最弱魔王は絶望する
レ、レベル1?
え?嘘でしょ?
あの魔王がレベル1?
確かにレベル1にしてはステータスはそこそこ高い。
さすが魔王………じゃないじゃない!
今はそこじゃなくて、なんであの魔王がレベル1なんだっ!?
あれだけ倒すのに苦労した魔王がレベル1?
もしかして俺が魔王になったから?………………
………やばい、全く笑えない。
え、どうしよう。
実力主義の魔族のトップがレベル1の雑魚だって?
こんなステータスじゃ極師団の一般兵士どころか、そこら辺にいる雑魚い魔物にさえ瞬殺される。
もし………これがバレたら…………。
殺される。
「魔王様、如何なさいましたか?」
「ひぃっ!」
恐怖でついびびってしまった。
「ひい???」
「い、いや。ひ、久し振りに会えて私は嬉しいぞ。ファリミエーテ」
「あ、ありがとうございます!! 私も魔王様とお会いできて嬉しく存じます!」
ファリミエーテの綺麗な顔が赤くなり、慌てて反応した。
ふぅ、なんとか誤魔化すことができたか。
危ない危ない。
ファリミエーテが照れている姿は誰もが見惚れらほどのものであったが、俺は恐怖しか感じていない。
他の極爵もそうだ。
極爵にバレた時には、かるーいデコピンで俺の首が飛ぶ。
これって結構詰んでる?
いつか絶対バレるよなこれ?
見間違いだと信じてもう一回…………。
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レベル:1
名前:アレク
種族:魔王
HP:100
MP:200
攻撃力:64
守備力:82
素早さ:134
運の良さ:99
ースキルー
・覇気
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やっぱり変わらない。
唯一のスキルは………『覇気』か。
まぁ『覇気』は相手を無条件で恐怖状態にして、ステータスを一割減少させるかなりブッ壊れスキルで、俺もかなり苦労した覚えがある。毎回戦いが始まった最初の攻撃でこのスキルを毎回使われてかなりイライラしたからな。
このスキルがあることだけが唯一の救いだな。
取り敢えず、この状況をどうにかしよう。
早く一人になりたい。
「ほ、本題に戻るぞ。これからのお前の考えを聞かせよ」
「はっ! 人間領の国を一つずつ落として、いつ滅ぶかわからない街に居続ける恐怖を最大限に与え、最後は皆殺し………とはどうでしょうか?」
こわっ!
この人たち考えてることが怖いよ!!
確かにゲーム内でも少しずつ街が魔族に襲われていったが、そんな経緯があったとはなぁ。
敢えて、すぐ滅ぼさずに恐怖を最大限に与えた上に皆殺しか………。
いや、俺には無理だ。
流石に元人間としてそんなことはできない。
何かこいつらの反感を受けずに、穏便に済ます方法は…………。
「ふむ、それも良い。しかし、先ずは人間の国を裏から支配して、おもちゃ代わりに遊ぶのはどうだろうか? そして飽きたら滅ぼせば良い。それならば我々は人間を支配する幸福感を得られ、やりようによって人間には最大の絶望を与えられるだろう」
俺の言葉を聞いた極師団はハッとした様子で俺のことを見た。
やべっ、ダメだったかこれ?
もしかして俺、死ぬ?
しかし、俺の予想とは逆だったようだ。
「素晴らしい考えでございます! あぁ、確かにそれならば人間に最高のプレゼントを与えられそうです! さすがは魔王様!! このファリミエーテ、感服いたしました!!」
ファリミエーテが興奮したように言った。
他の面々もその光景を想像したのか嬉しそうにしている。
よし、これでなんとか第一段階クリアだ。
「ふっ、喜んでくれて何よりだ。さて、私は眠りから覚めたばかりでやりたい事がいくつかある。取り敢えず計画が崩れる可能性があるため、私の命令があるまで人間を襲うな。」
「承知致しました」
俺はそれを聞いて立ち上がる。
俺の方が弱いのに極師団はそのまま頭を下げている状態なのが申し訳ないが、打ち明けることはできない。
魔族は実力主義。
それは絶対である。
俺はこれからバレないよう強く願いながら玉座の間を出たのだった。




