 ……まあ、こっわ。恐ろしい殺気ね。ぶつけられた方は走って逃げちゃったわ。


「……しかし、よく見つけたね。イレイブ副団長」

「目元と袖から覗く気配で分かります」

「……袖って」


 マニアック過ぎやしない? 確かに袖口と眼鏡くらいしか皮膚出てないけど……。

 と言うかルシアン、この方とお知り合いなのね。仕事系のお知り合いかしら。

 イレイブ副団長……知らないなあ。いや、覚えてないなあ。前の職場でニアミスしたとて最早一年前でしょ? 悪いけど、仲良くない方は覚えてないわよ。


「そして、その抱えてるお子さんが俺と髪の色がソックリですし!」


 え? レニアが? この方とソックリ……? そうかしら。

 ウチのお父様似だと思ってたわ。道行く人にもおんなじような髪の色居るし、似てるかなぁ? 結構メジャーな色味よね? 交易都市って私みたいな髪の色も多いし。顔も赤ちゃんだから似てるとか……どうかしら。


「亡くなったウチの父と同じ髪の色なんで、それはないかと」

「あ、確かに伯父さん似だ。失礼ながら、イレイブ副団長の髪の色ってよくある色ですよね」

「……俺の子供ですよねええええ?」


 あ、また泣き出した……。

 さっきの女騎士へ向けてた恐ろしい殺気はなんだったの、この方……。


ユララの娘レニアのカラーリングは薄い茶色の髪にオレンジ色と茶色の瞳です。

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