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東京オリンポス・カタストロフ  作者: 綿柾澄香
トーキョージェノサイド
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9/40

プロローグ1、雲乃

 未来は明るい、とみんな言う。


 とくに今、現代の東京においては暗い話題をさがす方が難しい。


 ひと昔前は少子高齢化や格差社会、政治家の腐敗に医療崩壊と、日本沈没も間近と言われていた時代もあったそうだけれども、あいにくと私が生まれる前の話なので、実感はない。


 私が生まれたときにはもうすでに日本という国は栄華(えいが)を極めたと言われて久しく、その繁栄は留まる事を知らず、今や東京は世界中から人々が集まり、およそ5000万人が暮らすメガシティとして世界一の名を欲しいままにしている。


 そんな東京においては、当然行き交う人々の表情は明るく前向きで、みんなが希望を抱いて暮らしているように見える。


 だからまあ、やっぱり未来は明るいんだろう。


 未来を予測してくれるというラプラスシステムによって、生活する上での危険はほとんどが取り除かれている。私たちはそんな世界で平和に青春を謳歌(おうか)することができるのだ。


 それを享受(きょうじゅ)することのできる時代に、この場所に生れ落ちることができた私は幸せ者で、明るい未来ばかり想像してしまう。


 世界が羨む科学の最先端にして最高峰。未来予測を可能としたラプラスシステムの恩恵(おんけい)により生み出された、叡智(えいち)の結晶。


 東京オリンポス。


 そこは、人類が築き上げた究極の楽園。

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