罪状にもうひとつまみ
お読み頂き有難うございます。
他国では血統鑑定を中々出来ないみたいだけれど、別の方法で犯罪者データベースを作ってたみたい。
肖像画や、魔術で手形足型を測り、頭型顔型を取るとかごっそり髪を切り取って、なんてホラーな感じのも有ったわね。
形はどうあれ……他国にはちゃんと科捜研的なの有ったとは。私の前世ムーブは、実に大したこと無かった……。いえ、イキりたい訳ではなかった筈なの。
って、そんなのどうでもいいわ。
大事なこと忘れてた。オレオン様に絡みついた理由をこのふたりの口から言わせて、ちゃんと証拠を掴まないと。
それにしても……ふたり共に滅茶苦茶人相が悪いわ。まだ若くて美形の筈なのに、顔に滲み出てくるの。私もレニアに恥じぬ行いを気をつけようっと。
「そちらの横の方の為に、オレオン様に絡まれたの?」
「はぁ? ……お金持ってそーなボーッとした貴族の騎士よ? 単なる一次的な金蔓に決まってる」
「そーそー。陰謀でも企てたってか? 何のこった」
いやー、白々しい。光魔術よりも白々しいわ。
そして滅茶苦茶悪人ね。うん、このしらばっくれ方は間違いなく歴戦の詐欺師だわ。しらけるわ。
と言うか一時的な金蔓って、本当に小悪党の科白ねー。
「私、色々問い合わせましたのよ。レグザンドと言う名前の貴族崩れは」
「訂正しな! 誰が貴族崩れだ! 俺は貴族だっつーの!」
「あら、国外追放されてる方が名乗れる貴族の爵位って知らなかったわ。どの国でどの爵位を授けられたのですか?」
「は……伯爵家の」
「……レグザンド様! この女の口車に乗っちゃダメ! 早く逃げようよ」
あら、詐称女ナナさんの方が頭が切れるみたい。そうは問屋が卸さないんだから。
「奥様に庇われて、ノコノコとお逃げになるの?
自らの不貞を隠す為妻の不貞を叫ぶお父様に加担されて、お母様を裏切られた元サヌバ伯爵家のレグザンドさん」
そして、元サヌバ伯爵は奥方様に返り討ちにされたのよね。他にも余罪が色々酷すぎて爵位は取り上げられ、新爵位と領地は奥方様が慰謝料として受け取られたと。
元伯爵は長男を連れて去っていった……。いえ、長男がしがみついていた、とも、書いてあったわね。
「あのアバズレの味方したアホ一族が偉そうに抜かすな! パパは何より正しかったんだ!!」
「…………え?」
……因みにえ? って言ったのは詐称女ナナさんね。
事前に手紙で知ってた私は特に驚いてなかった……いえ、見ると聞くとは大違いね。
何せ、5歳から父親が好きすぎてクレイジーでサイコなファザコンになり、お母様を憎みまくってたらしいから……。特にほかの兄弟を贔屓されていた訳でも可愛がられていた訳でも無く、よ。……意味が分からない。
確かに父親はクズ系美形らしいけれど……顔は似た系統よ? 自己愛なのかしら?
それと、母親以外の女と通じた件は良いのかしらね。父子愛? にしては歪みすぎててよく分からん世界だわ。
そして、ナナさんは夫? のファザコンさを知らなかったようね。
さっきまで元伯爵令息レグザンドを庇うように前に出てたけど、ちょっと距離を取ってるわ。
……散々余所様にえげつない手練手管をお使いなのに、ファザコンは許せないタイプなのかしら? 不思議ね。
「パパァァァ……。あの伯爵家の地位を奪ったアバズレとガキ共を八つ裂きにして何もかも取り返してあげるからね……」
「え、ちょっと……レグザンド? レグザンドのお父様ってお亡くなりになってた、よね?」
「うるせー! パパと喋ってんだよ!
見てわかんねーのか!? あぁ? 邪魔すんなブス!」
あら新情報。どうやら、自分の考えにどっぷりトリップ中で脳内オヤジとお話中みたい。
5カ国を股に掛けて出禁喰らった詐欺仲間の愛しいナナさんよりも、トークが捗るみたいね。
「ぶ、ブス……!? どうしたのよ、各国の王侯貴族が夢中になってるこの夜露の星と呼ばれたアタシがブス!? ウソでしょ!?」
へー、どうでもいいけれど、夜露なのか星なのかどっちか分からない呼び名ね。湿気てそう。
「待ってよ、アンタ、はあ? ちょ、アンタがレグザンドになんかしたんでしょ!?」
「精神を操る属性は火ですよ。私に適性はありません」
「な、な……! や、え……。いや、アンタが悪いのよそうに決まってる……」
「パパ……。そうだね、アバズレなんか要らない……」
……鑑定って、人の内面は測れないものねえ。色々ベラベラ喋ってくれたから、私のするべきことは終わりそうだし、いいか。
「ゆ、ユララ嬢!? それに、詐欺師にバカ兄!?
ユララ嬢に何をした!? ふざけんな! お前の人生を無に帰してやる!!」
あらら、オレオン様が警備騎士が来る前に来ちゃったわ。
乱闘騒ぎになったら港町の荒くれ者達が喜ぶから、派手になっちゃうし困るわー。
御家騒動にはイカれたメンバーがつきものなのです。




