↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東京オリンポス・カタストロフ  作者: 綿柾澄香
トーキョージェノサイド
PR
8/40

プロローグ0、メビウス

 見上げた空は、偽物だった。


 人類史上最大の人工建造物である東京オリンポスは、いわば東京全土を覆い尽くす天蓋(てんがい)だ。連なる十の層の隙間から本物の空を仰ぎ見ることはできるものの、基本的にはそのほとんどが上の階層によって隠れて見えない。


 ゆえに、東京オリンポスの各階層の空は上の階層の底に投影された人工の空だ。

 その空を見て、男はあきれたように息を一つ吐いた。


 かつて世界一の高さを誇ったという電波塔は、この世界樹の中ではまるで苗木のように頼りなく見える。


 そんな光景を眼前にしてその男は自らの目的を果たせるのか不安になった。


 この巨大な、完成されたシステムを相手にして、自分は彼女を救えるのか。目を落とした先に見えた自分の足がやけに小さく見えた。


 ――いや、そんなもの考えるまでもない。救える、救えないではなく、これは彼女の幸福のために必ず成さなければいけない使命だ。


 と、彼は自らを鼓舞する。


 地獄のような毎日をただ生き抜くのに必死だった中で、彼女との日々は彼にとってはこの上ない救いだったのだ。そんな日々を奪い去ったこの東京オリンポスを、ラプラスシステムを絶対に許してはならない。


 そう決意を固め、男は再びその巨大な天蓋を見上げる。


 東京オリンポス。

 そこは、醜悪(しゅうあく)な虚飾(きょしょく)で彩られた最悪の嘘。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。