鑑定令嬢が避けるのは真実の愛と見知らぬ片割れ
お読み頂き有難うございます。
ど近眼社畜シングルマザーと要らん事言い騎士のラブコメになる予定です。
此処は交易都市トリアイ。
三方を海で囲われていて、後ろには黄金の布を被せたような、麦畑……がちょっとあるの。
でも、日差しで更にキラキラした美しい畑だわ……。
でもいや、ちょっと……眩しい……。日差しが強い……。
口に髪が入るし、海風も強いわね、折角買った帽子が持っていかれそう。この間買ったばかりなのに、風で煽られまくったせいでシワが酷すぎる……。
それにしても、秋だというのに滅茶苦茶暑いわ……。家に美白と日除けグッズも増える一方ね。
でも、昔よりは紫外線を浴びていない筈よ。
唸れ、我が自己回復力!
「ユララ姉さん、相変わらず不審者のような重装備だよね」
……あ、白いヒラヒラの人が近寄ってきたから誰かと思えば、従兄弟のルシアンではないの。
何時来たのかしら。
この交易都市では、この子のビラビラしたドレスみたいなコートも特異ではないわね。因みに、職務上の理由だけで本人は女装癖では無いらしいわ。よく知らないけれど。
「そう、あれは私が紫外線だった頃……」
「ユララ姉さん。言おう言おうと思ってたけど、その話の導入毎回要る?」
仕方ないでしょうに
私、ユララ・ヴァイオレット。前はブラックな宮仕え、今はシングルマザー。
一夜の過ちを悔いてバカンス休暇を取っていたら、実は子を授かっていたというドラマティックなエピソード持ちなの。
だからすっぱり職場を辞めて、トンズラ移住したわ。
思い切りはいい方なの。
一夜の過ちの相手の姿は見えてないの。
それに、言動にしこたま腹が立ったから、知らないの。
なにせ私、ド近眼なものだから。
今も機能的な眼鏡がチャームポイントだからね。
交易都市ともなると、ド近眼でも薄い硝子で作れるものなのね。故郷がいかに時代遅れってことよね。
「それで、相手の男の事は何か思い出した?」
「思ってたのと違った連呼男?」
「……まあ、姉さんの視力じゃ、暗がりで顔の認識は無理か」
「そう言ってるじゃないの」
つい1年程前に、知らない相手? と一夜の過ちを犯しちゃったのよね。
まあ、事に及ぶまでは過ちって程でも無かったけど。それまでは意気投合? した気もするけれど……寒くて疲れてたのよ。
でもねえ……。
「え、思ってたのと違った」
「思ってたのと違う……」
「思ってたのと違ったけど……」
それ何回言う!? レベルで、相手の男がヒソヒソ言うのよおおおお!
もう疲れててもよく聞こえて聞こえて聞こえてムカついて✕無限大。
こっちだって思ってたのと違ってあなたは煩いわ。
失礼!
未だ日も昇らない内にそう書き残して、置いてきたのだもの。
……書けてたかどうか微妙ね。フィーリングで宿のメモに書き残したわ。寝起きで謎文字になってた気もするけれど!
……あ、一応お金も置いてきたわよ。見えなかったから財布の中身が結構スカスカになったけれど……そういうケチなことを言ってられないわ。軽率な行動は怒りに、散財に繋がるのよ。しっかりしなきゃ。
「その格好、古代闇属性の魔術師みたいだってさ」
「いいじゃない、憧れるわ」
落ち着いた服装って素敵よね。
私、白々しい格好って嫌いなのよ。昔に着せられていたときと違って。
ああ、自由よ!
「みええええーん!」
「ああ、レニア! お腹空いたの? おむつ?」
「この泣き方だと暑いんじゃない?」
紫外線よけの帽子を取ったら元気になったわ……。
……何で母親より詳しいのよ。初対面でしょ。
主人公本人は紫外線対策にぐるぐる巻きですが、いろんなファッションの人がいる港町なので特に職質はされないようです。




