心を込めたら手紙が届く
お読み頂き有難うございます。
「それで、どうなの? この前から」
「そうね……。お昼を何度かご一緒したわ」
「仲良さそうだね」
「そうね……。砂浜で追いかけっこはしてないけれど」
「ユララ姉さん、何でそんなのやりたいの? 物盗りを追いかける騎士みたいにならない?」
「そ、そうね……」
一般常識としてはイマイチな少女漫画的展開だったようね……。確かに、オレオン様に追いかけられて、砂浜を逃げ延びられる気はしないわ……。
少女漫画的展開って本当に苦難の連続なのね……。
あの豪雨から1週間経つかしら。此処はルシアンが泊まる白いホテル。名前はハマヤキホテルだったかしら。変な名前よね。
で、故郷に勝手をしてごめんなさい、っていう今更ながらも反省を込めて謝罪の手紙も出して……。
そうしたら、あの足跡の鑑定結果もさっさと来たわ。
……文句を言える立場じゃないってのは分かるけれど、オレオン様の事があるからそっちは早めが良かった……。勝手だけれど。
「ユララ姉さんが少し落ち着いたようで良かったよ」
「……本当に、今から考えると仕事を投げ出したのは駄目だったわ。親戚一同へ申し訳無くて」
「それを分かってくれただけでも、まあ良いかな」
「御迷惑お掛けしました」
「ふにゃー!」
今日のレニアはご機嫌斜めね。むずかりが止まらないの。
「証拠保存に関しては、火属性と土属性の魔術師も出来るから仕事が減ったって喜んでいたみたいね」
「瓶洗いも水属性魔術師が協力してくれてるよ」
「そうなのね。協力者がいてくださるなら良いことだわ。人手不足だったもの……」
だからブラック業務で変なテンションで一夜をはっちゃけた訳だけれど……。
「でも、他の属性で事足りるなら人員整理されないかって話も出てるよ」
「そ、それは困るわね……」
何と……。そっちの問題も浮上するのかあ。
変な前世ムーブするべきじゃなかったかなあ……。
「それで、1年前の公爵令息ヨロメキ事件だっけ」
「新聞の見出しが酷かったわね」
あ、ヨロメキってのはバースエ公爵令息の名前で人名ね。
昭和の場末感が酷いからどうかと思うけれど……。
兎に角、私が疲れのピークだった1年前。
隣国の王女殿下を詐称して、バースエ公爵令息からたんまり貢がせて色仕掛けさせた事件。
あの一人称がコロコロキャラ変えてた詐称女よ。
で、王弟殿下にもコナを掛けて……血統鑑定の現場に引き摺り出されたのよ。
あの詐称女は、王弟殿下を王子様だと言ってたかな。
「あのポフルとかいう詐称女と、この前に絡まれた女兵士ナナの靴型が一致したみたい」
やっぱりかー。他人の空似ではなかったのね。見えてなかったから、本当に微妙な違和感だったけれど……。
「態々髪の色まで変えてか……。で、何処でオレオン・イレイブを見初めたのかな」
「それにしても国外退去させられたのに。どうしてオレオン様が私を探してるって知ってたのかしら……」
「オレオン・イレイブの家族に関係あるとか?」
「ご家族?」
「イレイブ家って、当主が母君なんだよね」
ルシアンは貴族関係に詳しいわね……。
……ん? ちょっと引っ掛かるわね。
「……あれ? でも同名のお兄さんがおられるとか仰ってたわよ」
……そう言えば、あのポフルだかナナだかの人。
『レグザンド様』って言ってたなあ……。あの発言がオレオン様のお兄さんのことだとしたら? そして、兄とはいがみ合ってた雰囲気だった……。
「単なる気の所為にしたいけれど、御家騒動の気配がするわ……」
ああ、少女漫画的展開が遠くなっていく……。砂浜走っとけば良かったわ。
2話の血統詐称女は国外退去刑を喰らってたみたいですね。




