まだ見ぬ神様を探して3
11;40 天界・高天原 龍神の滝に続く山道
高天原に到着した私達は山の7合目にある滝を目指して山道を歩いていた。
歩き出して40分くらいだろうか、慣れない山道を歩いていたせいで、少しずつ足に負担がかかってくるのを感じていた。
「も、紅ちゃん。」
息切れしながら、少し先を歩いていた紅ちゃんにすがる様に声をかける。
「何?」
私とは対照的に紅ちゃんは平気そうで呼吸を乱す事無く振り向いた。
「す、少し休まない?山道で・・足が・・・限界・・・。」
前屈みになり呼吸を整える。
「う~ん・・・。」
腕を組み少し考え込む紅ちゃん。日頃からの鍛え方が違うのか、汗ひとつ掻いていない。
「そうだね。ここら辺で少し休もうか。無理はよくないしね。」
「あ、ありがとう。紅ちゃん。」
素直な気持ちを伝えると、紅ちゃんは周りをキョロキョロ見渡して、何かを見つけた。
「夕華、向こうに座るのにちょうど良さそうな丸太がある。そこで休憩しよう。」
そう言って丸太のある所に歩いていく紅ちゃんの後ろをついて行くのだった。
「うーーーん、疲れた~~~。足がくたくただよ~。」
丸太の所に着いた私は、樹齢何百年もありそうな、太くて大きな丸太の上に腰を下ろした。
大きな丸太の上に座ると、両足が宙ぶらりんの状態になり。歩き続けた両足に溜まった熱がゆっくり冷めていくのが感じられた。
「お疲れ様。中々ハードな山道だね。」
と言いつつ、ふぅ、と一息吐く紅ちゃんであったが、まだまだ余裕そうである。
「そうだね~、何か私が想像していた天界と全然違うな~。」
「夕華はどんな所だと思ってたの?」
「え~~~っとね、何だか雲の上を歩くものだと思ってた。天界って言うくらいだから。」
「雲の上って・・・夕華は乙女チックだね。」
と少し笑われた。何だか乙女チックって言われたのが恥ずかしくなり、誤魔化す様に慌てて
「も、紅ちゃんはどんな所だと思ってたの?」
「う~~ん、あんまり想像してなかったけど、針の山をあるいたり、神様を怒らせると釜茹でにされたりとか、かな?」
私がまったく想像していなかった返答が返ってきた。
「いやいや、紅ちゃん。それは地獄とか、魔界とかのイメージでしょ・・・。」
「同じような物じゃないの?」
「全然ちがうよ~・・・。私そんな場所でやっていく自身ないよ・・・。」
「大丈夫、夕華はがんばり屋さんだから、どんな困難でも乗り越えられるよ。」
グッと親指を立てて万事オッケーみたいな顔でフォローされても・・・正直あんまり嬉しくない・・。
「あ、ありがとう・・・。」
戸惑いながら小声で言った。
しばらくして、足の熱も取れ、心地よい風が体に当たるのを感じつつ、私はさっきから疑問に思っていた事を聞いた。
「ねぇ、紅ちゃん?」
「ん、どしたの?」
「さっきやってた風のカグラ舞で飛んだのってどうやってやったの??」
「気になる?」
「うん。」
紅ちゃんは丸太から飛び降り、自分の両足を指差した。
「さっきのはね、風の吹く方向を常に一定方向にしてその場でずーっと吹かし続けただけなんだよ。そして、その同じ方向に吹いた風を足に集中させただけ。」
そう言って指で両足の周りをくるくると描く、どのように風が吹いていたかを表してくれた。
「えっと・・・イマイチよく分かってないんだけど。風で自分を浮かしたって事?」
「うん。まぁそうだね。厳密に言えば違うけど、簡単に言えば、自分の足の周りに風の渦を作って、小さな竜巻を起こしてると思ってくれるといいよ。」
「小さな竜巻・・・。」
「そっ、竜巻。その竜巻の風の力を利用して、ジャンプした時に高く飛べるようにしたんだ。」
そう言って紅ちゃんは腰に手をあてて、えっへん!とした表情をした。
こういう時、紅ちゃんは気持ちを言葉で表すのではなく、態度で表す所が可愛かったりする。
「そうなんだ、何だか見てると空を飛んでるみたいで格好よかったよ~!」
そう言うと紅ちゃんは少し照れたような表情で
「まぁ、実際は飛んでるわけではないんだけどね。”飛ぶ”では無くて、”跳ぶ”だけどね。」
と照れくさそうに言うのだった。
「夕華も練習すれば出来るようになるよ。」
「本当!?」
「うん。コツを掴めばできるよ。特に夕華は飲み込みが早いし、頑張り屋さんだから」
その言葉に今度は私が照れるのであった。
「今度教えてあげるね。」
と優しい表情で私の顔を覗き込む紅ちゃん。
唐突に顔が目の前に来たので少しドキッとしたけど、
「はい!よろしくお願いします!もみ先生!」
と照れながらいうと
「任せなさい。」
またしても、腰に手をあてえっへんポーズを取る紅ちゃんがおかしく、ふふっ、と笑うと
紅ちゃんもニコっと笑い和やかな空気が流れていくのだった。




