いざ!高天原へ!5
「ワォォォーーーーーン」
かんなさんの遠吠えが洞窟に響きわたり終えると、かんなさんの黒髪のポニーテールは白色に変わっており、犬耳がピン!っと立っていた。一体かんなさんはどうしちゃったんだろう・・・。
「うずめさん!かんなさんが・・・!」
「大丈夫よ~、まぁ見てて~。」
うずめさんがゆっくり、かんなさんに話かける
「かんなちゃん久々の”白狼モード”だけど異常はない~?」
かんなさんは先ほどまでの振るえは止まっており、コクリと頷くと
「マイマスター、異常は感じられません。それよりも私の”右腕に封じられし、闇の力の封印が今にも開放されそうです、早くご指示を。”!!」
右腕を押さえながら、かんなさんは苦しそうな顔をする
「ウズッチ、封印って?」
紅ちゃんが気になったようで、かんなさんの右腕をじっと見つめた。
「封印なんてありませんよ~、あれはただ、かんなちゃんが妄想で言ってるだけです~。」
妄想!!??あの凛として大人の雰囲気を漂わせるかんなさんが・・・!?信じられない・・。
そして、うずめさんはかんなさんの話に合わせるように
「かんなちゃん!その右腕の封印を解くのよ~~。」
とノリノリでかんなさんを煽る。
「しかしマスター、この封印が解かれれば私は、闇の力に飲まれるかもしれない!」
「大丈夫よ~、その力のベクトルをかんなちゃんの刀に込めて結界を破れば闇の力には飲まれないわ~。」
私達は何の話か分からず、話には付いて行けなかった・・。何?闇の力って?
「了解した。マイマスター。では・・・。」
そう言うと、かんなさんは腰に携えた刀を抜き体の正面に構えると
「マスター、第一のサーヴァント、カンナ・ルルー・ブランが命じる!!我が力の根源よ!その真の闇の力を持って、我が刀に集いたまえ!そして永久の滅びを与ん!エターナルフォースブレイバー!!」
と、勢いよく結界に走って行き、結界を刀で切り裂いた。そう、ただ切り裂いただけである。特に闇の力なども感じられない。ただの一太刀だった。そうすると結界はパリンっと音を立てて消えた。
うずめさんが、わぁ~凄い凄い、と両手で拍手している。
「紅ちゃん・・・これってあれだよね・・・ほら、俗に言う”中二病”ってやつだよね・・。」
確認するように紅ちゃんの方を見ると
「かっこいい・・・。」
と目を輝かせている私の親友、紅ちゃんこと、十五夜紅がいたのだった。
結界を切り終えた、かんなさんは刀を鞘に戻すと、髪の色が白髪から黒髪に戻っていった。
そうすると、かんなさんは、ハッ!と我に返り、私達を見た。
「夕華さん、紅さん、私はさっき何か変な事を口走っていませんでしたか・・・・?」
かんなさんが、冷や汗をだらだら流しながら、恐る恐る聞いてきた。
「えたーなるふぉーすぶれいばー」
紅ちゃんが、さっきかんなさんが構えたポーズを真似して同じセリフをゆっくり言った。
それを聞いたかんなさんは、両手で頭を抱え、
「あぁぁぁ~~~、またやってしまいました~~~。最近は落ち着いてたのに~~~。」
ガクッ!と地面に手をついた。
「うずめさん・・・今のは一体・・何だったんですか?」
さっきのかんなさんの状態に疑問を感じ、うずめさんに聞くと、
「うふふ~、今のはね~、ルルー・ブラン家だけ使える”白狼モード”って言って、丸い物を見ると一時的に髪の色が真っ白になって、身体能力がすご~~~~~く、上がるの!満月の夜なんかはずっと白狼モードなんですよ~~。この能力もあってルルー・ブラン家は、狼族一の戦闘力って言われているんですよ~~~。」
と、スクリーンの向こうで、まるで自分の事のように自慢している、うずめさん。
「ルルー・ブラン家の人はみんな、その・・なんと言うか・・今のかんなさんみたいな感じになるんですか?」
その問いに答えたのは、うずめさんではなく、かんなさんだった。
かんなさんは地面に手をついたまま。声のトーンが低くなり、
「いえ、ルルー・ブラン家は白狼モードになっても、さっきの私みたいにはなりません。みんな冷静なままです。しかし・・・」
かんなさんはようやく、立ち上がると
「しかし・・・私だけ白狼モードになると、テンションが異常に上がり、中二病のようになってしまうんですーーーーー!」
両手で顔を覆い、恥ずかしそうにしゃがみこんでしまった。いつもの凛とした、かんなさんは何処へやら
「うふふ~、いいじゃない私と出会う前の”永続の白狼”って呼ばれてた時は常に中二病そのものだったのに~。かっこよかったんですよ~。」
とフォローしたつもりのうずめさんだったが、かんなさんからしてみれば、恥ずかしい過去をばらされただけだった。
「全然かっこよくないです、もう”白狼モード”なんて言われてますけど、実際は”中二病モード”なんですよ~~。」
と涙ながらに訴える、かんなさんだった。




