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ど近眼の鑑定令嬢ですが、あの一夜が見えていませんでした  作者: 宇和マチカ


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14/15

良きものは、光の下に晒されないの

お読み頂き有難うございます。

「うーん……」


 今日も貝を剥くお仕事が終わったわ。心地よい疲れね……。伸びも気持ちいいわ。

 爽やかな昼間に潮風を浴びながらのお仕事終わりなんて、贅沢すぎるわね。

 やっぱり、仕事終わりは酔っ払うしか能のなかった前職には戻りたくないなあ……。

 でも、追加のお手紙も貰っちゃったしなあ。


「おい、ねえちゃん」


 ああ、心地よい風を浴びているのに……。ちょっと日陰だけれど。


「あら、私が何か? ……ふんっ!」

「ぎゃあっ! 目が! 目が!」


 ……ちょっーと裏路地に入ると絡んでくるゴロツキ率がこの頃高いのよねえ。異常な程に。

 至近距離で光って突き飛ばして自衛はしているけれど……。不意打ち限定だし、複数だと加減が難しくて困るのよねえ。


 そう、実は古代光魔術は攻撃手段は無いけれど。攻撃バフと補助魔術はわんさかあるの!

 ちょっと触れるだけで痺れさせちゃったりね!

 ただ、……他の属性で肩代わり出来る上に難しくて、適正のある者が殆ど居ないけれど。


 今日は魚屋さんのご主人と奥様と若夫婦にレニアを預けたの。

 いい加減、ケリを付けたいからね。


「おいっ! まだ捕まらんのか!」

「早く捕まえちゃってよぉー」


 んん?

 何処かで聞いたような声がするわね。

 ゴロツキ複数の向こうに背の低い人影が……。


「……」


 見えるわ。眼鏡の力って本当に偉大。

 見たことのない背の低い男に寄り添う小柄な女……は知ってるわ。

 港町に水玉の毛皮のコートという……意味不明な派手派手しい格好を装っているけれど。


「あら、お久しぶりね。ポフルさんとナナさんのお名前はどちらでお呼びすれば? 本命はそちらの殿方ですの?」

「……アンタさあ、たかが文官風情で生意気なのよ」


 あ、近寄ってきた。滅茶苦茶瞳孔開いてるわね。

 こんなキレキャラが本性? それとも、演技かしら。

 流石に性格は鑑定出来ないわね。


「あんたのせいで……あんたのせいで!

 アタシとダーリンが、この交易都市から出れねーじゃねーの!!」


 ダーリン……古めかしい前世語だわ。この人も転生者なのかしら。しかも元ヤン? あ、今まさにヤンキー中かしら?

 よく見ると、あまり眠れていないのかお肌の艶が悪いわねえ。


「そりゃそうですわよ。貴女、この交易都市と隣り合う5カ国から全て国外退去喰らってますもの」


 いやあ、手紙で聞いた時は驚いたわね。

 この詐称女、色んな国で高位貴族や商人からお金をせびって逃げる国際的な詐欺師だったとは思わないわよ。

 高位貴族の末裔の姫やら騎士を名乗って、同じように騙していたらしくて……。

 いやー、国際的なロマンス詐欺って異世界にも有るのね。しかも夫婦で。いえ、届け出が無いから内縁の夫婦かしら? どうでもいいけれど。


「……! バラしたのね!? アタシとダーリンが可哀想でしょうが!」

「そうですか、可哀想でお気の毒様です。罪は罪ですものね」


 何でコイツらが可哀想なのかしら。騙された方が何万倍も可哀想。

 それに、そんなにブンブンとナイフを振り回されても当たらないわよ。屈折率変えてあるし。

 それにしても、こんなに光魔術を駆使するの久々すぎて疲れるわ。


「海は受け入れてくださるのでは? 密航は罪ですからご自前の船をどうぞ」

「な、なんだこいつ……。こんなに近いのに当たらねえし、光って気味悪ぃ……」


 ゴロツキの方が分かりやすいわね。ワラワラと逃げ出したわ。

 駄目ねえ。退路くらい用意しとかないと。

 表には、腕っぷしの強いご近所さんがたっぷりおられるのよ?


「このっ! このっ!」

「まあ待て、ナナ。

 おい光のネーチャンよ。

 命が惜しくなければ、俺らを無害な奴だと鑑定しな」

「無理ですわ」


 思わずニッコリと嘲笑ってしまいそう。あ、笑ってたかしら? 煽ってしまったかしら?

 光のネーチャンなんて初めて言われたわね。


「良きものは光の下に晒されません。身綺麗で無害な方は、そもそも血統鑑定を受けませんもの」




古代光魔術は古代に序盤の戦いだとお役立ちで、終盤の戦いだとイマイチ…みたいな扱いもされてきました。

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