↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ど近眼の鑑定令嬢ですが、あの一夜が見えていませんでした  作者: 宇和マチカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/17

雨にも厄介者にも絡まれて

お読み頂き有難うございます。

「……降りましたねー」

「それより、濡れてますよユララ嬢。お着替えを」


 傘なんて都合よく無いしね。その辺に売ってるお店も無いし、豪雨が少し止んだから走ったのよ……。

 そもそも黒いグルグル巻きコートな上、オレオン様がレニア共々上着を掛けてくださったから、靴以外全然濡れてないんだけど。

 レニアもぐっすり寝てるし。


 しかし、雨の中を女を庇って走るとか……。庇われた女側って地味に走り辛いものなのね。

 しかも、そんな少女漫画展開を地でやる殿方を初めて見たわ。

 ……この感想、我ながら酷いわ。私の恋愛偏差値が前世から底辺だから悪いのかしら。


「少しですし頑丈なので大丈夫です。それより」

「そうはいきません!」

「オレオン様がお着替えください」


 寧ろそっちがボッタボタよ。

 きゃ、濡れ姿素敵☆ってなるかと思ったけれど。

 ときめきよりも気不味さが勝つレベルでずぶ濡れだから、リアクションに困るわね。

 ……うーん、どうやったら恋愛脳って鍛えられるのかしら。


「か、帰らないでくださいね!? 帰ったらいけませんからね!」

「はあ……」

「ユララ嬢! 帰らないでください!」

「あの、早く着替えた方が良いですって。此方でお食事を頂いてお待ちしてますから……」


 この豪雨で赤ちゃん抱えて何処にも行けないってのよ。でもまあ……以前行方をくらましたに等しいから、必死にもなるか。

 いやまだ分からないけれど……。うーん。

 どうしてオレオン様は私に拘るのかしら。


「……ふう」


 やっと行かれた。

 温かいお茶とか欲しいものね。

 素焼きのコップとセットで水差しはあるみたいだから、頂こうかしら。


「……おいし……」


 そしてサンドイッチの美味しさよ。

 お肉たっぷりで、葉野菜とタマネギのシャキシャキ感と、コクのあるソースが包みこんで……。

 しかも、パンは香ばしい固めパン!

 ……お金出して食べたいレベルだわ。オレオン様、お食事やさんを開けばいいのに。


「……あっ!」

「?」


 あら、宿に戻ってきた泊まり客かしら。

 もしかしてお泊りの方以外使用禁止とか? しまったな。


「何故こんな所に……! 化粧薄いけど、ウラディーブ嬢……」

「え? あー……」


 昨日か一昨日イチャモン付けて来た女騎士じゃない。しかし化粧が薄いだの濃いだの失礼ね。そりゃ水を使う仕事だし、化粧は薄いわよ。


「その子供……その黒い上着……そんな……」

「……」


 何だか面倒そうだからお食事に集中しようかしら。

 いやあ、このお肉は蒸してあるのかしら。柔らかいなあ。この人喧しいし、レニアが泣かないといいけれど。


「無視しないでよっ! この悪女!」


 あー絡まれちゃったわ。失礼な人ねえ。

 こういう人って、カッとなって何をするか分からないから嫌なのよねえ。


「そもそもお知り合いではないので……お名前も知りませんし」

「わ、私を知らないですって!? この平民の星ナナ・トプスを!」

「そうですか。人を指さすのは失礼ですよ」

「あ、あ、ば、馬鹿にして! ちょっと貴族だからって平民を馬鹿にして!」

「此方で平民に指さしたら五本指を折られますよ」

「……!」


 港町は荒くれ者が多いんだけれど、知らないのかしら。

 それにしても、騎士の軽装してる割に手と指が綺麗よね。

 ファッション騎士? そして、平民として偽ってる貴族階級? それとも、貴族を名乗って平民を騙す詐欺師?

 粗野な振る舞いが貴族崩れらしいかしら。どれもそれっぽいなあ。


「レグザンド様を返してっ! どうせ体で籠絡したんでしょ!? 私、同僚で恋人なのよ!」

「近衛騎士の同僚の方ですか?」

「そうよっ!」


 ……あの封建主義が強い王宮で、平民階級が近衛騎士に就任?

 今、ボワーンと王族の方々浮かんでしまったけれど……。

 女騎士ということは、平民嫌いの王妃殿下か、侯爵令嬢すらもイビる王女の近衛騎士だというの?

 差別の温床といって名高い王妃と王女が平民の騎士を雇うなんてケースは……頭でも打ってる? レベルで変よ。


「所属は何方で?」

「だから、近衛騎士の……」

「国王陛下、王妃殿下、王太子殿下、王女殿下にそれぞれ近衛騎士が就いておられますけれど」

「!!」

「嘘はいけませんよ」

「お、王女よ!」

「お名前は?」

「は?」

「お仕えの王女殿下のお名前は?」

「ええと……ええと……ま、メリー! メリー王女よ!」


 敬称に殿下を付けないって何でよ。

 まあ、故郷の王族ってメリーとか多いもんね。


「……お仕えしている方の名前も言えないの?

 貴女、オレオン様に付き纏う結婚詐欺師か何か?」

「ちが……違う! か、鑑定魔術でズルする気でしょ!」


 怪しいなー。と言うか器具もないのに鑑定魔術なんて使えないってのよ。


「……ユララ嬢〜?」

「!! 諦めないからって!」


 ……あ、逃げちゃった。

 でも、足型がクッキリ残ってる……。

 この靴の跡……騎士団支給の靴じゃないわね。

 何をしたいのかしら。しかし、オレオン様が結婚詐欺に巻き込まれそうなのは困るわね。


「ユララ嬢?」

「すみません、紙とペンを貸してくださいます?」


 鑑定魔術、使う気は無かったけどなー。

 まあ、私が使えるのは血統鑑定だけではないのよ。

 ……何にせよ道具は要るけどね……。


少女漫画的展開なんです。本当です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。