その秘密、光の元に晒さざるを得ないのです。
お読み頂き有難うございます。
暫くユララの回想に入ります。1年程前ですね。
何処から思い出そう……。
取り敢えず一年くらい前の、冬の日……。何日か忘れたけれど底冷えして堪らなかったわ。
あの時は成人になるちょっと手前だった……。いえ、成人になってたかな。まあ良いわ。細かいことは良いのよ。細かいところを覚えてはいるけど!
「面を上げ、名を名乗れ」
「はいはいはーい! 殿下の愛する可愛すぎるレディのポプルでーす!」
未だいたのよね……。
王宮の、いかにもこの上なくピリピリしてます! な場に引っ張られてきているのに、図太くて図々しい庶民って……。こんな厳粛な空気であんな声にポージング……。
何でだったのかしらね。傍目から見たら広いお部屋で素敵だからかしら。
しかし、古い石造りで絨毯も古いから、滅茶苦茶底冷えするのに……薄着だったなあ。
実は誰か雇った役者だったりしてね。
「あたしぃ、カレを好きになっちゃったんですう。実はぁー、あちしってば亡国の姫様でー」
クネクネと身を揺らしながら、隙あらば自分語り為さる平民娘……。
いや、自分語りではなく妄想語りだったわね。
素直に調子乗りました! って謝ってくれれば良かったのに、私の出番が……来てしまった。
辛い……。
キャラブレは止めろ。一人称くらい統一しろよ。そんな風にこっちが居た堪れなくて、お腹とか色々痛くて帰りたかったわ……。
「光れる血統鑑定師を呼べ!」
ああ、やだなぁ……。呼ばれたくない……。
準備期間も此処からも、ブラックなんだよなあ……。
頼むから、何か他の方法で疑惑を晴らして欲しい……! と切に願うわ。
「出でよ光よ! この者の嘘を暴き、光の下へ真実を晒すのだ!」
毎度ながら、照明係みたいに呼ばれたわよ……。しかし呼ばれたからには行かねばなるまい……。宮仕え辛すぎる……そんな悩みを抱える私は、ユララ・ヴァイオラ・ウラディーブ。
被疑者から見えないように、影に隠れていたわ。隠れる意味、有る? と毎回思ってたわ。
古代光魔術に属する血統鑑定魔術を得意とする……というか、それ以外の古代光魔術は使えるバリエーションがあんまり無い一族の長の一人娘……。
イニシャルまで紫外線で腹立ちすぎるわ。
因みに前世は、とある島国の末端社畜でした。死に様はイマイチ覚えてなかったわよ。
多分、そんなに劇的死じゃないと思うわ。そうであって欲しい。グロい上痛いのなんて想像したくないし。
ま、それはいいの。
お仕事の血統鑑定の業務内容は……まあ、お城勤め。尚且つ滅茶苦茶ブラック。光属性なのに、闇深い辛さ。
光属性なのに。
前世のブラック務めを踏襲しなくていいのよ。
でも、今回の方が酷いかな。
コスチューム、いや制服が重くて重くて……特別製の白衣が重過ぎだわー……。
何で、金糸で襟と肩と袖に縁取りなんて付けてんの? 着たこともないセレモニー軍服並み? にオプション多くて肩凝るんだけど。
肩章とか腕章要る? 白衣だよ? 房紐は要らんでしょ。清潔感は何処行ったんだ。
それに、私って金髪で紫の目の組み合わせかつ、顔が若干派手めだから陽キャだと誤解されがちだけど。
表裏全てゴリゴリの陰キャで一体だから、本当目立ちたくないのよ……。
ええいこっち見んな、凡人だ……! が常日頃よ。
そもそも、古代光魔術の血統鑑定とは。
血管の横に流れてる魔力が有るんだけれど、その魔力を鑑定し、血縁関係を調べるもの。
そんな物を扱えるから派手だと思われがちなんだよなあ。
血統鑑定と言えば、簡単そうに聞こえるでしょ? 私も思ってた。鑑定に関わるまでは。
ふわ~ってキラキラした魔力を放てば、空中にパーンッ! 謎の光ディスプレイ出ました! よし、皆にこの人の血縁関係もステータスもガッツリ見えました! キレイに晒しましたよ! 的な。
ならねえんだわあ……。
そもそも全く、ステータスオープンしないんだわあ……。キメキメに叫ぼうが、癖強に唱えようが。
そもそも僅かな分かる範囲の鑑定ですら、膨大なデータベースの中(アナログ巻物)を引っ張り出し、当て嵌めて、細かくガッツリ迄調べたりするのが滅茶苦茶しんどくて、大変なんだわあ。
それ以上に数値化なんて、全く無理なんだわ……。
そらそうよね。
ステータスの、例えば力の値。
どれを、何を以て1とするか。それから決めないと無理だもんね……。
ダンベル上げたら1とかかしら。そんなざっくり決めたとしても、細かいところが決めにくいと思うわ。
……アニメとかゲームだと、其処までしっかり決まってないもんね……。
決まってたら設定流用ゲフンゲフン、参考に出来たのになー。
「……光の魔術師参りました」
あー、幕が開いちゃった……。開けなくていいのに……。また過剰に、変な演出が痛いわ……。
「何その女ー! はっ、変な格好!」
変に突っ込まないで! こっちだって好きで着てない! ちょっとは、私ぐらい居た堪れない思いをしなさいよ!
仕事着が合わないユララです。




