最弱魔王は計画を話す
魔王アレクになってから三日ほど経過した。
レベル1とバレていないよう無難にやり過ごしながら最近は魔王としての仕事をするようになった。
魔王って暇じゃね?
と思ってた時期もあったが、そこそこ忙しかった。
主な仕事は魔王城を中心とする魔族領唯一の国、『アインハイト』の統治や他種族の問題だ。
アインハルトは魔王が復活するまでの三百年間はファミリエーテが最高権力者として統治していたらしい。
それを聞いて、魔王に相応しいのファミリエーテじゃね?
と思ったのは俺だけじゃないはず。
こんなぽっと出のやつにいきなり魔王になるなんて、反乱が起きるんじゃないかとビクビクしていたが今のところは大丈夫っぽい。
なんでもファミリエーテは魔王を神格化する宗教を作っていたのだとか………なので今の街は魔王復活を祝してかなり活気に溢れているらしい。
宗教って怖い。改めてそう感じた。
そして、他種族との問題っていうのは、主に人間のことである。
この大陸は長方形の形をしており、大まかに分けて南側は魔族領、北東は獣人領、北は人間領となっている。そのため二種族の領地に隣接しており、ちょっとした問題が度々起こるらしい。
その大部分は人間で、最近手を出さない魔族に対してちょっかいを出しているのだとか。
完全にアホだ。
『勇者あーるぴーじー』では、主人公とその仲間ぐらいしか魔族に対抗できる者はいない。
対抗できると言ってもレベルを上げた結果だ。
現在の主人公はおそらく俺と同じレベル1で、後半に仲間になる仲間もレベル200程。
正直、ファミリエーテだけでも三日もあれば人間を滅ぼすことが可能だ。それをしないのはただ遊びたいだけという理由のみ。
この時点で人間は詰んでいる。
それが従来の魔王だったならな。
今の魔王は俺だ。
人間は滅ぼしたくないし、俺は死にたくもない。
この三日間はそのことばかり考えていた。
そして俺が考えた計画をファミリエーテにこれから話す。
ここ三日間の態度を見た感じ、俺には忠誠を誓っていることは間違いないから大丈夫………だと思いたい。
そう言い聞かせながら俺はそばに控えていたダクトにファミリエーテを呼んでくるよう命令した。
★
俺の目の前には跪くファミリエーテ。
種族はヴァンパイア、種族レベルは999。第一師団の極爵だ。
間違いなくこの世界で最強の人物で尚且つ絶世の美女。
未だに恐ろしく緊張する。
「楽にして良いぞ」
自分にも言い聞かせるように言った。
「はい、アレク様。本日のご用件は何でしょうか」
ファミリエーテは公式の場でない時は、俺のことをアレクと呼ぶ。三百年前もそうだったのだろうか。
「人間を支配する計画だが、私自身が人間の国に潜入することにした」
「なっ!! それはどういう事でしょうか!?」
「まぁ落ち着け。まず最初に私が冒険者となり、数多の問題を解決し、その国で英雄となる。人々は英雄の誕生を喜び、有頂天になっているところで俺が裏切り国を支配する。どうだ? 人間どもの絶望にまみれた顔が思い浮かばんか?」
「確かに………アレク様が直々にそれをすることによってより効果が現れます」
話が早いな。あまり深いところを突っ込まないでほしいけど。
「お供は誰をお連れになるのですか?」
「転移スキルを使えるライアと純粋な戦闘力を持つバベルだな」
「なるほど………魔族領にすぐ帰還できる手段と、魔族と疑われない者ですか。」
「あぁ、そして第五師団の極爵であるハルルに裏方を任せたい。私が一番信頼しているファミリエーテは魔族領を頼む。勿論、舞台が整ったら呼ぶから安心してくれ」
「か、かしこまりました!! アインハルトはお任せを!!」
ファミリエーテは嬉しそうに返事をした。
よし!!
何とかなった!!
ファミリエーテは魔王を信仰する宗教を作るほどだし、三百年前から忠誠を誓ってくれているからこう言えば何とかなると思っていた。
試したのは今日が初めてだが、上手くいったようだ。
騙しているようで心苦しいけど、これも未来のためだ。
そう心に決め、俺は人間の街に向かう準備を始めた。
気が向いたらブクマと評価しといて下さい!
喜びます!




