思っていたのとは違う方
お読み頂き有難うございます。
次でラストの予定です。
ふっ、平和的に正義は成された……とドヤ顔するはずだったのになぁ……。
なんかこう……絵面が思ってたのと違うわ。
「ユララ嬢、どうして危ない真似をするんです!? 此処は間違いなく俺の出番でしょう!?」
手を赤く染めた大柄なオレオン様に泣かれてしがみつかれるとは……。この方、よく泣くわね……。思ってたのと違うわー。
「いえまあ……落ち着いて下さい。
何か荒事が有っても、ご近所の皆様もおられますし」
「本職の俺抜きで行わないで!」
さ、叫ばれてしまったわ……。だって、オレオン様の元お兄様の元伯爵令息、ボッコボコじゃない。
奥様と仲違いさせて、メンタルバッキバキ崩壊手前くらいに持ち込もうと思ってただけなのに……。
最初から暴力に頼ろうだなんて……最終手段にしとかなきゃこっちが悪者になるし……。
「それに、俺の家の事情ですよ……! はっ、まさか俺と結婚する気になったので、俺の憂いを払おうと!?」
「結婚の方は兎も角、オレオン様の憂いは払えるかしらと思いましたね」
おおっと、飛躍が凄いわ。ポジティブなのね。
結構幼少期はご苦労なさった方なのに……。本人から聞いてないから黙っておくけれど。
「もう結婚してやんなよ、ユララちゃん」
「でもソイツ情けないぞ」
「うーん……」
「一体何がいけませんか!? あ、コイツと血が繋がってしまっている……!
人体改造したら良いですか!」
ど、どうやって……。えー、どうしたらいいの、こういう場合……。勢いに負けそう……。
「お、己を傷つけるのはやめてくださいよ」
「ああ、思っていたのと違う! 本当にユララ嬢は高嶺の花だ! 其処は思っていたのと違って欲しかった……! いや、俺以外に手折られたらそいつを殺す!!」
……あ。
この言い方……。……耳に残ってるわ。
酔っていた時に聞いた、この言い方……。声も覚えていなかった筈なのに、やけに引っ掛かったの。
私の変なコンプレックスに絡めて、怒っていたのだけれど……。
この話の流れだと、ちょっと……私、やらかした?
……もしかして、大いなる勘違い?
あー、えー? ど、どどどどうしよう。
「……私って思っていたのと、違います?」
「期待以上に違います! 知れば知る程俺の妄想なんかよりも、貴女は素晴らしい方です! 1年前も貴女の素晴らしさに俺は感動して……」
目を剥いて倒れそう。眩しい笑顔を向けられて、滅茶苦茶気不味ーい……。
結構寒いというのに、汗が滅茶苦茶出てきたわ。
私って……酔ってテキトーに聞いて誤解して腹立てて、失踪した大たわけ者……?
「あの、オレオン様。是非とも1年前の件でお詫びしたいことが……。どうか手打ちになさるのは私だけに……。レニアには平にご容赦を」
「どうしたんですかユララ嬢!? 何故手打ち!?」
そして、私達は往来で謝り合いまくり……めでたくご近所の噂になったわ。
「痴話喧嘩は往来でやるなって言ったでしょ」
後でルシアンに滅茶苦茶怒られたしね……。




